さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

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I Will Follow Him / Little Peggy March

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Lyrics&訳

Love him, I love him, I love him

And where he goes I'll follow, I'll follow, I'll follow

 

彼よ。彼なの。彼が好きなの                                                                

何処に行っても、ついていくわ、追いかけるわ、離れないわ

 

I will follow him, follow him wherever he may go

There isn't an ocean too deep

A mountain so high it can keep

Me away

 

ついていくの。彼が何処へ行くことになろうと

行けない場所なんかないわ。海の底だろうと

山のてっぺんだろうと、無理なことよ

私を引き離すなんて

 

I must follow him, ever since he touched my hand I knew

That near him I always must be

And nothing can keep him from me

He is my destiny

 

この人しかいない。彼と手が触れる度、こう思うの

私はずっと彼の傍に居るべきなのって

そして、二人の間を邪魔する物なんてもう何もないって

彼こそ私の運命の人

 

I love him, I love him, I love him

And where he goes I'll follow, I'll follow, I'll follow

He'll always be my true love, my true love, my true love

From now until forever, forever, forever

 

彼しか見えない、彼しか考えられない、絶対彼しかいない

何処だって構わないわ。後を追うの。傍に居るの。一生ついていく

彼こそ疑いのない、本当の、真実の愛そのもの

今も、これからも、いつまでも、永遠にね

 

この曲について

 運命の人を見つけた。この人と離れるなんて考えられない。一生どこまでもついていくわ……と周りに宣言するという、正に男冥利に尽きる曲ですね。

 

 彼と一緒であれば、どんな険しい道だろうと、どんな困難が訪れようと構わないと、ただひたすらにそんな想いを歌っており、それ以外の要素は一切ありません。訳す前はもうちょっと何かあるだろうと思っていたのですが、本当にこれだけでした。

 

 字面だけ見ると、一歩間違えばストーカーソングになりかねない歌詞ですが、あまりそんなネガティブな印象を受けないのは、この曲が持つ明るくあっけらかんとした曲調のおかげでしょうね。にしても、本当に主人公は幸せそうです。ひたすら明るく幸せそうなラブソングって意外に無いので、却って新鮮な気もします。

 

 さて、この曲はLittle Peggy Marchによって1963年に歌われた歌です。と言うと、少し語弊があるようで、もともとは歌詞無しのインストゥルメンタルだったものに、何人かが歌詞を付けてリリースし、その中でアメリカと日本でヒットしたものがこの「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」だったようです。他にも歌う人によって「愛のシャリオ」だったり「ラブ・ユー・ラブ・ユー・ラブ・ユー」という別タイトルでリリースされているそうです。

※なお、シャリオは、現在ではチャリオットと言った方が分かる方が多いかもしれませんね。戦闘用馬車の事です。(凄いタイトル……)

※3/31追記 フランス語だと、Chariotは戦闘用に限らず、馬車全般やカーゴを指すそうで、イメージとしてはこちらでしょうね。失礼いたしました。

 


Little Peggy March - I will follow him (best version)

 

 充分に有名な曲ですが、多分2017年現在で60代未満の方では、このLittle Peggy Marchのバージョンではなく、映画「天使にラブソングを…(原題:Sister Act)」のトリの曲というイメージが強い方が殆どなのではないかなと思います。実際、このタイトルで検索をかけると、検索結果は国内海外問わず、天使にラブソングをの物が殆どになってしまいます。

 


Sister act - I will follow him (HD) (with lyric)

 

 ただ、この映画のバージョンでは、歌詞のhe、himは全てHe、Himになっています。つまり、「彼」ではなく「神様」になるのですが……この辺り、曲のチョイスが上手いなぁと思います。実際のこの曲の「彼」を「神様」に置き換えたところで、多少砕けて馴れ馴れしい感じにはなりますが、下品というか、神様で遊んでる感じとまではいかないところで抑えてる気がします。

 

訳、言葉について

 歌詞の都合上、区切れてしまっていますが、There isn't an ocean too deep, a mountain so high it can keep me awayまでで一つの文になっていると思われます。これを訳すと「私を(彼に)近づかせないような高い山や深い海。そんなものは存在しない」となります。…どうでもいいですが、なんでこういう時にThere aren'tって複数形にならないんでしょうね、英語って。

Christmas Auld Lang Syne / Bobby Darin

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Lyrics&訳

When mistletoe and tinsel glow

Paint a yuletide valentine

Back home I go to those I know

For a Christmas auld lang syne

 

ヤドリギやイルミネーションが

クリスマスやバレンタインを彩る時は

皆の元にちゃんと戻るよ。何て言うかほら、

昔っからクリスマスはそういうもんだろ

 

And as we gather 'round the tree

Our voices all combine

In sweet accord to thank our Lord

For a Christmas auld lang syne

 

皆ツリーの周りに集まってさ

皆の声を一つにしてさ

いい感じに響かせて祝おうじゃない

昔ながらのクリスマス式にさ

 

When Sleigh bells ring and choirs sing

And the children's faces shine

With each new toy we share their joy

With a Christmas auld lang syne

 

ソリのベルと歌声が響くと

子供達は大はしゃぎだよな

新しいオモチャ。それを見て元気を貰う俺ら

昔から続くクリスマスの風景だよな 

 

We sing His praise this day of days

And pray next year this time

We'll all be near to share the cheer

Of a Christmas auld lang syne

 

今日この日、皆で主を讃え歌おう

そしてこの時、来年のことを祈ろう

皆また、離れることなく喜びを分かち合えますようにって

この古き良きクリスマスが迎えられますようにって

 

In sweet accord to thank our Lord

For a Christmas auld lang syne

 

さあ、もう一回声を揃えて祝おうじゃない

クリスマスってものがあって良かったなって

 

この曲について

 ちょっとマイナーなセレクトかもしれませんが、聴いてみれば何のことは無い、蛍の光のクリスマスバージョンです。蛍の光は昔の時代を懐かしむ歌ですが、それをクリスマスに重ねることで、昔懐かしい友人たちとの大切な時間を、クリスマスと言うイベントが再びとりもってくれることへの感謝の歌だと思われます。

 

 1番の歌詞を見る限り、この主人公は故郷を現在は離れて暮らしているようですね。しかし、クリスマスとかバレンタインデーのような特別な日は、ちゃんと戻るよと言っています。これは悪い言い方をすれば、そういったイベントでもない限り、なかなか戻るきっかけが掴めないんでしょうね。確かに、理由も無くふらっと戻るというのは、大人になるとなかなかできないものですよね。なので、このクリスマスと言うイベントを、故郷に戻る一つの理由、言ってみれば言い訳にすることで、昔懐かしい、気の置けない仲間たちに再会しようとしているわけですね。

 

 で、いざ皆と会ってみれば昔と同じようた楽しいひと時が始まります。ワイワイ騒いで、みんなで一緒に飲んで歌って大笑いして……。そして、昔と違うこととして、自分にも皆にも、もう子供がいるわけで、皆それぞれにサンタさんに貰った新しいオモチャで騒いでいます。つまりこの場所には、昔の幸せと今の幸せが同居している状態になっています。これはもう最高の時間ですねぇ。そして最後にもう一度、こんな楽しいひと時を与えてくれた主とクリスマスにありがとうと言ってこの曲は締めくくられます。

 

 蛍の光のクリスマスバージョンと書きましたが、蛍の光はどちらかと言うと、一人でじっくりしんみり昔を懐かしむイメージですが、この曲はどうせ昔を懐かしむなら皆で一緒に懐かしんじゃおうという雰囲気ですね。曲調自体はしんみりしていますが、中は実際はどんちゃん騒ぎかもしれませんね。

 

 さて、この曲は1960年にBobby Darin(ボビー・ダリン)によって歌われた曲です。と言っても、僕がこの曲を知ったのは割と最近のことで、とあるクリスマスコンサートで初めて聴いた時は「あれ?蛍の光ってクリスマスの曲だったんだっけ?」と思いながら聴いてました。

 


Bobby Darin - Christmas Auld Lang Syne (1960)

 

 

 うっかりこの曲を何も知らずに聴いてしまうと、蛍の光=クリスマスの曲と信じられてしまうかもしれませんね。

 

訳、言葉について

 Auld Lang Syneで、日本で言うところの「蛍の光」の原題になります。これらは全てスコットランドの方言で、AuldはOld(古い)、LangはLong(長い)、 SyneはSince(ある時から)という意味だそうです。方言と聞くと、余計これらの言葉に人情味を含んだ温かみがありそうな気がしますね。

 

 また、yuletideは、クリスマスシーズンそのものを指す単語だそうです。1語である期間そのものを示せるというのは、やっぱりそれだけ特別な意味を持ったシーズンなんでしょうね。

 ただ、正直なんでこの後にvalentineが出てくるのかが良く分かっていません……そこまで特別なイベントでしたっけ?アメリカの方にとって。Syneとの韻踏みのためだけのチョイスなのか、一応それなりに意味があって書かれているのか……アメリカの伝統に詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。

The Times They Are A-Changin' / Bob Dylan

 

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Lyrics&訳

Come gather 'round people wherever you roam
And admit that the waters around you have grown
And accept it that soon you'll be drenched to the bone
If your time to you is worth savin'
Then you better start swimmin' or you'll sink like a stone
For the times they are a-changin'

 

さあ、のんきにほっつき歩いてる市民の皆。ちょっとこの辺に集まるんだ
いいか、もうすぐ大きな波が訪れる。それをまず認めるんだ
巻き込まれることはもう避けられない。受け入れるしか道はない
そして胸に手を当てて考えろ。今その人生を守りたいか
もしそうなら、行動を起こせ。今からだ。さもないと、なす術もなく沈んじまうぞ
時代は変わるんだ

Come writers and critics who prophesize with your pens
And keep your eyes wide the chance won't come again
And don't speak too soon for the wheel's still in spin
And there's no tellin' who that it's namin'
For the loser now will be later to win
For the times they are a-changin'

 

ああ、予言者気取りの物書きさんたちもよく聞いておくんだ
いいか、よくその目に焼き付けておけ。こんな機会は人生に1度有るか無いかだ
おっと、まだ話題にするのは早すぎる。まだかろうじて世は回れてる
それにまだ、誰がこれに名前を付けるのかも分かっちゃいない。
そら、これから負け犬が巻き起こす大番狂わせが始まるぞ。
時代は変わるんだ

 

Come senators, congressmen please heed the call
Don't stand in the doorway don't brock up the hall
For he who gets hurt will be he who has stalled
There's a battle outside and it is ragin'
It'll soon shake your windows and rattle your walls
For the times they are a-changin'

 

さて、お偉い議員の皆々様。あんたがたも気をつけるんだ
いいか、ドアの間には立たない方がいい。かといって、立てこもるのもお薦めしない
ぼさっとしてたら怪我しちまうぜ
表を見てみな。あんた方に災いをもたらす争いが繰り広げられてる。
そら、もうすぐその窓も壁も恐ろしい悲鳴をあげ始めるぞ
時代は変わるんだ

 

Come mothers and fathers throughout the land
And don't criticize what you can't understand
Your sons and your daughters are beyond your command
Your old road is rapidly agin'
Please get out of new one if you can't lend your hand
For the times they are a-changin'

 

なあ、この国に普く親御さんたちも覚えておくんだ
いいか、自分が理解できないことにまで口を挟むもんじゃない
もう息子さんたちだって世話を焼いてやるほど子供じゃない
それにあんた方の語る生き方は、奴らにとっちゃ古すぎるんだ
もうその手を貸せないのなら、道を譲って見守ってやれ
時代は変わるんだ

 

The line it is drawn, the curse it is cast
The slow one now will later be fast
As the present now will later be past
The order is rapidly fadin'
And the first one now will later be last
For the times they are a-changin'

 

時は来た。今、一つの終わりが始まる
そら、ドンくさかった奴にもう追い抜かれるぞ
今この時この瞬間も、あっという間に昔に変わるんだ
順位だ序列だなんて物は、もう無くなったも同然で
ああついに、王者も引きずり降ろされどん底に落ちる
時代が変わるんだ 

 

この曲について

 この曲はそれぞれの章のシチュエーションにおいて、時代の変化を象徴する出来事にスポットライトを当て、時代は常に変わるものなのだという訓示を、ギターとハーモニカで郷愁を交えつつ伝えている歌ですね。

 

 ……と昔、歌詞カードの訳を見てうっかりそんな解釈をしてしまっていたのですが、この曲の持つ様相はそんな穏やかな物では無いようですね。確かにこの曲は全部で5章に分かれておりますが、実際のところは大きく分けて2部構成となっています。第1部は1章~4章、第2部が5章です。そして、この曲における重要なキーは2章、そして5章にあると思います。

 

 第1章では、時代の変化と言うものを迫り来る水に例え、そんな中で泳ぐのをやめたら沈んでしまうよといった、かなり抽象的な表現に留めているのみで、具体的な話は特にありません。その為、この章だけを切り取ってみた場合、単なる人生の教訓話と見てとれると思います

 

 しかし、です。第2章で一つ重要な言葉が出てきます。それは、There's no telling who it's namin'という一文です。これは前後の文と繋げると「誰がこの逆転劇に名前を付けるのか、言える者はまだいない」という解釈ができます。これは裏を返せば、「これから間もなく起こる大逆転には、いずれ誰かによって名前が付けられる」という事を、この歌い手は確信しているという事になります。つまり、歴史に名が刻まれる程の規模で大きな出来事になると、彼は知っているのです。

 そしてまた、2章には訓示と思えるような物もなく、ただ「間もなく歴史的大逆転が起きるだろう」と言っているだけで、この章は何一つ完結していません。この事から、各章は別個の時代、別個のシチュエーションが描かれているのではなく、どうも同じ時、同じ場所のこととして繋がっていることが見えてきます。

 

 それを踏まえて第3章を見ると、もっと話が具体的になります。議員達に向かって、その建物から離れて逃げた方が良いと警告する傍ら、既に彼らの建屋の周りでは、今にもその壁を殴り、窓に掴みかからん程の争いが始まっていると言っています。

 

 この3章と2章を繋げた先から見えてくるもの  「革命」です。

 

 この事実に気付いたとき、第1章の持つ意味合いも一転します。一見、何かの道徳めいた響きを持つこれらの言葉も、この全てを見通せてしまっていた彼が語ったとしたら、これは教訓ではなく明らかな勧告です。

 

 第4章に出てくる親達も、この事によりその様相が違って見えてきます。もしこの章だけを独立して捉えてしまえば、この親達は単に新しいものを認めない頑固者です。しかし、1~3章を繋げた上で見てみれば、革命を起こそうと躍起になっている自分の子供らを心配し、或いは嘆き、時には暴力に訴えてでも立ちはだかって止めようとする必死な親達の姿が浮かび上がる気がします。

 

 さて、この4章までが第1部です。ここに至るまで、様々な警告、忠告、説得等を通じ、ただ一貫して時代は変わると告げられてきました。ここで重要なのは、逆を言えば1~4章の時点では、まだ時代は変わっていないということです。

 

 そして  運命の第5章です。
 唯一この章だけは「Come 誰々~」という言葉で始まっていません。これはもはや、周囲の人々に呼びかけて廻る段階ではなくなったという事です。新たな時代の始まりを示す線が引かれ、一つの時代を終焉へと至らしめる呪いが放たれる……革命の始まりです。これまで光を浴びなかった者が急に台頭し始め、今という時が瞬く間に昔に変わり、かつて序列と呼ばれた形は崩壊し始めることが、この章では語られます。

 

 しかしです。この章の情景はこれだけに留まらないということを忘れてはいけません。かつて第1章から第4章で告げられた事、それらがこの5章で堰を切ったように立て続けに起きることになるのです。子供達を止めることを諦めた老人たちはなす術もなく見守り、議会の建屋は打ち壊され、上院議員も下院議員も群衆に怯えて逃げ隠れ、かつての負け犬は勝利の雄叫びを上げ、行動を起こさなかったものは歴史の荒波に沈み、そしてついには、トップに君臨していた者も底辺へと転落する……そんな、混沌を全て一枚絵に収めたような景色が繰り広げられることになります。

 

 そして、少しも経つと、どこかの物書きが、この時代の変化と新たな時代に名前を付けるのでしょうね。

 

 さて、この曲はボブ・ディランの手になる著名な曲ですが、僕はこの曲はブラックモアズナイト(Blackmore's Night)というユニットによるカバーで知り、本家を改めて聴いたのはそれから大分後のことでした。

 ブラックモアズナイトのカバーは、北欧民族を思い起こさせる牧歌的でメロディアスな曲であった為、その後でボブ・ディランの歌うこの曲を聞いた時、あまりの衝撃に果たしてこれは歌なのかとすら思ってしまいました。何せ、かろうじてギターとハーモニカが鳴ってはいるものの、歌声にはメロディがあるのかどうかも怪しいもので、リズムに至っては皆無と言った有様。体裁を考えずに感情のままに書くことを殴り書くと言うなら、この曲を歌う彼は殴り歌っているという表現がぴったりに思えます。しかし実際に訳してそのイメージを掴んだ上で改めて聴くと、何とも味わい深く聴こえてしまうから不思議なものです。

 なので、今回は殴り訳すぐらいでもいいかなと、勝手に意味を変えたり脚色したりした、大分乱暴な訳にしてしまいました。ご容赦下さい。

 

 ただ実際のところは、原文自体はとても文学的な趣の強い作品に思えます。僕自身は英語の文学は全く読んだ事が無い為、何が良くて何が良くないのかは正直解からないのですが、どうも韻文の形式を大事にされているように見えますし、その上で全体では起承転結(この曲の場合、起転承結になる気もしますが)が完成されております。そして尚且つ、5章の最初の一文を皮切りにして、読み手に怒涛の展開を強烈にイメージさせるように物語の運び方が練られている辺り、素人目に見ても見事だなと思います。今回、改めて一から自力で訳してみて良かったなと思える曲でした。

 


Bob Dylan The Times They Are A Changin' 1964

 

訳、言葉について

 2章の最初にprophesizeという単語が出てきます。これは「予言する」を意味する言葉ですが、これはどうも古語とか、もしくは特定の地方でのみ使われるといった類の言葉であり、現在では「予言する」はprophesyを使用するのが正統な英語のようです。その為、Weblioで調べてもこの単語は出てこないのですが、面白いことにWord等のスペルチェック機能ではエラーにならないようです。
 ボブ・ディランが普段どちらを使っていたかは分かりませんが、prophesizeという亜種的な言葉を利用することで、胡散臭さやニセモノといった雰囲気を出したかったのかも知れませんね。

 

 そして、5章の最初に唐突に出てくる「The line it is drawn, the curse it is cast」ですが、これは僕の中で長らく謎の言葉でした。単純に意味を訳すことは出来ます。「線は引かれ、呪いは放たれる」です。しかし、これがいくら調べても何を意味しているのかが全く分からず、歌詞カードの訳も「一線が画され、呪いがかけられた」とだけ書かれている始末でした。その為、最終的には何かの銘文の引用なのだろうなと勝手に解釈していました。

 しかし、分からないのも無理が無かったように思います。僕の英語力の問題も勿論あるのですが、僕がこの曲を知ったカバーバージョンは1章、3章、5章しかなく、それぞれの章が繋がっているというイメージを描けなかったのです。恐らくこの一文は、曲の全体像をイメージできて初めてその意味を、臨場感を持って捉えられる気がします。逆に言えば、各章をバラバラに解釈していては、この部分を訳すことは不可能なのではないかと思います。

 ここで言われる線とは、一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを同時に意味する、歴史上の境界線です。歴史年表では例えば室町時代と安土桃山時代の間に線が引かれていますよね。ムードの無い例えですが、そんな時代と時代の境に引かれる線です。それが今、まさにこの瞬間に引かれようとしていることを表現していると思われます。

 そして呪いです。呪いとは一般的に、人の幸福や繁栄を阻害し、苦痛や災いを与え、時には死に至らしめるものです。それがこの一つの時代に向かって放たれたとすることで、その時代が終焉に至ることを表現しているのだと思います。

 

蛇足

 上記にもある通り、ブラックモアズナイトが歌うこの曲は、およそ原曲のイメージとかけ離れた、穏やかな、古き良き時代を彷彿とさせる雰囲気に仕上がっております。章も完全には語られず1章、3章、5章、そしてまた1章という構成になっています。

 


Blackmore's Night - The Times They Are a Changin - 720p

 

 これは完全に深読みや妄想の類になるのですが、ブラックモアズナイトのコンセプトというかイメージは、吟遊詩人のスタイルです。その為、かつて激動の時代に歌われたこの曲を、数十年後において彼らは「かつてこんな歴史があったんだよ」という、一つの叙事詩として歌っていると考えると面白いなと思います。その為に、詩もいくつか抜いて殺伐としたイメージを除き、最後に改めて1章を持ってくることで、歴史の教訓を含んだ伝承歌に生まれ変わらせたのかもしれませんね。


 勿論、僕の勝手な想像なのですが、そうだったら素敵だなと思います。


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