Lyrics&訳
I wish I knew how it would feel to be free
I wish I could break all the chains holding me
I wish I could say all the things that I should say
Say 'em loud say 'em clear for the whole round world to hear
もし知ることができたなら。自由であるとはどんな気持ちかを
もし砕くことができたなら。私を縛る全ての鎖を
もし言うことができたなら。私が言うべき全てのことを
凛とした声、大きな声で。取り巻く世界が耳にできるよう
I wish I could share all the love that's in my heart
Remove all the bars that keep us apart
I wish you could know what it means to be me
Then you'd see and agree that every man should be free
もしも分かち合えるなら。この胸にある全ての愛を
私達を分けて隔てる扉の鍵を外せるのなら
もしもあなたが知られたのなら。私がこの世に生きる意味を
この世に生きる全ての人の、解き放たれるを許せたら
I wish I could give all I'm longin' to give
I wish I could live like I'm longin' to live
I wish I could do all the things that I can do
Though I'm way overdue I'd be starting anew
もしも与えられたなら。与えたくて止まないものを
もしも生きて行けたなら。焦がれて止まない生き方で
もしもこの手で為せたなら。私ができる全てのことを
例え新たに始めるのには、既に遅すぎていたとしても
Well I wish I could be like a bird in the sky
How sweet it would be if I found I could fly
I'd soar to the sun and look down at the sea
And I sing 'cause I know how it feels to be free
そう、もしも生きて行けたなら。空を渡るあの鳥のように
素晴らしいはず。飛び立つ術を見つけたのなら
あの太陽まで舞い上がり、この海原を見下ろして
私は歌うの。そう、知ることができたからと。自由であるとはどんな気持ちかを
この曲について
生きて行くのに息苦しい世の中に対して、ささやかな願いを込めた曲でしょうね。色んなしがらみがあったり、制約があったりして、言いたいことも言いづらい、やりたいこともやりづらい。そんなことを、何も気にせず思いのままにできる世の中であったら……そんな想いが綴られた曲だと思います。
この曲では、自由になる方法を知ること、自分を縛り付ける物が解かれること、自分の想いを心のままに伝えられること、そんなことが願われていますが、その願いの言葉は hope ではなく wish です。となると、この主人公は、それらの願いが非現実的な物であることを知っていることになります。その為、心から本気で願っていると言うよりは、せめてそんな願いは歌に乗せよう。そんな気持ちかもしれません。
得たいものが得られないということは、まあよくあることだとは思うのですが、そうではなく、与えたいものを与えることすらできないという不自由も、この曲には歌われています。願いといっても様々ですが、この曲においては欲望ではなく理想と言った方が近いでしょうね。
さて、この曲はニーナ・シモン(Nina Simone)によって、1967年に歌われた曲です。曲自体はビリー・テイラー(Billy Taylor)によって1963年の時点で作られており、ジャズの一曲として既にリリースされていましたが、その後それに歌詞が付けられたそうです。
Nina Simone - I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free (Audio)
ニーナの歌うこの曲は、明るくもややおとなし目の曲ですが、ジョン・レジェンド(John Legend)のバージョンでは、もっとノリのいいアレンジで歌われています。個人的には、こういう内容の曲こそ、こんな風に明るく歌いたいなぁなんて思います。
John Legend & The Roots - I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free
訳、言葉について
本文中にも書きましたが、wish で綴られる想いは「~だったらいいのに」という、願いと言うよりは祈りのような物になります。その為、根底には「まずそうそう実現しないだろうけど」という前提があります。
bars は bar の複数形です。 bar と聞くと「棒」を思い浮かべる人が多いと思いますが、もう一つ「閂(かんぬき)」という意味もあります。今回の曲では、後者ですね。
soar は「高く舞い上がる」という意味を持った言葉です。昔、トヨタの車に「ソアラ」と言うものが有りましたが、あれは 「Soarer(高く舞い上がる物)」という名を冠したグライダーの名前が由来となっているそうです。