When The Saints Go Marchin' In / Louis Armstrong

Lyrics&訳

Oh, when the saints go marching in

Oh, when the saints go marching in

Oh how I want to be in that number

When the saints go marching in

 

我らの聖者が、列を成して

彼の地へと歩を進めるならば

どうか、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the drums begin to bang

Oh, when the drums begin to bang

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

太鼓の音が鳴り出したなら

彼らを見送る太鼓の音が

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the stars fall from the sky

Oh, when the stars fall from the sky

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

夜空の星が流れたのなら

彼らを迎える数多の星が

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the moon turns red with blood

Oh, when the moon turns red with blood

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

月が赤き血に染まるのならば

共に想いを馳せれる月が

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the trumpet sounds its call

Oh, when the trumpet sounds its call

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

喇叭の音が響いたならば

彼の時を告げる喇叭の音が

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the horsemen begin to ride

Oh, when the horsemen begin to ride

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

兵隊が馬に乗り出したなら

列を指揮する兵隊たちが

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the fire begins to blaze

Oh, when the fire begins to blaze

I want to be in that number

When the saints go marching in

 

松明に火が灯されたなら

彼らを導くこの送り火が

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が彼の地へ向かうその時

 

Oh, when the saints go marching in

Oh, when the saints go marching in

I want to be in that number

When the saints go marching in.

 

我らが聖者が征く時が来た

街から彼の地へ征く時が来た

ああ、彼の列へ我も加え給え

聖者が我らを去る時が来た

 

この曲について

 日本でも「聖者の行進」或いは「聖者が街にやって来る」という曲名で知られており、メロディはとても馴染み深い曲だと思います。CM等では替え歌で歌われることも多いですし、ジャズバンドによるインストゥルメンタルで流されることも多いですね。しかし一方で、本来の歌詞の内容そのものに触れる機会は割と少ないのではないかなと思います。

 

 この曲は見てお察しの通り、元を辿れば死者との別れを告げる葬式用の曲です。発祥はアメリカのニューオーリンズで、当時奴隷だった人々が、死者を埋葬後にこの曲を明るく歌いながら家路についていたそうです。
 土地の風習から自然発生的に生まれた曲らしく、作詞・作曲者は不明となっております。歌詞も特にこれが正式という物がありません。恐らく、その場のノリで歌う趣の強い曲なのでしょうね。ただ、英語版Wikipediaには「一応標準」とされる歌詞が掲載されており、今回はそれをお借りしております。

 

 この曲は最初、亡くなって聖者の仲間入りをした人が、その聖者の隊列の中に立っています。この時、この隊列はまだ動いておらず、軍隊風に言うのであれば「待機」の状態にあるのだと思われます。

 

 しかしここから一つ一つ、別れの時が近づいていることを示す事柄が歌われます。太鼓の音が鳴り、星が見えて月が赤く染まる時刻となり、ラッパの音が響き渡り、兵隊が馬に乗り始め、松明に火が灯される。そんな一つ一つの小さなことに曲をまるごと一章ずつ割いておりますね。そこから「ああ、ついに……ああ、ついに……」といった名残惜しさと、最期の別れの時がいよいよ来てしまうのだという覚悟のような物が、この曲からは読み取れるのではないかなと思われます。そして、その名残惜しさを精一杯込めた言葉が、「I want to be in that number(私もその一員に加えて欲しい)」なのかなと思います。

 

 先ほど、正式な歌詞と言うものが無いと言うお話をしましたが、この曲が持つ構成と「名残惜しさ」が一つの理由なのではないかなと思います。上に記した通り、この曲の一章一章は本当に些細な瞬間を切り取って歌っています。これは逆に言えば、この些細な瞬間を見つけさえすれば簡単に曲の中に盛り込むことができるということであり、結果として曲をいくらでも長くすることができることになります。その為、気の済むまで、名残惜しさが消えるまで、歌詞を思いつく限り独自に盛り込んで歌っていたのではないかなと思います。
 ……というより、各個人の想いに相応しい、好きな言葉を盛り込んで歌える曲として自然発生したという経緯が先にあったのかもしれません。そして、その中で普遍的に使える歌詞が代表して知られているといった方が、この曲の歴史として正しい順序のようにも思えます。

 

 ところで、葬式の曲なのにこんなに明るくていいのでしょうかという疑問に対して「この曲は黒人奴隷たちによって歌われた物であり、死することで奴隷と言う身分から解放されたのだから喜んでやろうという想いから生まれた曲」という一応の回答があります。
 勿論これには充分に一理あると思うのですが、ただ本当にそれだけかどうかはちょっと疑問です。実際、奴隷制度のような物が無かった国でも死者を明るく送り出す風習は有りますし、日本ですら一部の地域では喪主の家でどんちゃん騒ぎをしたりします。
 人が亡くなった際に悲しく思うのは万国共通だと思いますが、ではその悲しみをこれからどうするかという事については、人によって選択肢が分かれるはずです。そしてこの「敢えて楽しく騒ぐ」というのは、そんな選択肢の中の一つとして、普通に考えられ得る手段なのではないかなと個人的には思います。その為、この曲は単に奴隷制度という歴史により生まれた悲しい曲とだけ捉えるのではなく、やっぱりシンプルに故人を偲び、でも残された人を明るく励まし、悲しみを乗り越えようとする曲として捉えたいです。少なくとも、歌詞の内容を見る限りは、心から送り出すことなどしておらず、むしろ名残惜しさたっぷりの曲に思えますから。

 

 さて、この曲は前述の通り、いつ作られたかも分からない曲ですが、最初にレコーディングしたのはルイ・アームストロング(Louis Armstrong)のようです。Youtubeで見られる彼のバージョンはこんなに歌詞は長くなく、楽器によるジャジーな演奏を主体としたパフォーマンスになっています。

 


Louis Armstrong - When The Saints Go Marchin' In

 

 個人的には、この曲を聴くとマリオペイントを思い出すのですが……僕だけですかね。

 

訳、言葉について

 Saintは聖者の事ですが、ここでは亡くなったことで聖者となった人ですね。仏教でも死ぬと仏になるということなので、亡くなることで神聖化するというのは普遍的な概念なのかもしれませんね。

 

 I want to be in that numberのnumberは、日本語で言う「頭数(あたまかず)」のニュアンスに近いかなと思います(勿論、歌詞にそのまま使うにはちょっとアレなので、そのようには訳しませんでしたが)。