さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

1965~1969年の関連記事一覧

Scarborough Fair|Canticle / Simon & Garfunkel

Scarborough Fair|Canticle / Simon & Garfunkel

 

Lyrics&訳

Are you going to Scarborough Fair

Parsley, sage, rosemary and thyme

Remember me to one who lives there

She once was a true love of mine

 

あんた、スカボロー市場に行くのかい

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

あの街に住んでる奴を思い出すな

あの時、あいつは俺にとって本当の──

 

On the side of a hill in the deep forest green

Tracing of sparrow on snow-crested brown

Blankets and bedclothes the child of the mountain

Sleeps unaware of the clarion call


──深い森の中に丘が在ってな。その脇に

雪の上にスズメの茶色の足跡と

山のように積まれた毛布とシーツ

時間が眠っちまったみたいにそのままだ

 

Tell her to make me a cambric shirt

Parsley, sage, rosemary and thyme

Without no seams nor needle work

Then she'll be a true love of mine

 

……服を誂えてくれって、伝えてくれないか。あいつに

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

縫い目も縫い留め無い奴でな

それが叶うぐらいなら、あいつともきっと──

 

On the side of a hill in the sprinkling of leaves

Washes the grave with silvery tears

A soldier cleans and polishes a gun

Sleeps unaware of the clarion call


──木の葉がばらついた丘の脇には

墓があるんだ。銀の涙で磨かれたな

そこで兵士が銃の手入れをしてる

時間が眠っちまったみたいにそのままだ

 

Tell her to find me an acre of land

Parsley, sage, rosemary and thyme

Between the salt water and the sea strands

Then she'll be a true love of mine

 

……土地を見つけるよう、伝えてくれないか。1エーカーほど

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

海と波打ち際の間にな

それが叶うぐらいなら、あいつともきっと──

 

War bellows blazing in scarlet battalions

Generals order their soldiers to kill

And to fight for a cause they have long ago forgotten


──真っ赤に燃え上がる大軍。戦争さ

指揮官が兵士に、人殺しを命じるんだ

またいつか忘れちまう、そんな程度の理由でな

 

Tell her to reap it with a sickle of leather

Parsley, sage, rosemary and thyme

And gather it all in a bunch of heather

Then she'll be a true love of mine

 

……刈入れ作業は、皮の鎌でやるよう伝えてくれないか

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

刈り取ったら集めて、ギリュウモドキの束の中に

それが叶うぐらいなら、あいつともきっと──

 

Are you going to Scarborough Fair

Parsley, sage, rosemary and thyme

Remember me to one who lives there

She once was a true love of mine

 

スカボローの市場に行くんだろ

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

あそこに居るあいつを思い出すよ

あの時、確かに彼女は俺の

 

この曲について

 皆さん、一度はどこかで聴いたことがあるであろう有名な曲だとは思いますが、まさかThe Weightより理解に苦しむことになるとは思いませんでした。有名な曲だからと思っていざ訳してみると、具体的なことは何一つ語られておらず、抽象的かつ突拍子もない言葉が連ねられています。さて、どう読み解いたものでしょう……

 

 とりあえずまず最初に押さえておくべき前提として、この曲は単にスカボローフェアと呼ばれることが多いですが、実際はスカボローフェアと言う寓話めいた古い詩と、カンティクル(Canticle(祈りの歌))という詩の二つをミックスして出来ております。

 

 この本来のスカボローフェアは実際にはもっと長く、そして詩の中に出てくる言伝も、一方通行ではなく双方向で行われるという構成となっています(参考資料:Wikipedia)。内容としては、お互いに無理難題を吹っ掛け、それができなければ恋人じゃない……と相手に伝えるといったもので、意味は理解できるけれど意図が理解できない不思議な詩になっています。

 

 一方で、それに重ねられたカンティクルの方は、この詩だけを切り取ってみれば比較的意図は明快かもしれません。人が訪れる様子の無い思い出の場所、兵士、墓、軍曹、大軍といった不穏なキーワードが並んでいます。こちらも具体的に主人公や恋人の身に何があったのかとか、今どうなっているという描写は有りませんが、少なくとも想いを馳せている方向性は感じ取れます。

 

 となると、どうもこの二つの詩を混ぜ合わせることで、先ほどの不可思議で意図の読めないスカボローフェアの詩に想いの方向性を与え、また歌詞内の言伝が一方向のみとなるようにアレンジすることで、遠き日と人を思う複雑な心情を表そうとしたのがこの曲では無いかなと思えてきます。
 実際、この曲はスカボローフェアとカンティクルが同時並行で複雑に歌いあげられており、聴くと何だか走馬灯のように、懐かしさ、やるせなさ、諦め、一縷の望みといった、まとまり無く絡み合う正負の想いが浮かんでは消えていく様を見ているような気分になります。

 

 さて、この曲はサイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)によって1966年にリリースされた曲で、この曲中にもある謎の言葉「Parsley, sage, rosemary and thyme」という名のアルバムに収録されています。サイモンとガーファンクルと言えばこの曲と言う方も多いのではないでしょうか。


Simon & Garfunkel - Scarborough Fair/Canticle (Audio)

 この曲は小さい頃からなんとなく知ってはいましたが、まさか今になってこんなに頭を悩まされるとはつゆも思いませんでした。更新が遅れたのはこの曲のせいです(笑)

 

訳、言葉について

 この曲で一番頭を悩まされるのは、やはりParsley, sage, rosemary and thymeでしょう。意味は勿論そのまま「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム」です。
 最初は、スカボロー市場と言うキーワードから、主人公の相手は行商人か何かで、これらのハーブを売り歩いているのかと思ったのですが、後半のエピソードとは全く繋がりません。繋がったとしても、別の所で矛盾が出ます。

 

 そして、ああでもない、こうでもないと悩んだ末、この言葉には一切意味は無いのではないかと思うようになりました。というのも、日本でも昔から伝わる歌には意味不明な言葉が沢山あるなと思った為です。例えば

 

「夜明けの晩に、鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ」

「茶壺に追われてトッピッシャン 抜けたらドンドコショ」

「行きはよいよい 帰りはこわい」

 

 のように、内容そのもの、もしくは前後の詩との因果関係が良く分からない歌詞も日本にありますし

 

「イチジク人参山椒にしいたけ」

「一番初めは一宮、二は日光の東照宮」

 

 のように調子だけを優先した全く意味の無い歌詞と言うのもあります。もしかしたら、Parsley, sage, rosemary and thymeもそんな類の言葉なのかもしれません。

 

 また、ハーブは病気を祓う薬草としても使われていたので、言葉に発するだけでも魔除け効果のあるおまじないのようなものしれませんね。
※これも日本にも、桑原という地には雷が落ちなかったことから、雷除けのおまじないで「桑原桑原」なんて唱える風習がありますね。

A Lover's Concerto / The Toys 他多数

A Lover's Concert / The Toys

 

Lyrics&訳

How gentle is the rain

That falls softly on the meadow

Birds high above in the trees

Serenade the flowers with their melodies oh oh oh

 

嗚呼、温もり深く優しい雨が

緑の大地に降り立っていく

木々の頂には鳥たちの歌

花ゆれる音は小夜曲の調べ

 

See there beyond the hill

The bright colors of the rainbow

Some magic from above

Made this day for us just to fall in love

 

あの丘にまで広がる景色

陽を受け煌めく鮮やかな虹

神様の気まぐれな奇蹟が

私達に恋する勇気を

 

Now I belong to you

From this day until forever

Just love me tenderly

And I'll give to you every part of me oh oh oh

 

今、貴方と共に在る

今日この日より、果つることなく

私を包む愛さえあれば

貴方に全てを捧げようと

 

Don't ever make me cry

Through long lonely nights without love

Be always true to me

Keep it stay in your heart eternally

 

どうぞ悲しみを奪い去って

心細い日、愛無き夜を

常に私に偽りの無き

今の貴方で在り続けていて

 

Someday we shall return

To this place upon the meadow

We'll walk out in the rain

Hear the birds above singing once again oh oh oh

 

今この時を忘れなきよう

この緑の大地に再び立とう

雨が終わりを知るまで歩こう

また鳥たちの歌が降るまで

 

You'll hold me in your arms

And say once again, you love me

And if your love is true

Everything will be just as wonderful

 

私をその腕で抱き留めて

そして今一度、愛していると

その言葉に偽り無ければ

世界は薔薇色で在り続ける

 

この曲について

 何というか、愛の讃歌の王道を行くような曲ですね。愛し合う二人がいて、そのお互いの想いにより世界が色鮮やかに彩られていくような、そんなイメージが浮かぶ気がします。

 

 ただ、愛の讃歌と書きましたが、この曲の歌詞からは愛し合う二人が強くイメージできるかと言うと、どうもそんな気がしません。確かにこの曲の主人公は二人の恋人なのでしょうけれど、この曲の焦点はその二人を祝福している世界のように思えます。

 

 優しく降る雨、広がる草原、鳥のさえずり、花の揺れる音、そして雨が上がって鮮やかに架かる虹。二人の世界を織り成す、これら一つ一つの全てから幸せがにじみ出ているような、そんな瑞々しさがこの曲の魅力ではないでしょうか。そしてこの二人の恋という主題を、様々な音色を持つ世界が盛り上げていくという、その様子こそがこの曲のタイトル「A Lover's Concerto(恋する者の協奏曲)」となるのかなと思います。
 なので是非、木、花、鳥等、これらが全て複数形のsをつけて表現されている点も、この曲をイメージするポイントに加えてみて下さい。

 

 さて、この曲は1965年にザ・トイズ(The Toys)によって初めて歌われたものですが、その後も様々な歌手によってカバーされており、日本でも広く歌われてきております。

 


 The Toys - Lovers Concerto - HQ

 

 また日本では、特に最近はサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)のバージョンが良く知られているのではないかなと思います。

 Sarah Vaughan - A Lover's Concerto

 

 ところで、この曲を聴いて「あれ、この曲ってメヌエットって言うんじゃなかったっけ」と思われる方も多いのではないかなと思います。メヌエットはクリスティアン・ペツォールト(Christian Petzold)によって作られた曲で、音楽の教科書で「メヌエット ト長調」として習ったのではないかなと思います。(※なお、以前はバッハ(Bach)作曲と考えられていました)
 A Lover's Concertoはこの曲を元にして作られた曲とのことで、そんなバロック時代の曲調を源流にしている為か、主人公となる恋人二人も「女と男」というよりは「貴婦人と殿方」といった出で立ちが思い起こされます(僕だけでしょうか……)。たまにはこんな、麗らかなラブソングも良いですね。

 

訳、言葉について

 Serenadeは、日本でもほぼそのままローマ字読みでセレナーデと言いますが、小夜曲と訳せます。元は恋人の家の前で恋人を讃える歌の事で、その後オーケストラの楽曲の一形態の呼称となったそうですが、今回は単純に前者の意味で捉えればいいのではないかと思います。

 

 Until foreverは、直訳すれば「永遠まで」となりますが、つまりは「終わりはいつまでも来ない」と言うニュアンスで捉えればいいのではないかと思われます。

 

 一点疑問だったのは、I'll give to you every part of me です。 これ、普通に考えれば to なんか付けずに、 I'll give you every part of me とすればいいんじゃないかと思うのですが、どのようなニュアンスの違いがあるんでしょうね。

The Weight / The Band

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Lyrics&訳

I pulled into Nazareth, was feelin' about half past dead

I just need some place where I can lay my head

"Hey, mister, can you tell me where a man might find a bed?"

He just grinned and shook my hand, "no" was all he said

 

ナザレに来たときゃ、俺は半分死にかけてたな

ま、せめて、横になれる場所くらい欲しいもんだと

「おい、ちょっとそこのあんた。ゆっくり眠れそうな場所は無いもんかね」

奴は俺の手を握り「んなもんねぇよ」ってニカッと笑いやがんのさ

 

Take a load off, Fanny

Take a load for free

Take a load off, Fanny

And you put the load right on me

 

積み荷を降ろせ、このぐうたらめ

持っててもいいが金にはならんぜ

そんな荷物は降ろすんだ

俺が引き受けてやるからよ

 

I picked up my bag, I went lookin' for a place to hide

When I saw Carmen and the Devil walkin' side by side

I said, "Hey, Carmen, come on let's go downtown"

She said, "I gotta go but my friend can stick around"

 

ドロンする為に鞄一つで彷徨ってたら

カルメンが毒物みてぇな奴と並んで歩いてるのを見ちまった

俺は言ったね。「おいカルメン。俺と一緒に下町にでも繰り出さねぇか」って

アイツは言ったさ。「行きたいわよ。でも相方が離れてくれないの」ってな

 

Take a load off, Fanny

Take a load for free

Take a load off, Fanny

And you put the load right on me

 

重かないか、ろくでなしさんよ

んなもん持ってても一文にもならんぜ

ここで降ろして行けよ

で、俺の背中にでも乗っけちまいな

 

Go down, Miss Moses, there's nothin' you can say

It's just ol' Luke and Luke's waitin' on the Judgment Day

"Well, Luke, my friend, what about young Anna Lee?"

He said, "Do me a favor, son, won't you stay and keep Anna Lee company?"

 

行け、モーゼ女史さんよ。もう、あんたが言うべき言葉は何もないだろ

彼の大いなるルカは、審判の日をただ待つのみなのさ

「なあ、ルカ。お前、残されたアンナはどうするつもりだ?」

奴は言ったさ「頼みがある。お前、あの子と添い遂げてくれないか」ってな

 

Take a load off, Fanny

Take a load for free

Take a load off, Fanny

And you put the load right on me

 

背中から降ろせ、お人よしめ

持ってったって損するだけだ

いいから降ろせ。降ろしてけって。

俺が持ってきゃいいんだろ

 

Crazy Chester followed me and he caught me in the fog

He said, "I will fix your rack if you'll take Jack, my dog"

I said, "Wait a minute, Chester, you know I'm a peaceful man"

He said, "That's okay, boy, won't you feed him when you can"

 

今度はイカれたチェスターが霧に紛れて俺を掴んだのさ

「この犬、ジャックってんだ。連れてかねぇか。オメェん家の棚を直してもいいぜ?」

俺は言ったよ「おいおい、チェスター。オレ様を一体誰だと思ってるんだ?」

奴は言ったさ「そうこなくっちゃ。なるべくで良い。餌だけは食わせてやってくれな」

 

Yeah, take a load off, Fanny

Take a load for free

Take a load off, Fanny

And you put the load right on me

 

ああ、そうだ、置いていけ。お調子もん

お前に必要なもんだけ持っていけ

重いだろ。降ろしていきな

俺が持つ分には構わないからさ

 

Catch a cannonball now to take me down the line

My bag is sinkin' low and I do believe it's time

To get back to Miss Fanny, you know she's the only one

Who sent me here with her regards for everyone

 

特急列車に乗せちゃくれないか。今すぐ連れてって欲しいんだ

俺の鞄も重くなりすぎた。まあ、そろそろ潮時だろうな。

何がって、帰るんだよ。アイツんとこに。知ってるだろ。アソコは最高だ

言ってみりゃ、俺はアソコからこうやって、お前らの目の前に遣わされたようなもんだしな

  

Take a load off, Fanny

Take a load for free

Take a load off, Fanny

And you put the load right on me

 

さあ、荷物を降ろせ、野郎共

そんな荷物は何の得にもならねぇ

そんなムダに重てぇモンなんてなぁな

俺に預けちまって楽になりな

 

この曲について

 今までの訳の中で一番苦労したかもしれません。いやはや何とも掴みどころのない曲ですね。軸になるメッセージは「気楽にいこうぜ」とか「重い荷物は降ろしてしまっても良い」と言った、しんどい心を楽にしてくれるものだと思うのですが、それを構成する各々の要素が何せ意味が深いんだか浅いんだか訳が分かりません。

 

 その最たるものが、固有名詞の多さですね。個人名(犬を含む)だけでも、カルメン(Carmen)、ミス・モーゼ(Miss Moses)、ルカ(Luke)、アンナ・リー(Anna Lee)、チェスター(Chester)、ジャック(Jack)、そしてミス・ファニー(Miss Fanny)と、7名も登場しています。

 

 そしてまた、妙に聖書に因んだ名前が見え隠れするのが、余計に色々勘繰ってしまいたくなりますね。1番に出てくるナザレ(Nazareth)と言えば、ナザレのイエス、即ちイエス・キリストに縁のある地ですし、ルカは使徒の一人、そしてアンナはそのルカの福音書の中に登場する人物です。


 ただ、とりあえず訳を進めてみて感じたのは、どうもこの曲は聖書の内容を引用したり、なぞらえたりしているのではなく、単に聖書をからかっているんじゃないかなと。使徒であるルカに対して、My friendなんてフランクに語り掛けてますし、予言者アンナと結婚してくれなどと頼まれますし、だいたい本来男であるモーゼの名前を取ってミス・モーゼって、どう考えても悪い冗談でしかないですね。

 

 それはさておき、各章に登場する人物は、何かしら皆悩みを抱えています。離れたくても離れられない悪友のおかげでどこにも行けないカルメン、娘(と思われる)アンナを残してこの世を去ろうとしているルカ、飼い続けられなくなった犬、ジャックの始末に困るチェスター。そんな彼らを縛り付ける悩みを、この主人公は「俺が肩代わりしてやる」と言って、彼らの悩みを預かり、心の負担を取り除いてあげます。

 

 この人々の心の重荷を取り除くと言う行動を見る限り、ナザレの地名から考えても、何だか主人公=キリストっぽい感じがしますね。

 

 ですが、です。この主人公、それらを引き受けすぎて重くなりすぎた自分の荷物も、それはそれで最終的にはミス・ファニーに肩代わりして貰えばいいやって思っているようですね。この辺り、ちょっとお気楽気質が見え隠れします。

 

 そして、じゃあこのミス・ファニーってのは何者かと言う話になるのですが、耳でミス・ファニーと聞けば、単に自分の悩みとかを聴いてくれる女性がいるんだろうなと捉えられると思います。ですが、ここは人名のFannieではなくFannyです。Fannyは、言ってしまえば「お尻」ですとか、ともすれば「女性器」を意味する名詞で、それにMissを付けて人名っぽくしていることになります。・・・なるほど、確かに彼をこの世に送り出した張本人ですね。

 

 しかしまあ、そうなるとこの主人公は何というか「色々しんどくなってきても、まあ、一発ヤってスッキリすれば忘れられるだろ」っていう、かなりのーてんきな考えの持ち主なんじゃないかなぁと。で、それが、人々の心の重荷を肩代わりして取り除くと言う、言わばキリストを彷彿とさせる行動とっている人とイコールとなるわけでして……まあ、多分ここが一番の聖書のおちょくりどころなのかなと。つまり、キリストが人々の苦痛を取り除いたのは本当かもしれないけど、高潔な精神を持っていたかは疑わしいもんで、むしろこんなケセラセラでお調子モンな性格が幸いして、たまたま人々の助けになっていた……って方が現実的じゃね?という、俗物的なリアリティを聖書に持ち込んだように思えます。なかなか罰当りな曲ですね。

 

 ただ、この曲のメッセージの軸は、先ほども書いた通り「重い荷物は降ろしてしまえ」です。ではその重い荷物とは何かという話になるのですが、ここでは恐らく、「良心」ですとか「モラル」、「善と悪の概念」といった物が特にそれに当たるのかなと思います。通常は美徳とされながらも、見方によっては心を縛りつけてしまい、思ったように身動きが取れなくなる。そんな既成概念を「The Weight」と題し、そんなものは一旦手放してみたら?と聴き手に伝える為に、敢えてその象徴となる聖書をからかって見せたのかも知れません。そう考えるとやっぱりそれなりに深い意味を持っているのかなぁと。考えすぎですかね。

 

 さて、この曲はザ・バンド(The Band)によって1968年にリリースされた曲ですが、翌年アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)にカバーされており、どうもこちらの方が売れてしまったようですね。RESPECTと言い、この曲と言い、アレサが歌うと本家より売れてしまうと言う(笑)

 


The Weight - The Band (lyrics)

 


The Weight - Aretha Franklin (1969)

 

 本家こそ売れ行きはそこまで伸びなかったようですが、カバーしているアーティストはアレサだけに留まらず、様々なアレンジを施されて色んな人に歌われています。日本でも・・・あ、忌野清志郎さんが歌われてますね(正確には、石田長生さん、忌野清志郎さん、三宅伸治さん、藤井裕さんの4人で歌われています)。うーん、忌野清志郎さんがこの曲を歌うことに妙な納得感があるのは僕だけでしょうか……。

 


 曲の詳細な内容はともかく、生きてて何だかしんどくなったり面倒くさくなったりした時にはうってつけの曲なのではないかなと思います。

 

訳、言葉について

 まず、上記でFannyを女性器と訳しましたが、別の意味で「ろくでなし」とか「怠け者」とか「穀潰し」といった意味でも使われるそうです。なので、サビの部分のFannyは、こっちの意味で訳しました。

 

 Take a load for freeですが、普通に訳すと「タダで運んでくれ」という意味になります。が、これだと前後の文の繋がりが意味不明になるので、ニュアンスとしては「運ぶならタダで運んでいけ。金は払わん」という意味合いで捉えた方が自然かなと思います。そこから「運んだところで得にならないぞ」という感じに派生させてみました。

 

 3章にGo down Miss Mosesといフレーズが突然出てきますが、これはゴスペルソングに「Go down Moses(行け、モーゼよ)」という曲があり、恐らくこれのパロディーではないかと思われます。なお、Go downは「行け」の他に「控えおろう」のようなニュアンスも持っているようです。どっちで訳そうかと迷ったのですが、元ネタがあるパロディーであることを重んじて、前者を採用しました。

 

 また、同じく3章にWhat about young Anna Lee?という言い回しが登場しますが、What about ○○で「○○はどうだ?」とか「○○についてはどういう腹積もりなんだ?」というざっくりした問いかけに使えるようです。ThinkとかFeelとか使わなくていいんですねぇ……

 

 3章が続きますが、Do me a favorは、直訳すれば「私に親切にしてくれ」となり、それが転じて「頼みがあるんだが聴いてくれないか」というニュアンスに派生するようです。

 

 最後に出てくるCannonballは、一般的には大砲の玉ですが、特急列車を表す俗語として使われることもあり、今回はこちらかなと思います。

 

※2017/03/11 明らかな誤訳があったので訂正しました。

RESPECT / Aretha Franklyn

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Lyrics&訳

(Ooh) What you want

(Ooh) Baby, I got

(Ooh) What you need

(Ooh) Do you know I've got it

(Ooh) All I'm askin'

(Ooh) Is for a little respect when you come home (just a little bit)

Hey baby (just a little bit) when you get home

(Just a little bit) mister (just a little bit)

 

あなたが望んでる物

分かってるわ

あなたに必要な物

もう私は分かってるの。知ってた?

私が望むのは

あなたが家に帰って来た時。少しだけでも大事にされること(ちょっとでいいのよ)

そう、あなたが家に帰って来る時

ねえ愛しい人

 

I ain't gonna do you wrong, while you're gone

Ain't gonna do you wrong (ooh) 'cause I don't want to (ooh)

All I'm askin' (ooh)

Is for a little respect when you come home (just a little bit)

Baby (just a little bit), when you get home (just a little bit)

Yeah (just a little bit)

 

あなたが居なくなっても、私はあなたを責めやしない

そうよ、意地悪しないわ。そんなこと望んじゃいないもの

私が願うのは

大事にしてほしいの。あなたが帰ってきた時は(ちょっとだけいいから)

そう、あなたが家にもどってきた時にね

ねえってば!

 

I'm about to give you all of my money

And all I'm askin' in return, honey

Is to give me my profits

When you get home (just a, just a, just a, just a)

Yeah baby (just a, just a, just a, just a)

When you get home (just a little bit)

Yeah (just a little bit)

 

私はあんたに全財産つぎ込むような女で

でもってちゃんと見返りも求めるわ、ハニー

私へのご褒美をね

あんたが帰ってきた時の

ねえねえ

帰ってきてからのあれよ

ねえってば!(まあ、ちょっとだけね)

 

Ooh, your kisses (ooh)

Sweeter than honey (ooh)

And guess what (ooh)

So is my money (ooh)

All I want you to do (ooh) for me

Is give it to me when you get home (re, re, re ,re)

Yeah baby (re, re, re ,re)

Whip it to me (respect, just a little bit)

When you get home, now (just a little bit)

 

ああ、あんたの口づけ

蜂蜜の甘さも霞むような、ね

もしかして

お金目当てだったりしてね

でも私はあんたにして貰いたいの

帰ってきてからね

ねえねえ

刺激が欲しいの(大事にして。ちょっとだ・け)

帰ってきて、今すぐよ(待ちきれないわ)

 

R-E-S-P-E-C-T

Find out what it means to me

R-E-S-P-E-C-T

Take care, TCB

 

だ・い・じ・に・し・て

意味、分かってるわよね?

だ・い・じ・に・し・て

優しくしてね、ちゃ・ん・と・よ。

 

Oh (sock it to me, sock it to me, sock it to me, sock it to me)

A little respect (sock it to me, sock it to me, sock it to me, sock it to me)

Whoa, babe (just a little bit)

A little respect (just a little bit)

I get tired (just a little bit)

Keep on tryin' (just a little bit)

You're runnin' out of fools (just a little bit)

And I ain't lyin' (just a little bit)

(Re, re, re, re) 'spect

When you come home (re, re, re ,re)

Or you might walk in (respect, just a little bit)

And find out I'm gone (just a little bit)

I got to have (just a little bit)

A little respect (just a little bit)

 

ああ(もっとちょうだい)

あとちょっと大事にして(もっとってば)

もう、ねえったら(ちょっとだけ)

大事にしてってば(ちょっとだけでいいの)

ねぇ退屈よ(ちょっとだけね)

もっと続けましょうよ(ちょっとだけよ)

もっとはっちゃけちゃってよ(ちょっとだけだって)

やだ、本気よ?(ちょっとだけね)

だ・い・じ・に・し・て

あんたが帰ってきた時はね

ダメなら私、あんたが部屋に入った時

居なくなっちゃってるかもね

わたしはね、絶対

あんたに大事にされるべきなんだから

 

この曲について

 え~と……特に後半、訳してて段々自信が無くなってきたのですが、まず間違いないのは、愛しい人へのラブコールの曲ですね。で、多分それも、かなり生々しいというか、欲望むき出しと言うか……それでいて言葉尻は無闇にオブラートに包んでいるあたりがまたいやらしいというか……そんな感じの曲なんだと思うんですが……

 

 この曲の楽しみ処は、タイトルにもなっているRespect(敬う・大事に思う・価値を認める)という言葉が、歌詞を追うごとに、実は裏の意味を含んだ言葉であることが分かっていく点なのだと思います。

 最初では、それなりに普通の使われ方をしているように思えます。愛しい人が家に帰って来た時、私がそこにいるのを当たり前だなんて思わないで、少しはそれなりに特別感を持ってほしいと言っています。

 次のフレーズでは、もっと健気に見えますね。例え、愛しい人がいなくなってしまったとしても、それを責めない懐の大きい自分に、もっと有難味を感じて欲しいと言っています。

 

 ですが、これ以降から段々様子が妖しくなっていきます。自分の全てを相手に捧げたのだから見返りが欲しいとか、あなたとのキスって最高とか、どうもこの主人公は、愛しい人への思いが若干抑えられていないような様子を呈してきます。当初Respectという言葉は「私に対して少しは有難味ってものを持って欲しい」という意味合いでしたが、ここにくると、どうも「私をちゃんと女として扱って欲しい」という位の意味にスライドしているように思えます。何だか、焦れったい思いが今にも爆発しそうですね。

 と思ったら、本当に爆発しましたね。「RespectよRespect。意味分かってるわよね?」と相手に詰め寄ります。ということで、ここまで来ると最早Respectは「女としての悦びを与える義務くらいあるでしょ」ぐらいのニュアンスになっており、お互いの情事を匂わせる隠語として使われていますね。

 

 ここでRespectの裏の意味が分かってからは、ひたすら主人公は欲望に忠実に暴走していくイメージに思えます。なんかもう、相手のネクタイひっつかんで、ワイシャツのボタンを引きちぎって片足絡ませて自分も肩辺りから肌蹴させて(以下省略)

 こんだけ暴走しておいて「ちょっとだけね」なんて無駄に言い訳している辺りがまたユーモラスですな(?)

 

 さて、この曲はアレサ・フランクリン(Aretha Franklyn)によって歌われた曲ですが、実際のオリジナルはオーティス・レディング(Otis Ray Redding Jr.)の物と言われています。ただ、歌詞の内容はオーティス・レディング版は男が女にRespectを求めているのに対し、アレサ・フランクリン版は女が男にRespectを求めており、一部歌詞も改変・追加されています。というか、オーティス・レディング版の歌詞にそっくりそのままお返しするような形になっており、合わせて読むと夫婦喧嘩みたいで面白いですね。オーティス・レディング版も別の機会にご紹介したいと思います。

 


Aretha Franklin - Respect [1967] (Original Version)

 

 また、この曲がリリースされたのは1967年ですが、1960年代後半はアメリカで職場上の男女平等運動が盛んになり始めた時期です。そんな中にこの曲はマッチしていたのかも知れませんね。最初は女性側が控えめな主張を行い、それが段々エスカレートしていき、最後には自分の望むものをはっきりきっぱり言い放って、セックスの主導権まで女性側で持つ様を描いているこの曲は、男性に従属する女性というイメージを吹き飛ばすのに一役買ったのではないかなと思います。

 あと、この曲は海外ドラマgleeでも、メルセデスが第1話のオーディションでちらっと歌っています。いやぁ「私を認めなさいよ!」っていう、メルセデスらしい選曲かもしれませんね、こうしてみると。

 ※僕がglee大好きなので、gleeで使われたことのある曲は、今後もその旨記していこうかなと思います。

 

訳、言葉について

 Respectに関しては本文中で説明した通りなので割愛しますが、合いの手で出てくるJust a little bitは「本当にちょっとだけね」という意味で、色々なところで使われます。料理番組なんかでも、コショウを少々のような、この「少々」を言う時に使われたりします。

 

 Whip to meは、直訳すれば「私に鞭打って」となり、SMでもするのかしらと一瞬思ってしまいましたが、いくらなんでもそれは過激なので、単に「刺激をちょうだい」と捉えればいいかなと思います。

 

 途中、TCBという言葉がありますが、これはTake care of buisinessの略で、「やるべきことに気を配りなさい」という意味だそうです。端的に言えば「やることやって」というニュアンスになるのではないかなと思います。当然というかなんというか、この曲においてはセックスアピールの意味で使っているかと。

 

 また、暴走後(笑)に出てくる、Sock it to meは、普通に訳すと「私を打ち負かして」という意味になりますが、これもまた挑発的な意味合いで使っていると思われます。「どっちが先に力尽き果てるか勝負よ」のような、そんな感じでしょうか。

 

 一点良く分からないのが、You're runnin' out of foolsです。run out of 何々で、何々を使い果たすという意味となり、燃料切れの時によく使われる言葉なのですが、それに則って訳すと「あなたはおバカ成分を切らしている」のような意味になってしまうような……ということで、「気取ってないで」とか「本能ってものは無いの?」というような意味に訳してみたのですが……あ、これ、もしかしたらYou're runnin' out of fuel(あなた燃料(つまり精力)切れてんじゃないの)のダジャレなんでしょうか……?

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