さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

Musicalの関連記事一覧

My Favorite Things / Sound Of Music

My Favorite Things / Sound Of Music

 

Lyrics&訳

Raindrops on roses and whiskers on kittens

Bright copper kettles and warm woolen mittens

Brown paper packages tied up with strings

These are a few of my favorite things

 

バラに降る雨、猫のおひげ

ピカピカ光る銅の薬缶に、とてもあったか毛糸のミトン

茶色の紙で、包んで結んで

ささやかだけど、お気に入り

 

Cream colored ponies and crisp apple strudels

Door bells and sleigh bells and  with noodles

Wild geese that fly with the moon on their wings

These are a few of my favorite things

 

鳥の子色したお馬さん、さっくりリンゴのシュトルデル

扉のベルにそりのベル、ヌードルを添えたシュニッツェル

その両翼で月を飛ぶガチョウ

数少ないけど、お気に入り

 

Girls in white dresses with blue satin sashes

Snowflakes that stay on my nose and eyelashes

Silver white winters that melt into springs

These are a few of my favorite things

 

青いサテンの帯を結んだ、白いドレスの女の子達

まつ毛とお鼻の上に残った、小さな雪のかけら達

冬の白銀に染まったものは、春に向かって溶けてゆく

選りすぐった、お気に入り

 

When the dog bites, when the bee stings

When I'm feeling sad

I simply remember my favorite things

And then I don't feel so bad

 

犬に噛みつかれたとしても、蜂に刺されてしまっても

哀しい気持ちになったとしても

こんな物達を思い出すの

すると気持ちも落ち着くの

 

この曲について

 自分の大好きな物についてを並べた歌ですが、そのどれもがとても素朴ですね。日々の小さなことを愛おしがる、可愛らしさと慎ましさのようなものが見えてくる気がします。

 

 キーフレーズとなる These are a few of my favorite things (これらは、数少ない私の好きな物達)は、この素朴な雰囲気をそのまま汲み取って、そんなに大それたものは望んでいないといった、奥ゆかしい雰囲気を汲み取るのが自然かと思います。が、一握りの本当に好きと言えるものを選りすぐった為、数はそんなに多くないと捉えても良いような気もします。そうすると、最後に描かれている、「どんなことがあってもこれらを思い出すことで元気になれる」という部分が、より強い想いとして捉えられるのではないかなと思います。

 

 さて、この曲は皆さんお馴染みのミュージカル、サウンド・オブ・ミュージック (Sound Of Music) に登場する一曲で、初出は1959年となります。マリア先生が、雷を怖がる子供達をなだめる為に一緒のベッドで歌った訳ですが、歌詞を見る限り、雷なんて好きな物を思い出していれば忘れてしまうでしょうと言っているのでしょうね。

The Sound of Music (3/5) Movie CLIP - My Favorite Things (1965) HD



 そして何と言っても、この曲を聴いた時には皆さんの頭の中に「そうだ、京都、行こう」のキャッチフレーズがパッと浮かぶでしょうね。国内では、JR東海のキャンペーン曲として、長く使用されています。

 

 また、 glee でもこの曲はクリスマスの回で歌われています。何故この曲がクリスマスで歌われたのかは良く分かっていなかったのですが、毛糸のミトンや雪の欠片など、冬を思い出させるものが多い為、一般的にクリスマスソングとしても良く歌われているそうです。

GLEE - My Favorite Things (Full Performance) HD

訳、言葉について

 whisker は、髭のことです。髭と言うと beard を思い出される方も多いかと思いますが、beard は「あご髭」であるのに対し、whisker は「ほお髭」を表すそうです。

 

 strudel は、パイ生地の中に具を詰めて焼いたものです。曲中にもあるリンゴを初め、ドライフルーツやナッツを詰めて焼いたものは、クリスマスに食べられるそうです。

 

 schnitzel は、主に牛肉をカツレツにした料理のことのようです。 noodle with… となっていますが、このnoodleはパスタか何かかなと思われます。

Mr.Cellophane / Chicago

Mr.Cellophane / Cicago

Lyrics&訳

If someone stood up in a crowd

And raised their voice up way out loud

And waved their arm and shook his leg

You'd notice him

 

もし誰かが人ごみに立ってて

うるさく声を張り上げて

手足をじたばたさせてたら

君は気付くよね

 

If someone in the movie show

Yelled, "Fire!, in the second row

This whole place is a powder keg!"

You'd notice him

 

もし誰かが映画の最中に

こう叫ぶんだ「火事だ!前から2列目!

もうここは、火薬樽と変わらないぞ!!」

そしたら君は目が放せない筈だ

 

And even without clucking like a hen

Everyone gets noticed, now and then

Unless of course, that personage should be

Invisible, inconsequential me

 

別に鶏みたいにけたたましく騒いでなんかなくたって

普通は「そこにいる」って分かって貰える

ああそうさ、人として消えてしまうことなんてない

取るに足らない僕を除いては、ね

 

Cellophane, Mr. Cellophane

Shoulda been my name Mr. Cellophane

'Cause you can look right through me

Walk right by me

And never know I'm there

I tell ya Cellophane, Mr. Cellophane

Shoulda been my name Mr. Cellophane

'Cause you can look right through me

Walk right by me and never know I'm there

 

セロファン。ああ、ミスターセロファン

そんな名前が相応しい。ミスターセロファンだ

ほら、僕は透けて見えるだろ?

僕のそばを歩いたって

ここにいるって分かるまいさ

こう呼んでくれ。ミスターセロファン

似合うだろう。ミスターセロファンだ

君には見えない、無色透明

僕がそばにいるなんて知らないんだろう?

 

Suppose you was a little cat

Residin' in a person's flat

Who fed you fish and scratched your ears?

You'd notice him

 

君は言ってみれば、子猫ちゃんみたいなもんだったのかね

新しいご主人様のそばで

お魚をもらって耳でも掻いてるようなね

君の目に映るのは彼ばっかだ

 

Suppose you was a woman, wed

And sleepin' in a double bed

Beside one man, for seven years

You'd notice him

 

君はまあなんというか、そんな女だったんだな

結婚して、ダブルベッドで寝て

7年も前に乗り換えてた

君が気にかけるのは

 

A human being's made of more than air

With all that bulk, you're bound to see him there

Unless that human bein' next to you

Is unimpressive, undistinguished you know who

 

空気の寄せ集めよりずっと確かな存在のあいつ

君はあそこにいるあいつに釘付けさ

君のすぐ隣にいる誰かさんのような

そう、面白くもなんともない人その人ではなくてね

 

Cellophane, Mr. Cellophane

Shoulda been my name Mr. Cellophane

'Cause you can look right through me

Walk right by me and never know I'm there

I tell ya Cellophane, Mr. Cellophane

Shoulda been my name Mr. Cellophane

'Cause you can look right through me

Walk right by me and never know I'm there

 

セロファン。そう、ミスターセロファンだ

正にそうじゃないか。ミスターセロファン

君には見えてないんだものな

僕のそばを通り過ぎて、気付かないままで

覚えておいてくれ、ミスターセロファンだ

ぴったりだと思わないか、ミスターセロファン

居ても居なくても同じな僕だ

こんなそばでも、僕が居るような素振りも見せず

 

Never even know I'm there

Hope I didn't take up too much of your time

 

例え…そう、気付いていたとしてもね

まあいいさ、これ以上時間を取らせるつもりもないよ

 

この曲について

 想いを傾けた相手の視界にも入れて貰えず、ただ別の男と仲良くしている彼女を眺めるばかり。そんな自分、居ても居なくても変わらない、薄っぺらな存在ということを自虐的に歌った曲ですね。

 

 存在感が無い、薄っぺらい、透明のような自分を例えたのがセロファンです。いっそ、名前もそうであった方がいいとまで言っていますね。この主人公、卑屈になりすぎて大分ねじ曲がってしまっているようです。そんな彼に幸せが訪れるかと言えば……見込みはなさそうですね。

 

 さて、この曲は1975年に初演が行われ、以降再演、映画化までされて長く続くミュージカル「シカゴ(Chicago)」の中のナンバーで、主人公ロキシー(Roxy)の夫である、バカ正直と言うか、正直バカなエイモス(Amos)によって歌われた曲です。ロキシーが妊娠でスキャンダルになっている中、その父親である筈のエイモスは全く世間から相手にされずおざなりになっている時に歌われます。



Mr. Cellophane

 本当に何の救いも無いまま舞台が終わってしまう、彼の悲哀と呆気なさが良く出ている曲ですね(笑)

 

 また、この曲は glee でカートがグリークラブに入る際のオーディションにてこの曲を歌いました。




Glee Mr Cellophane Music Video KURT

 いじめの標的となっていた当時の彼の心境を良く表した曲ではありますが、以降の彼の派手なエンターテイナーぶりを見ると、とても彼がこれを歌っていたとは思えないほど成長したなって思えますね。エイモスとは違ってよかったです

 

訳、言葉について

 Keg は樽の事ですが、これが Powder keg となると、火薬樽を意味するそうです。

 

 Person's flat の Flat ですが、これは日本で言うところのアパートに相当するようです。どちらかと言うとイギリス寄りの言葉のようで、アメリカでは Apartment のようです。

 

 Next to you という言葉がありますが、 Next to ~で「~の隣」という意味になります。neighbor と違い、本当にすぐ横隣というような、位置を強調した感じでしょうか。

Seasons Of Love / RENT

Seasons Of Love / RENT

 

Lyrics&訳

Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes

Five hundred twenty-five thousand moments so dear

Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes

How do you measure-measure a year

 

525,600分

525,000の愛しい瞬間

525,600分

君はどう測る?1年っていうものを

 

In daylights- in sunsets

In midnights- in cups of coffee

In inches- in miles

In laughter- in strife

 

陽の昇った回数か 陽の沈んだ回数か

夜が訪れた回数か 淹れたコーヒーの回数か

長さで測ろうか 距離で測ろうか

笑った回数か 怒った回数か

 

Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes

How do you measure a year in the life

 

525,600分

どう測ればいい?この人生の一年を

 

How about love

How about love

How about love

Measure in love

Seasons of love

Seasons of love

 

愛ならどうかな

愛ならいいんじゃないか

愛で見てみればいいんじゃないか

愛で測ってみようよ

最初、この愛はどうだったのか

今、その愛はどうなっているかで

 

Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes

Five hundred twenty-five thousand journeys to plan

Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes

How do you measure the life of a woman or a man

 

525,600分

525,000の旅人達

525,600分

どうやって捉えよう。女の人も、男の人も

 

In truth that she learned

Or in times that he cried

In bridges he burned

Or the way that she died

 

彼女が知った真実か

彼が涙した瞬間か

あいつが閉ざしてしまった心か

あの娘の死と言う現実か

 

It's time now to sing out

Though the story never ends

Let's celebrate remember a year in the life of friends

 

今こそ皆で歌い明かそう

この物語は終わりを知らないけれど

この一年を、過ごした仲間を、今日この日に胸に刻もう

 

Remember the love

(Oh, you got to, you got to remember the love)

Remember the love

(You know that love is a gift from up above)

Remember the love

(Share love, give love, spread love)

Measure in love

(Measure, measure your life in love)

 

思い出すんだ、愛があったことを

(そう、思い出すべきよ)

それを忘れちゃいけない

(愛は神様からの贈り物だから)

覚えておくんだ

(そして分け合うの。与えるの。広めるの)

愛でこの一年を振り返ろう

(あなたの人生に常に愛はあったはずだから)

 

Seasons of love

Seasons of love

 

今の愛はどうなっているか

あの頃の愛はどうだったかって

 

この曲について

 テーマは見てお分かりの通り「1年」です。そして、その1年をどう測ろうという曲です。「どう測る」というと若干伝わりにくいかもしれませんが、この1年はあなたにとってどうだったかと尋ねられた場合に、何を基準に答えようという事だと思います。

 

 仕事、学業、趣味……色々考えられますが、この曲では愛を基準に見た場合どうだろうと提案されます。1年あれば人の心内やそれを取り巻く環境も変化する物ですが、それがどう移り変わってきたかを辿ることで、この1年を振り返ろうということのようです。

 

 愛で……とは言いますが、決して幸せなことばかりでは無く、むしろこの曲では悲しい思い出に主軸が置かれています。特に、She died (彼女は亡くなった) とある為、特に辛い1年であったことが垣間見えます。

 

 さて、この曲はRENTというミュージカルの代表曲の一つで、映画では開幕早々に主人公たち全員で歌われます。RENTは、芸術家を志す若者たちとそれらを取り巻く社会現状の1年を描いた作品です。ミュージカル公開当時の1994年辺りの時代背景を反映して、AIDSとそれによる死も話の核に関わってきます。

 

 ミュージカルのオリジナルキャストでの映画化も実現されておりますので、ご覧になったことの無い方は是非。glee のレイチェルの母親役であり、アナと雪の女王の Let It Go の歌い手でもあるイディナ・メンゼル(Idina Menzel) も出演してます。


Seasons of Love (HD)

 

 そして、この曲はgleeのフィン役であったコーリー・モンテース(Cory Monteith)がドラマの完結を待たずに亡くなり、その追悼の為に作られた話の最初に歌われました。

 
GLEE Seasons Of Love Full Performance Official Music Video HD

 

 彼が生きてた時のgleeのグランドフィナーレを見たかったです。本当に。

 

訳、言葉について

 Bridges he burned という一節が有ります。熟語でburn one's bridgeという言葉が有り、意味は「誰それの橋を焼き払う」から転じて「誰それと関係を断ち切る」という意味になりますので、Bridges he burnedは「彼が断ち切った関係」のようなニュアンスで訳せばいいかなと思います。

 

 Celebrate はいつも訳に困る単語です。「祝う」とか「褒める」とかなのですが、そのままその言葉を当てこんでしまうと、大抵その前後の単語やシチュエーションとしっくり来ないと言うか……。かといって「偲ぶ」でもないですしね。強いていうなら「今日を特別な日にする」でしょうか。多分、日本語でぴったりに表現しきれない単語の一つなのではないかなと思います。
 余談ですが「偲ぶ」を英訳したらRemember……逆に「偲ぶ」は英語でぴったり表現しきれない日本語の単語かもしれません。

 

 あと、今回は Seasons もどう訳したものかと思いました。Seasonと言うとパッと思い浮かぶのは「季節」ですが、「愛の季節」ってこの曲とはちょっと違うベクトルの表現かなと言う気がします。多分「章」とか「期間」とか「節目」が近いイメージかなと思うのですが……なんか気に食わなかったので、単語で訳すのは諦めて、意訳表現にしました。

Waving Through a Window / Dear Evan Hansen

Waving Through a Window / Dear Evan Hansen

Lyrics&訳

I've learned to slam on the brake

Before I even turn the key

Before I make the mistake

Before I lead with the worst of me

 

急ブレーキを覚えてしまった

まだ鍵すら回す前から

何かやらかしてしまう前に

無様な自分を晒す前に

 

Give them no reason to stare

No slipping up if you slip away

So I got nothing to share

No, I got nothing to say

 

目立つことはしちゃいけない

そっと居なくなれば失敗することも無いさ

そうだね、僕は誰からも相手にされてない

何か言葉を口にすることもない

 

Step out, step out of the sun

If you keep getting burned

Step out, step out of the sun

Because you've learned, because you've learned

 

離れろ。離れるんだ。陽の当たる場所から

火傷の痛みが残っているならな

急げ。急ぐんだ。陽の光の外へ

だってそう学んだ筈だろ。解かっている筈だろ

 

On the outside, always looking in

Will I ever be more than I've always been?

'Cause I'm tap, tap, tapping on the glass

I'm waving through a window

I try to speak, but nobody can hear

So I wait around for an answer to appear

While I'm watch, watch, watching people pass

I'm waving through a window, oh

Can anybody see, is anybody waving back at me?

 

離れた場所から、いつも外を気にしている

これから先も、このままなのかな

ほら、ガラスを何度も叩いて

窓越しに手を振っているのに

話しかけてみても、誰の耳にも聞こえない

ここで答えが出るのを待つだけ

道往く人を眺めながら

窓の外から手を振ってみるけど

誰か見えないかな?手を振り返してくれる人はいないかな?

 

We start with stars in our eyes

We start believing that we belong

But every sun doesn't rise

And no one tells you where you went wrong

 

最初は目の中に光を湛えていたよね

最初は皆と一緒だって思ってたよな

でもいつも太陽が昇るとは限らないし

道に迷ったお前を導く人もいなかった

 

Step out, step out of the sun

If you keep getting burned

Step out, step out of the sun

Because you've learned, because you've learned

 

忘れろ。忘れるんだ。お日様の温もりなんて

そいつはお前の火傷をひどくするだけだぞ

隠れろ。隠れるんだ。太陽の届かない所へ

そうさ、解かってる筈だろ。解かってしまった筈だろ

 

On the outside, always looking in

Will I ever be more than I've always been?

'Cause I'm tap, tap, tapping on the glass

Waving through a window

I try to speak, but nobody can hear

So I wait around for an answer to appear

While I'm watch, watch, watching people pass

Waving through a window, oh

Can anybody see, is anybody waving?

 

皆の中に入れずに、ここから横目で眺めてる

これから先も変わらないのかな

窓のガラスを叩きながら

皆に向かって手を振ってるのに

上げてみた声だって、誰の耳にも届かない

ここで答えが出るのを待ちながら

道往く人達を眺めながら

彼らに手を振ってみるけど

見てくれる人も、手を振ってくれる人だって

 

When you're falling in a forest and there's nobody around

Do you ever really crash, or even make a sound?

When you're falling in a forest and there's nobody around

Do you ever really crash, or even make a sound?

When you're falling in a forest and there's nobody around

Do you ever really crash, or even make a sound?

When you're falling in a forest and there's nobody around

Do you ever really crash, or even make a sound?

Did I even make a sound?

Did I even make a sound?

It's like I never made a sound

Will I ever make a sound?

 

お前が森の中で木から落ちて、その時周りに誰も居なかったとしてだ

それは本当にまずいことなのか?実は物音一つ立っていないんじゃないか?

もう一度言うぞ。お前が木から落ちたとして、周りに誰一人居なかったのなら

それは何も無かったってことと同じじゃないか?誰もその音すら聞いていないんだ

もし仮にお前が怪我をしたとしても、誰も周りに居ないのだったら

それが一体何だって言うんだ?誰の何に影響するんだ?

そうさ、お前の身に何かあっても、誰もお前の周りにいないんだったら

世の中からしたらどうでもいいことだろ?誰一人気付けないんだ

僕は音すら立てていなかったのか

僕は音すら立てることができなかったのか

それってずっと、気付いてすら貰えてなかったってことか

いつか音を立てられるだろうか

 

On the outside, always looking in

Will I ever be more than I've always been?

'Cause I'm tap, tap, tapping on the glass

Waving through a window

I try to speak, but nobody can hear

So I wait around for an answer to appear

While I'm watch, watch, watching people pass

Waving through a window, oh

Can anybody see, is anybody waving back at me?

Is anybody waving?

Waving, waving, whoa-oh, whoa-oh-oh-oh

 

皆の輪から外れた場所で、何度も何度も皆を見ている

いつもこうだ。いつまでこうなんだ

何度もこのガラスを叩いてるじゃないか

ずっとこの窓から手を振ってるじゃないか

話しかけてみたって、声すら皆に届いてくれない

どうすればいいって言うんだ。何もできずに

ただ沢山の人が過ぎて往くのを眺めながら

皆に向かって手だけは振ってみるけど

誰にも見えない?誰も手を振り返してくれない?

たったの一人も?

誰か手を振り返してよ。誰でもいいから

 

この曲について

 最初にお断りしておきますと、この曲は「ディア・エヴァン・ハンセン(Dear Evan Hansen)」という、アメリカのミュージカルの中の一曲ですが、僕はまだこのミュージカルを見たことは有りません(※昨年アメリカで公演されたばかりなので、当然なのですが……)。なので、オフィシャルサイトやWikipediaで得たあらすじしか知らない中での解釈となり、正直どこまで曲の内容を表現できているかが自分でも疑問なのですが、少なくとも自分にとってこういう曲に映った……という体で進めさせて頂ければと思います。

 

 まず、歌詞に I という一人称と、You、Weという二人称が入り混じるので、最初は主人公のエヴァン(Evan)から誰かに向けたメッセージなのかなと思ったのですが、歌詞とミュージカルの内容を見る限り、I も You も We も全てエヴァン自身を指していると思われます。つまりこの歌詞の向き先は全てエヴァンからエヴァンに向いているようです。

 

 少し劇の解説になりますが、エヴァンは社会不安障害を抱えており、周囲と上手く打ち解けることができずにいる17歳の少年で、そのセラピーの一環で自分で自分に手紙を出しているという背景があります。この曲中、一人称になったり二人称になったりするのは、恐らくこの前提があるからではないかと思われます。なので、心許せる誰かと一緒に居たいと思うエヴァンと、それは叶わないし叶えてはいけない望みだと諭すもう一人のエヴァンが入り混じって、こういった歌詞の運びになっているのだろうなと解釈しました。

 

 1番の1節と2節では、諦めつつもどこかで皆と一緒の輪の中に入りたいと望むエヴァンと、それを何度も試みて何度も酷く辛い目にあってきたことを覚えているエヴァン。この両者の葛藤が描かれているようです。そしていつも、人とは関わらないで済む道を最終的に選択してきたようです。

 

 しかし、2番の後、When you're falling in a forest and there's nobody around の部分ではそんな、人を避け続けてきた自分自身の存在価値に疑問が生じ始めているようです。ここの歌詞はかなり哲学めいた内容になっており、訳が正しいか今でも自信が無いのですが、多分「誰とも関わることが無いと言うのは、存在していないことと同じではないか?」という問いかけの例えだと思われます。これを4回も自問自答しており、どうもここでエヴァンは、このままでいることへの不安と焦りが急激に増しているようですね。

 

 そして最後は、窓を叩こうが手を振って呼びかけようが誰にも相手にされないことに絶望を覚え、しかしそれでも、誰でもいいから自分に気付いて欲しい、手を振って呼びかけに答えて欲しいと切望します。曲調こそ明るく軽快ですらありますが、その曲自体がエヴァンを置いてけぼりにしているような、そんなイメージが浮かぶ気がします。

 

 さて、改めてですが、この曲は2016年に公演が開始され、2017年にトニー賞のミュージカル作品賞を初め6部門で賞を獲得した、アメリカのミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」の中の一曲で、エヴァン役であるベン・プラット(Ben Platt)によって歌われています。

 


"Waving Through a Window" from the DEAR EVAN HANSEN Original Broadway Cast Recording

 

 現代のブロードウェイミュージカルの情報を収集するようなことは普段はしないのですが、たまたまOwl Cityが歌っているバージョンを耳にして一発で惚れこんでしまい、それからこのミュージカルにも興味が湧いてしまいました。
 ……とは言え、仮に本場まで見に行ったところで何言ってるか分からないと思うので、RENTやHairsprayみたいに映画化されることを待ち望んでおります。

 

 また、Owl Cityのバージョンは彼らしくテクノを取り入れた曲調になっています。大幅なアレンジという風ではないですが、オーケストラと比較して無機質で寂しい感じがところどころに出てると思います。

 


Owl City - Waving Through a Window (From Dear Evan Hansen) Lyrics [CC]

訳、言葉について

 Slamには「勢いよく叩きつける」というニュアンスがあります。その為、ブレーキの上に勢いよく叩きつける→急ブレーキを踏むということになるようです。

 

 Slip upは、「失敗する」という意味の熟語ですが、ニュアンスとしては「うっかりやらかす」という感じで使うそうです。

 

 同じくSlipを使った熟語でSlip awayとありますが、これは「席を外す」とか、「そっと抜け出す」という意味で使うようです。

 

 Step outは、「外出する」という意味と「急ぐ」という意味があります。今回はStep out of the sunとなっているので、陽の光が当たる所の外側に出ろ……つまり日陰に入れという意味と思われます。

 

 Look inは、じっと見ると言うよりは「ちらっと見る」という感じで使うようです。今回の曲ですと、皆の輪の中に入れないと思いつつも入りたいと願っているエヴァンの心情にマッチした言葉なのかなと思います。

 

 この曲のタイトルでもあるWavingですが、波を意味するWaveを動詞として捉えると「手を振る」という意味になります。なので、Waving Through A Windowで「窓越しに手を振る」となります。
 ※それにしてもこの窓はどういう窓なんでしょうね。エヴァンは左手を骨折しているので病院の窓なのか、皆のいる学校の教室の窓なのか、それとも心理的な例えなのか。

 

 そして多分、この曲を訳す上で一番の難関が、Do you ever really crash, or even make a sound? ではないかなと思います。そのまま訳すと

「君は本当にいつも墜落するのか、それとも音すら立てるのか?」

みたいな文章になって意味が分からないのですが、少し日本語固有のニュアンスを加えて「~と言えるのか」とすると

「君は本当にいつも墜落したと言えるのか、それとも音すら立てたと言えるのか」

となり、少し分かり易くなるのかなと思います。そこからさらにニュアンスを変えて

「君は本当にいつも墜落したと言えるのか、いやむしろ音すら立てたと言えるのか」

と解釈できるのかなと思います。そしてここは直前に、When you're falling in a forest and there's nobody around(君が森に落ちて、その時周りに誰もいなかったとしたら)という歌詞があるので、まとめると

「君が森に落ちて、その時周りに誰もいなかったとしたら、それは本当に墜落したと言っていいのか、むしろ音すら立てていないのと同じではないか」

となるのではないかなと思います。ここは本当に自信が無いので、違ってたらどなたか教えてください。

プロフィール

笹森茂樹

カテゴリ
関連アーティスト検索
検索