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Lyrics&訳

From a distance the world looks blue and green
And the snow-capped mountains white
From a distance the ocean meets the stream
And the eagle takes to flight

 

彼の場所からは、青く緑の世界が見える
山脈覆う雪の白も覗かせる
彼の場所からは、風と出会う海が見える
鷲もまた、懸命に羽ばたいている

From a distance there is harmony
And it echoes through the land
It's the voice of hope, it's the voice of peace
It's the voice of every man

 

彼の場所からは、幾重に織り成す音が見えて
その響きは大地を駆け抜けてゆく
それは希望なる声、それは平和たる声
それは全ての人々の声

 

From a distance we all have enough
And no one is in need
There are no guns, no bombs, no diseases
There's no hungry mouths to feed

 

彼の場所からは、満ち足りている我らが見える
何かを渇望する者もいない
銃も無く、爆弾も無い。疫病も、そして
飢えてねだる寂しい口も

 

From a distance we are instruments
Marching in a common band
Playing songs of hope, playing songs of peace
They're the songs of every man

 

彼の場所からは、我らはまるで楽器のようで
音は違えど、調べは一つに往き進む
奏でるのは希望の曲。歌うのは平和の歌
それは全ての人々の音楽

 

God is watching us,
God is watching us
God is watching us from a distance

 

神様は見ている
いつも見ている
彼の場所から

 

From a distance you look like my friend
Even though we are at war
From a distance I can't comprehend
What all this war is for

 

彼の場所からは、あなたは私の友人に見える
例え今、争いの中にあろうとも
彼の場所からは、答えの見えない自分が見える
この争いは、一体誰が為なのか

 

From a distance there is harmony
And it echoes through the land
It's the hope of hopes, it's the love of loves
It's the heart of every man
It's the hope of hopes, It's the love of loves
It's the song of every man

 

彼の場所からは、幾重に織り成す音が聴こえ
響き合って、世界の大地を吹き抜ける
それは希望の中の希望、それは愛の中の愛
それは世界の人々の心
それは希望の中の希望、それは愛の中の愛
それは世界の人々の音楽

 

この曲について

 この曲は、地球と言うかけがえのない物と、その中で織り成される平和な日々、そして戦争と言う悲惨な現実を歌った歌です。その歌詞を紐解いていくと、とてもイメージに強く訴えかける歌詞となっており、あたかもカメラワークがそこにあるような構成を取っています。

 

 まず1番では地球がドンと目の前にあり、その距離からは地球の素晴らしい色合いを讃えます。そして、そこから急激に拡大され、地球上の大洋にフォーカスが移り、その自然の雄大さが語られます。
 次の2番では、カメラはどこかの国、及びそこの人々にフォーカスを移し、悲劇や争いの種になるような物(銃、爆弾、疫病、貧困)は何もないと、幸せな様子を映し出します。
 最後の3番ではもっとカメラのフォーカスは狭まり、一人の人間にそのフォーカスを移します。そこには、戦争などなければ、何のためらいもなく目の前の相手と友人になれただろうと悔やむ人物の姿があります。

 ここで一つ重要なのは、この戦争のシチュエーションを描いた3番において、youという二人称が使われているという事です。つまり、これまで世界の美しさや素晴らしさを歌っていたこの主人公は、実は今も戦地にいたということです。そしてなお、和解や平和への希望と、この戦争が一体何のためになるというのか理解ができないという想いを、敵である相手に語りかけているということになります。
 タイトルが「From A Distance(離れた距離から)」なので、何となく全て第三者が語っているように見えますが、実はこの曲は、戦争の渦中に身を置くある一人の人物により、その切なる願いが歌われているというシチュエーションになります。

 

 上記の通り、この曲のメインのテーマとしては戦争を扱っておりますが、その取り扱い方として、世界と言うものに対しフォーカスを変えて眺めるという手法を取っています。その為、今が平和である人に対しては、確かに戦争といった悲劇は存在するということ、現在世界を悲観している人に対しては、確かに平和と言う希望も存在するということ……と、この曲に込められたメッセージも、聴き手の視点によっても、フォーカスが変わるという効果が出来ている気がします。

 

 さて、この曲は、ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)によって1987年に歌われ、その後1990年にベット・ミドラー(Bette Midler)によって再度歌われることとなり、その後に代表的な平和の祈りを込めた曲の一つとして、広く歌われるようになりました。最近は日本国内でも、元ル・クプルの藤田恵美さんが歌われたようです。

 


Nanci Griffith : From A Distance

 

 また、この歌は絵本にもなっており、国内訳版も「遠くから見ると」というタイトルで発売されたことがあるようです。(残念ながら、現在は絶版のようです)
 私がこの曲と出会ったのは、上記のどれでもなく、たまたまゴスペルアレンジされたのを聴いたのがきっかけでした。確かに歌詞の中には神様も出てくるので、教会で歌われることにも自然な曲かもしれませんね。

 

訳、言葉について

 この曲のタイトルである「From A Distance」をどう訳そうかが凄く困りました。確かに「遠くから見ると」でも全く間違いではないのですが、この曲の持ち味は、このDistance(距離)が、明示していなくてもだんだん狭まっていること、そして最終的には、目の前にいる人物と主人公との距離まで表現しているというところにあり、必ずしも「遠い」とは限らないのです。なので、何も飾らずに言うならば、「とある距離から」とか「例えばこの距離から」といったニュアンスの方がしっくりくる気がします。これを、日本語において一つの共通の言葉で、しかもそれぞれの前後の詞にきちんと続くように表現するのは、僕の語彙力ではちょっと無理があったように思いました。そう考えると、英語って便利(?)ですね。

 

 また、2番のサビに出てくるCommon bandですが、これは多分、周波数の共用帯域のことだと思われます。ここのフレーズでは、我々は楽器であると例えられていますが、恐らくその奏でる音色の一つ一つは違っても、全体で見ればほぼ同じ周波数帯に収まっている……即ち、上下も差別も無く、皆大体同じであるという表現ではないかなと考えました。