さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

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Do They Know It's Christmas / Band Aid

Do They Know It's Christmas / Band Aid

 

Lyrics&訳

It's Christmas time, there's no need to be afraid

At Christmas time, we let in light and we banish shade

And in our world of plenty, we can spread a smile of joy

Throw your arms around the world at Christmas time

 

クリスマスだよ。恐れる必要はどこにもないよね

クリスマスでは、光に包まれ、暗い影なんて吹き飛んでしまう

僕たちの殆どの世界では、皆あふれる笑顔を振りまける

さあ、その手で世界を抱きしめて。クリスマスだから

 

But say a prayer, pray for the other ones

At Christmas time, it's hard, but when you're having fun

There's a world outside your window

And it's a world of dread and fear

Where the only water flowing is the bitter sting of tears

And the Christmas bells that ring there

Are the clanging chimes of doom

Well, tonight, thank God it's them instead of you

 

誰かの為に祈ろうと人は言うけどさ

クリスマスにそれは難しいよね。でも、君が幸せな今この時に

その窓の外には違う世界もあるんだ

そして、そこでは恐ろしいことが起きているんだ

水は大地からではなく、人の眼からしか湧き出ない世界

鳴り響くクリスマスの鐘の音も

そこでは破滅の合図に聴こえてしまう

だから今夜、神様に感謝しよう。世界がそんな時でも君は楽しいんだろう?

 

And there won't be snow in Africa this Christmas time

The greatest gift they'll get this year is life

Where nothing ever grows, no rain or rivers flow

Do they know it's Christmas time at all?

 

このクリスマスの時、アフリカでは雪も降らないんだ

幸運といえば、この一年を生き延びられることぐらい

雨も降らない、泉も湧かない、枯れ果てた場所

彼らにクリスマスってものはあるのかな?

 

Here's to you, raise a glass for everyone

Here's to them underneath that burning sun

Do they know it's Christmas time at all?

 

君に乾杯。世界の為にグラスを掲げて

彼らに乾杯。太陽の下で灼かれる人に

彼らにクリスマスは届くかな?

 

Feed the world

Feed the world

 

世界を元気に

世界に栄養を

 

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

Feed the world

Let them know it's Christmas time again

 

世界を豊かに

一緒にクリスマスを楽しもうって

世界に喜びを

そう、クリスマスで気づかせてあげよう

世界を癒そう

聖なる夜は少し休もうって

世界を治そう

この世の素晴らしさをまた語ろう

世界を潤おそう

このクリスマスを一緒に過ごそう

世界に届けよう

幸せな時を分け合おう

世界を満たそう

クリスマスならそれができると信じよう

 

この曲について

 クリスマスソングのテーマの一つに取り上げられることの多い、世界の平和を歌った曲です。恐らく、まだニュース等で世界を知るという経験を持たない子供達に向けたメッセージ性が、特に強いのかなと思います。

 

 最初のフレーズでは、クリスマスって素晴らしいよねという事が語られます。これは、クリスマスを知っている子供達にとっては、ある種当たり前のことです。
 しかし次のフレーズで、実はいま同じこの時に、辛く苦しんでいる人、クリスマスなんて言葉すら知らない人たちが世界には沢山いるという事が伝えられます。そして、それをきちんと伝える為か、少し生々しい表現が使われています。

 

 一つは At Christmas time, it's hard (楽しいクリスマスに、人の為に祈るのは難しい)です。自分がとても楽しい時は素晴らしいけれど、でもそのとき実は、自分のことにばかり夢中になってて、他の人なんか知ったこっちゃないという身勝手な状態になっていると言うことを諭しています。

 

 そしてもう一つは Thank God it's them instead of you です。訳上では少しぼかしましたが、「君が恵まれない彼らじゃなくて良かったと神様に感謝しよう」という意味になります。ものすごく端的に言えば「彼らは不幸だけど君は幸せで良かったね」という事ですね。この歌詞は、曲の製作時にも大分揉めたそうですが、目を背けたくなる事実も包み隠さず伝えたいという想いから、この歌詞には結局手を入れなかったそうです。この歌詞に込められた痛烈な皮肉から、子供達に世界と言う難問について自問自答してほしいと言うのが本意なのだと思われます。

 

 だから、例えばこの楽しい時と幸せな気持ちを、今そうでない彼らも感じられる方法を探そうと言うのが、この曲のテーマですね。そしてその一つの答えの方向性として、クリスマスと言う物がその手助けになれたらという想いが込められているのだと思われます。

 

 さて、この曲はバンドエイド(Band Aid)によって1984年に歌われた曲です。バンドエイドは、様々な著名なるバンドから有志を募って結成されたドリームチームです。(なので、関連アーティストタグもちょっと多めです)
 このプロジェクト名でもあるバンドエイドは、その後もバンドエイドⅡ、バンドエイド20、バンドエイド30と、メンバーを変えつつ曲もリメイクしながら続けられていますので、是非聴き比べてみて下さい。

Band Aid 1984

Do they Know it's Christmas ~ Band Aid 1984

Band Aid Ⅱ

Band Aid II - Do They Know It's Christmas

Band Aid 20

Band Aid 20 Do They Know It's Christmas


Band Aid 30

Band Aid 30 - Do They Know It’s Christmas

 

 また、glee シーズン3のクリスマスエピソードでも、スープキッチンに集まる恵まれない子供達と一緒に歌われました。


Glee-Do They Know It's Christmas? (Full Performance)

 このエピソード自体、楽しいクリスマスと、楽しいの外にあるクリスマスの対比がテーマになっており、暗めのクリスマス曲が歌われたり、サムやローリーが「クリスマスは自分たちだけが楽しければいいのか」と疑問を投げかけるといったシーンが見られます。そんなエピソードのラストを飾るのにふさわしい曲では無いかなと思います。

 

訳、言葉について

 Throw one's arm around ~ は、「~を、誰それが抱きしめる」という意味の熟語です。なので、Throw your arms around the world と言ったら「あなたの腕で世界を抱きしめよう」という意味になります。なお、Throwは Put で似たような表現が可能で、以前ご紹介した The Longest Time でも When you put your arms around me という表現で使われています。また、around ではなく round でも良いそうです。

 

 Here's to ~で、「~に乾杯」となります。乾杯といえば Cheers を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらはどちらかというと乾杯の時のかけ声の意味合いが強く、乾杯という行為そのものとしてはあまり使わないようです。また、A toast も乾杯を指す言葉ですが、こちらは少し格式高いイメージが有ります。

 

 Feed は、食料を与えると言う意味の言葉なので、Feed the world で「世界に食料を与えよう」となります。この解釈は多分二つに分かれるかと思います。一つは「世界の恵まれない人に食料を与えよう」という解釈、そしてもう一つは世界そのものを擬人化して「世界さんに食料を与えよう」という解釈です。前者だと直接的過ぎるかなと思って僕は後者で訳しましたが、先述の生々しい表現で語られた部分があることを考えると、前者で訳した方が本来のメッセージに近いのでしょうね。

Karma Chameleon / Culture Club

f:id:Sasakichi:20161101205338p:plain

Lyrics&訳

Desert loving in your eyes all the way

If I listened to your lies would you say

 

君の瞳にあるのは、不毛な愛だね

僕が嘘を見抜いたら、君はこう言うかな

 

I'm a man without conviction

I'm a man who doesn't know

How to sell a contradiction

You come and go

You come and go

 

どうせ白黒はっきりできないでしょって

それに分からないでしょ

悪気を認めさせる方法もって

君はいつもそうだ

近づいてみたり、突き放してみたり

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、罪作りなカメレオンだ

消えては現れ

戻っては出て行き

色さえ合えば良い恋なのに

赤にも金にも緑にもなる

お次は一体何色なんだ

 

Didn't hear your wicked words every day

And you used to be so sweet I heard you say

 

いつも意地悪なんて聞くこともなかった

耳にしたのはこんな優しい言葉だったな

 

That my love was an addiction

When we cling our love is strong

When you go you're gone forever

You string along

You string along

 

私、あなたに首ったけなのって

あの時は強い愛で結ばれてたな

そして君が出て行って戻らなくなって

僕は遊びだったんだな

よくもからかってくれたよな

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、君は酷く移り気で

くっついてみたり、離れてみたり

いなくなったり、また現れたり

僕と同じ色なら良かったのに

赤に、金に、ほらまた緑

本当は一体何色なんだ

 

Every day is like survival

You're my lover not my rival

Every day is like survival

You're my lover not my rival

 

毎日がサバイバルさ

君は恋人であって、敵じゃないだろ

毎日毎日張りつめてる

恋人なんだろ?違うの?

 

I'm a man without conviction

I'm a man who doesn't know

How to sell a contradiction

You come and go

You come and go

 

どうせ白黒はっきりできないさ

それに分からないよ

どうやって君を否定するかなんて

一緒にいても、離れていても

結ばれもしない。別れもしない

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、本当の君を見せたらどうだ

見せてるようで隠してる

気にしなければ気を惹いてくる

理想の色であって欲しいのに

赤色、金色、緑色

最後は一体何色なんだ

 

この曲について

 自分の理想の恋人であって欲しいのに、相手ときたら会う度に態度が違い、一体自分のことを好きなんだか嫌いなんだかも良く分からない……そんな、一筋縄ではいかない相手に翻弄される心を描いた曲だと思います。

 

 既に主人公は出だしから相手に辟易しており、相手に嫌みの一つも言ってやろうとしているようです。が、相手も強かですね。今一つ煮え切らない主人公のことを良く分かっており、どうせ一線を越えた決断は出来ないだろうと踏んで、むしろそれをからかっているようです。

 

 サビで「カーマ(Karma)」としきりに出てきますが、頭文字が大文字で固有名詞のようなので、このカーマが相手の名前だと思われます。しかし一方で、このスペルで書かれるKarmaは一般名詞では「罪」とか「業」を意味する言葉となり、日本語発音でもカルマと呼称されるものです。これにより、この「カーマ」という人物がひどく罪作りな人物であることの暗示にもなっていると思われます。

 そして尚且つ、相手のことをカメレオンと称しています。ご存知の通り、カメレオンと言えば周囲の色に合わせて自分の色を変える生き物です(本当は違うそうですが)。その為、ころころ態度を変える相手のことを、この動物に例えているのでしょうね。

 

 2番では、相手が良く思えた昔のことを懐かしむシーンとなり、かつてはお互いにそれなりに恋人同士であった様子が見られますね。しかし結局それも、相手が突然離れてしまったことにより、一転恨みつらみに変わっております。

 が、主人公はまだ完全には相手への思いを断ち切れておらず、苦悩の毎日を送っているようですね。まだ心の中では、相手のことを恋人であって欲しいと願っている様子が良く伝わってきます。

 

 そして更に1番の歌詞がリフレインしますが、この歌詞は1番では相手に自分の弱さを指摘されてたのに対し、ここではそれを自虐的に独白、認めるというシーンに代わっているのではないかなと思います。結局、まだまだ相手からは離れられず、翻弄される日々が続きそうですね、この分ですと。

 

 ただ、このKarmaですが、これはもともとは仏教からきた言葉であり、そこには仏教の基本概念の一つ、「因果応報」とか「自業自得」という結果までの示唆が含まれています。なので、今は主人公を良いようにからかっているこの相手も、いずれは手痛いしっぺ返しを食らうことになるのではないかなと思われます。勿論そのシーンは曲の中では語られませんが、いずれそのようになるという事を主人公も望んでおり、またそうなるのだろうと暗に示しているように思えます。

 

 さて、この曲は1983年にCulture Clubによって歌われました。邦題では「カーマは気まぐれ」というタイトルがついており、こちらのタイトルの方がなじみ深い方もいらっしゃるでしょうね。いずれにせよ、このキャッチーで歯切れのよいサビは、世代を問わず皆さん一度は聴いたことがあるのではないかなと思います。


 


Culture Club - Karma Chameleon

 この曲はもう一つの通説があるそうで、ゲイであるボーカルのボーイ・ジョージが、ドラムのジョンへの気持ちをこの曲の中に隠しているとのことです。だとしたら、サビのLoving would be easy……の件ですかね。ちょっと真偽のほどは定かではないですが。

 それにしても、なぜPVは1870年のミシシッピーが舞台なのでしょうね。この中で、ボーイ・ジョージだけは当時の衣装とはかけ離れた姿で登場し、群衆の中にいるスリに気付き、その悪事を暴くきっかけを作っています。このスリが最後川に突き落とされる辺り、曲中に含まれる因果応報のメッセージでしょうね。

 

訳、言葉について

 You string alongという言葉が有ります。これは、一緒に歩くとか、同調するという意味の言葉ですが、そう見せかけておいて実は騙しているという意味にも使うようです。意味が全く真逆で使うのはどういうことなのかなと思ったのですが、この「騙す」の意味で使う場合はかなり皮肉を込めて言っているのかもしれませんね。日本語でも、遅刻している人に「ずいぶん早いですね?」と言ったら嫌みになるように、そんな感覚で相手を責める意味を込めて使う感じでしょうか。

 

 一点良く分からなかったのが、How to sell a contradictionです。Contradictionは否定とか矛盾という言葉ですが、それにsell(売る)が付くとどういうニュアンスになるのかがちょっと想像がつきませんでした。何となく、相手に否定を売りつける→相手に悪事を認めさせるとか、自分が否定していることを受け入れさせるといった意味かなと思い、そのように訳してます。

 

 また、red, gold, and greenが何故この色なのかもちょっと良く分かりませんでした。この色でパッと思い浮かぶのはクリスマスカラーなのですが、クリスマスとは何の関係もない曲ですし、仮にgoldをyellowとして捉えたとしても、三原色にすらならないですね。後は・・・信号機ぐらいしか思い浮かびませんが、ますます意味が分からないですね。ただ、この色はPVの中にもそこかしこに象徴的に登場しています。ダンサーの衣装に、舟が来たシーンで掲げている布、更には船内カジノのチップまでこの色です。単に分かり易い色を並べただけの可能性もありますが、宗教上の意味のような、そんな感じの物が有るのかも知れませんね。

 

プロフィール

笹森茂樹

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