さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

Traditionalの関連記事一覧

I Saw Three Ships / Blackmore's Night 他

I Saw Three Ships / Blackmore's Night

Lyrics&訳

I saw three ships come sailing in

On Christmas Day, on Christmas Day

I saw three ships come sailing in

On Christmas Day in the morning

 

三隻の船の来たるを我は見た

クリスマスの日、聖なるこの日に

三隻の船の来たるを我は見た

清きこの日の朝陽の中に

 

And what was in those ships all three

On Christmas Day, on Christmas Day?

And what was in those ships all three

On Christmas Day in the morning?

 

彼の船に乗るは何れの者か

クリスマスの日、聖なるこの日に

彼の船に乗るは何れの者か

清きこの日の朝陽の中の

 

The Virgin Mary and Christ were there

On Christmas Day, on Christmas Day

The Virgin Mary and Christ were there

On Christmas Day in the morning

 

居わすは聖母マリアとキリストなるぞ

クリスマスの日、聖なるこの日に

居わすは聖母マリアとキリストなるぞ

清きこの日の朝陽の中に

 

Pray, wither sailed those ships all three

On Christmas Day, on Christmas Day

Pray, wither sailed those ships all three

On Christmas Day in the morning

 

祈れ、朽ちぬべきかな彼の三隻は

クリスマスの日、聖なるこの日

祈れ、朽ちぬべきかな彼の三隻は

清きこの日の朝陽の中で

 

O they sailed into Bethlehem

On Christmas Day, on Christmas Day

O they sailed into Bethlehem

On Christmas Day in the morning

 

おお、彼の船はベツヘレムへと辿り着かん

クリスマスの日、聖なるこの日

おお、彼の船はベツヘレムへと辿り着かん

清きこの日の朝陽と共に

 

And all the bells on earth shall ring

On Christmas Day, on Christmas Day

And all the bells on earth shall ring

On Christmas Day in the morning

 

大地の鐘ぞ鳴り響かん

クリスマスの日、聖なるこの日

大地の鐘ぞ鳴り響かん

清きこの日の朝陽の中で

 

And all the Angels in Heaven shall sing

On Christmas Day, on Christmas Day

And all the Angels in Heaven shall sing

On Christmas Day in the morning

 

天の御使いぞここに歌わん

クリスマスの日、聖なるこの日

天の御使いぞここに歌わん

清きこの日の朝陽の中で

 

And all the souls on earth shall sing

On Christmas Day, on Christmas Day

And all the souls on earth shall sing

On Christmas Day in the morning

 

普く御魂ぞここに歌わん

クリスマスの日、聖なるこの日

普く御魂ぞここに歌わん

清きこの日の朝陽の中で

 

Then let us all rejoice again

On Christmas Day, on Christmas Day

Then let us all rejoice again

On Christmas Day in the morning

 

讃える慶びを再び我らに

クリスマスの日、聖なるこの日

讃える喜びを再び我らに

清きこの日の朝陽の中で

 

この曲について

 主にイギリスで歌われることの多い、古い歴史を持つクリスマスキャロルで、遡ると作られたのは17世紀の事だそうです。


  この曲では、三隻の朽ちかけた船に聖母マリアとキリストが乗っており、彼らがベツヘレムへと向かう様子が描かれております。一見、聖書の中の1シーンにも思えるのですが、聖書に具体的にこのエピソードが描かれている訳ではないようです。

 

 ただ、ベツヘレムは福音書によってはキリスト生誕の土地とされており、この街の厩で聖母マリアがキリストを産んだとされています。その為、この船に乗っている聖母マリアとキリストというのは、実際はキリストを身籠った聖母マリアと言うことになるのかもしれませんね。なので、キリスト生誕の少し前のエピソードなのかもしれません。(ただ、そう考えると Christmas day という言葉は相応しくないようにも思えるのですが……)

 

 さて、この曲は前述の通り17世紀には既に存在していた曲のようで、現代では童謡を初めとして色んな方に歌われています。ここ数年ですと、このブログでも御紹介したことのあるブラックモアズ・ナイト(Blackmore's Night)が歌ったバージョンが手に入れ易い音源と思われます。(全詞は歌っていませんが)


Blackmore's Night - I Saw Three Ships

 

 日本ではあまりメジャーでは無いかもしれませんが、昨年何故かセブンイレブンでこの曲がかかっていた時期が有りまして、なかなか通な選曲だなぁ等と思った記憶が有ります。

 

訳、言葉について

 wither は、しぼむとか、弱っているという意味の言葉です。今回は船と言う物体に使われているので、老朽化してボロボロな様子を指すのではないかなと思います。

 

 O they ~ という表現が有りますが、この O は感嘆を意味する言葉として使うようです。日本で言う「おお」と同じ意味で捉えて良いようですね。

 

 今回はっきりと分からなかった言葉が2つありまして、一つはearthです。聖書の時代は地動説の概念が無かったはずなので、earth と言った時に、それは現代で言う地球のイメージでは無いのではないかなと思われます。と言うか、この曲が作られたとされる17世紀の時点でも、まだ現代ほど地動説が確固とした立場を形成していなかったため、この歌詞で言う earth は、もっと別の形をイメージするべきかもしれません。

 

 その上で、もう一つ分からなかったのが、All the bells on earth です。これが単に、地上にある鐘の事なのか、それともこの「鐘」が組み込まれた earth のモデル図があるのか、それとも神話のような類の物があるのかと言う点です。実際、これをタイトルとした本も出版されているようなのですが、洋書なので全部読むわけにもいかない(と言うか読めません(笑))ので、もしこの辺りの知識に明るい方がいらっしゃいましたら、お教えいただければと思います。

 

 なお、例によって古語っぽく書いていますが、雰囲気重視の出鱈目文法となっております(こら)

A Lover's Concerto / The Toys 他多数

A Lover's Concert / The Toys

 

Lyrics&訳

How gentle is the rain

That falls softly on the meadow

Birds high above in the trees

Serenade the flowers with their melodies oh oh oh

 

嗚呼、温もり深く優しい雨が

緑の大地に降り立っていく

木々の頂には鳥たちの歌

花ゆれる音は小夜曲の調べ

 

See there beyond the hill

The bright colors of the rainbow

Some magic from above

Made this day for us just to fall in love

 

あの丘にまで広がる景色

陽を受け煌めく鮮やかな虹

神様の気まぐれな奇蹟が

私達に恋する勇気を

 

Now I belong to you

From this day until forever

Just love me tenderly

And I'll give to you every part of me oh oh oh

 

今、貴方と共に在る

今日この日より、果つることなく

私を包む愛さえあれば

貴方に全てを捧げようと

 

Don't ever make me cry

Through long lonely nights without love

Be always true to me

Keep it stay in your heart eternally

 

どうぞ悲しみを奪い去って

心細い日、愛無き夜を

常に私に偽りの無き

今の貴方で在り続けていて

 

Someday we shall return

To this place upon the meadow

We'll walk out in the rain

Hear the birds above singing once again oh oh oh

 

今この時を忘れなきよう

この緑の大地に再び立とう

雨が終わりを知るまで歩こう

また鳥たちの歌が降るまで

 

You'll hold me in your arms

And say once again, you love me

And if your love is true

Everything will be just as wonderful

 

私をその腕で抱き留めて

そして今一度、愛していると

その言葉に偽り無ければ

世界は薔薇色で在り続ける

 

この曲について

 何というか、愛の讃歌の王道を行くような曲ですね。愛し合う二人がいて、そのお互いの想いにより世界が色鮮やかに彩られていくような、そんなイメージが浮かぶ気がします。

 

 ただ、愛の讃歌と書きましたが、この曲の歌詞からは愛し合う二人が強くイメージできるかと言うと、どうもそんな気がしません。確かにこの曲の主人公は二人の恋人なのでしょうけれど、この曲の焦点はその二人を祝福している世界のように思えます。

 

 優しく降る雨、広がる草原、鳥のさえずり、花の揺れる音、そして雨が上がって鮮やかに架かる虹。二人の世界を織り成す、これら一つ一つの全てから幸せがにじみ出ているような、そんな瑞々しさがこの曲の魅力ではないでしょうか。そしてこの二人の恋という主題を、様々な音色を持つ世界が盛り上げていくという、その様子こそがこの曲のタイトル「A Lover's Concerto(恋する者の協奏曲)」となるのかなと思います。
 なので是非、木、花、鳥等、これらが全て複数形のsをつけて表現されている点も、この曲をイメージするポイントに加えてみて下さい。

 

 さて、この曲は1965年にザ・トイズ(The Toys)によって初めて歌われたものですが、その後も様々な歌手によってカバーされており、日本でも広く歌われてきております。

 


 The Toys - Lovers Concerto - HQ

 

 また日本では、特に最近はサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)のバージョンが良く知られているのではないかなと思います。

 Sarah Vaughan - A Lover's Concerto

 

 ところで、この曲を聴いて「あれ、この曲ってメヌエットって言うんじゃなかったっけ」と思われる方も多いのではないかなと思います。メヌエットはクリスティアン・ペツォールト(Christian Petzold)によって作られた曲で、音楽の教科書で「メヌエット ト長調」として習ったのではないかなと思います。(※なお、以前はバッハ(Bach)作曲と考えられていました)
 A Lover's Concertoはこの曲を元にして作られた曲とのことで、そんなバロック時代の曲調を源流にしている為か、主人公となる恋人二人も「女と男」というよりは「貴婦人と殿方」といった出で立ちが思い起こされます(僕だけでしょうか……)。たまにはこんな、麗らかなラブソングも良いですね。

 

訳、言葉について

 Serenadeは、日本でもほぼそのままローマ字読みでセレナーデと言いますが、小夜曲と訳せます。元は恋人の家の前で恋人を讃える歌の事で、その後オーケストラの楽曲の一形態の呼称となったそうですが、今回は単純に前者の意味で捉えればいいのではないかと思います。

 

 Until foreverは、直訳すれば「永遠まで」となりますが、つまりは「終わりはいつまでも来ない」と言うニュアンスで捉えればいいのではないかと思われます。

 

 一点疑問だったのは、I'll give to you every part of me です。 これ、普通に考えれば to なんか付けずに、 I'll give you every part of me とすればいいんじゃないかと思うのですが、どのようなニュアンスの違いがあるんでしょうね。

Winter Wonderland / Richard Himber 他多数

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Lyrics&訳

Sleigh bells ring, are you listening?

In the lane, snow is glistening

A beautiful sight,

We're happy tonight

Walking in a winter wonderland

 

ソリの鈴の音が聴こえるかい?

道は雪で煌めいているよ

素晴らしい景色に

これだけ幸せな今宵

さあ、夢の銀世界を歩こうじゃないか

 

Gone away, is the blue bird

Here to stay, is the new bird

He sings a love song,

As we go along

Walking in a winter wonderland

 

青い鳥は行ってしまったわ

でもほら、新しい鳥がやってきた

愛の歌をさえずってくれる

私たちがずっと一緒にねって

さあ、夢の銀世界を歩きましょう

 

In the meadow we can build a snowman

And pretend that he is Parson Brown

He'll say are you married, we'll say no man

But you can do the job when you're in town

 

これだけ積もったら雪だるまが作れるね

そうしたら彼はさしずめナントカ牧師ってところかな

そうね。彼に御夫婦ですかって訊かれたら「違うわ」って言うけど

「でも今度お仕事お願いね。あなたが街に居るうちに」なんてね

 

Later on, we'll conspire

As we dream by the fire

To face unafraid

The plans that we've made

Walking in a winter wonderland

 

その後で、一緒に話しましょう

暖炉の傍で、二人のこれからを

もう恐れることはないね

僕らの望んだ時が来たことに

さあ、夢の銀世界を抜けて帰ろう

 

Sleigh bells ringing, are you listening?

In the lane, snow is glistening

A beautiful sight, we're happy tonight

Walking in a winter wonderland

 

ソリの鈴の音が聴こえてる?

道は雪で煌めいているわ

素晴らしい眺め

幸せな夜

さあ、夢の銀世界を歩きましょう

 

Gone away, is the blue bird

Here to stay, is the new bird

He sings a love a song

As we go along

Walking in a winter wonderland

 

青い鳥は去ってしまったね

でもほら、新しい鳥ならここにいる

愛の調べをさえずって

僕たちを祝福しているよ

さあ、夢の銀世界を歩いて帰ろう

 

In the meadow we can build a snowman

And pretend that he's a circus clown

We'll have lots of fun with Mr. Snowman

Until the other kiddies knock him down

 

雪だるまの為にあるような雪原よ

そうね、ピエロみたいに作ってみようかしら

いいね。彼と一緒なら楽しいだろうね

子供が壊しちゃっても、また二人きりになれるしね

 

When it snows, ain't it thrilling

Though your nose, gets a chilling

We'll frolic and play

The Eskimo way

Walking in a winter wonderland

Walking in a winter wonderland

 

雪が降っても、ちっとも怖くないよ

あなたの鼻が凍えちゃってもね

はしゃいじゃおうよ

なんだかエスキモーみたいね

夢の銀世界の歩きながら

夢の銀世界を二人並んで

 

この曲について

 バカップルの歌ですね。そうとしか形容のしようがありません。「見てごらん、雪だよハニー」「ほんと、何て素敵なのダーリン」とアハハウフフしている、そんな曲です。

 

 もう何というか、当時の時代背景は良く解かりませんが、少なくとも今聴く限りではのーてんきなラブソングにしか聞こえません(笑)。歌っているのは一面の銀世界ですが、それが丸ごと二人だけの世界になっていて、もはや周りなんか見えちゃいません。それぐらい、盛り上がっている二人が描かれています。なんせ、その辺にいる鳥たちをして、自分達を祝福するラブソングを歌ってくれていると思っている訳ですから、ホントおめでたい二人ですね。

 

 まさかいい歳した大人が「よし、雪だるまを作ろう」も無いもんですが、しかもその雪だるまを牧師さんに見立てて、「あなたが溶けて無くならないうちに、私たち結ばれちゃうかもでーす♪」と来たもんで、まあ、死んでしまえばいいんじゃないかと思います。子供達に雪だるまを蹴り倒されると同時に、この人たちも一度蹴り飛ばされた方がいいんじゃないですかね。

 

 しかし流石というかなんというか、昔ながらの曲だけあって、やっぱり韻は拘って踏まれているように思えますね。曲から見えるシチュエーションは、現在においてはちょっとアレな気もしますが、古き良き時代を思い起こさせる曲では無いかなと思います。 

 

 さて、この曲は1934年に作られた曲のようです。ウィンターソングの定番中の定番で、歌ったアーティストも数知れません。日本でも毎年クリスマスの時期になると何かしら何処かしらで流れているので、多分聴いたことが無い人を探す方が難しいのではないかなと思います。ただ、実際は内容の通り、クリスマスに限らない冬の歌ですね。

 

 一応、最初のレコーディングはリチャード・ヒンバーとホテル・リッツカートン・オーケストラ(Richard Himber and Hotel Ritz-Carlton Orchestra)という方によるものらしいです。YouTubeにもありました。

 


Richard Himber and Hotel Ritz-Carlton Orchestra - Winter Wonderland

 

 また、以前Little Dummer Boyの時にPentatonixを紹介しましたが、彼らも歌っていますので、こちらもご紹介(Don't Worry Be Happyとのマッシュアップです)

 


[Official Video] Winter Wonderland/Don’t Worry Be Happy - Pentatonix (ft Tori Kelly)

 

 しかしそれにしても・・・これから、毎年この曲を聴く度に、ハイテンションで手の付けられないカップルのイメージがちらつきそうです・・・

 

訳、言葉について

 雪だるまの見立てのところで、Parson Brownという名前が出てきます。直訳すると、ブラウン牧師ですが、このブラウンというのは単なる名前ではなく、日本で言うところの名無しの権兵衛の「権兵衛」に近いニュアンスをもった言葉らしいです。つまり、「名前は解からないけど、とにかく牧師さん」という時に使われていたそうです。(今となっては大分時代遅れの言葉らしいですが)

 

 また、同じく雪だるまのシーンのclownは、crown(冠)と混同しがちですが、こちらはピエロの事です。英語にもpierrotという単語は有りますが、日本で言うところのピエロを指す場合、このclownが使われることが一般的のようです。

 

 雪だるまのシーンの解説ばかり続きますが、雪だるまが壊される描写Until the other kiddies knock him downは、歌詞によってはUntil the other kiddies knock them downとしている場合もあります。つまり、雪だるまが複数あるということになりますね。しかし、ただでさえいい歳こいた大人二人だけで雪だるまを作るというのもワンダー過ぎるのに、これまた飽きもせずに何個も雪だるまを作っているとなると、最早ホラーです。せめて一つで有って欲しいという願いを込めて、himの方でご紹介しました。

Christmas Auld Lang Syne / Bobby Darin

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Lyrics&訳

When mistletoe and tinsel glow

Paint a yuletide valentine

Back home I go to those I know

For a Christmas auld lang syne

 

ヤドリギやイルミネーションが

クリスマスやバレンタインを彩る時は

皆の元にちゃんと戻るよ。何て言うかほら、

昔っからクリスマスはそういうもんだろ

 

And as we gather 'round the tree

Our voices all combine

In sweet accord to thank our Lord

For a Christmas auld lang syne

 

皆ツリーの周りに集まってさ

皆の声を一つにしてさ

いい感じに響かせて祝おうじゃない

昔ながらのクリスマス式にさ

 

When Sleigh bells ring and choirs sing

And the children's faces shine

With each new toy we share their joy

With a Christmas auld lang syne

 

ソリのベルと歌声が響くと

子供達は大はしゃぎだよな

新しいオモチャ。それを見て元気を貰う俺ら

昔から続くクリスマスの風景だよな 

 

We sing His praise this day of days

And pray next year this time

We'll all be near to share the cheer

Of a Christmas auld lang syne

 

今日この日、皆で主を讃え歌おう

そしてこの時、来年のことを祈ろう

皆また、離れることなく喜びを分かち合えますようにって

この古き良きクリスマスが迎えられますようにって

 

In sweet accord to thank our Lord

For a Christmas auld lang syne

 

さあ、もう一回声を揃えて祝おうじゃない

クリスマスってものがあって良かったなって

 

この曲について

 ちょっとマイナーなセレクトかもしれませんが、聴いてみれば何のことは無い、蛍の光のクリスマスバージョンです。蛍の光は昔の時代を懐かしむ歌ですが、それをクリスマスに重ねることで、昔懐かしい友人たちとの大切な時間を、クリスマスと言うイベントが再びとりもってくれることへの感謝の歌だと思われます。

 

 1番の歌詞を見る限り、この主人公は故郷を現在は離れて暮らしているようですね。しかし、クリスマスとかバレンタインデーのような特別な日は、ちゃんと戻るよと言っています。これは悪い言い方をすれば、そういったイベントでもない限り、なかなか戻るきっかけが掴めないんでしょうね。確かに、理由も無くふらっと戻るというのは、大人になるとなかなかできないものですよね。なので、このクリスマスと言うイベントを、故郷に戻る一つの理由、言ってみれば言い訳にすることで、昔懐かしい、気の置けない仲間たちに再会しようとしているわけですね。

 

 で、いざ皆と会ってみれば昔と同じようた楽しいひと時が始まります。ワイワイ騒いで、みんなで一緒に飲んで歌って大笑いして……。そして、昔と違うこととして、自分にも皆にも、もう子供がいるわけで、皆それぞれにサンタさんに貰った新しいオモチャで騒いでいます。つまりこの場所には、昔の幸せと今の幸せが同居している状態になっています。これはもう最高の時間ですねぇ。そして最後にもう一度、こんな楽しいひと時を与えてくれた主とクリスマスにありがとうと言ってこの曲は締めくくられます。

 

 蛍の光のクリスマスバージョンと書きましたが、蛍の光はどちらかと言うと、一人でじっくりしんみり昔を懐かしむイメージですが、この曲はどうせ昔を懐かしむなら皆で一緒に懐かしんじゃおうという雰囲気ですね。曲調自体はしんみりしていますが、中は実際はどんちゃん騒ぎかもしれませんね。

 

 さて、この曲は1960年にBobby Darin(ボビー・ダリン)によって歌われた曲です。と言っても、僕がこの曲を知ったのは割と最近のことで、とあるクリスマスコンサートで初めて聴いた時は「あれ?蛍の光ってクリスマスの曲だったんだっけ?」と思いながら聴いてました。

 


Bobby Darin - Christmas Auld Lang Syne (1960)

 

 

 うっかりこの曲を何も知らずに聴いてしまうと、蛍の光=クリスマスの曲と信じられてしまうかもしれませんね。

 

訳、言葉について

 Auld Lang Syneで、日本で言うところの「蛍の光」の原題になります。これらは全てスコットランドの方言で、AuldはOld(古い)、LangはLong(長い)、 SyneはSince(ある時から)という意味だそうです。方言と聞くと、余計これらの言葉に人情味を含んだ温かみがありそうな気がしますね。

 

 また、yuletideは、クリスマスシーズンそのものを指す単語だそうです。1語である期間そのものを示せるというのは、やっぱりそれだけ特別な意味を持ったシーズンなんでしょうね。

 ただ、正直なんでこの後にvalentineが出てくるのかが良く分かっていません……そこまで特別なイベントでしたっけ?アメリカの方にとって。Syneとの韻踏みのためだけのチョイスなのか、一応それなりに意味があって書かれているのか……アメリカの伝統に詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。

White Christmas / Bing Crosby 他

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Lyrics&訳

I'm dreaming of a White Christmas

Just like the ones I used to know

Where the treetops glisten

And children listen

To hear sleigh bells in the snow.

 

今宵夢見るは、真白なクリスマス

あの懐かしき日々に劣らぬような

彼の木の上には星が煌めき

子供達はそっと静まり

雪景色に響くソリの鈴を聴く

 

I'm dreaming of a White Christmas

With every Christmas card I write

May your days be merry and bright

And may all your Christmases be white.

 

焦がれて止まない真白きクリスマス

手紙の数だけ、想いも積もる

皆の日々に幸あらんことを

そして、彼の日の如き聖夜であらんことを

 

この曲について。

 この曲は、タイトルこそWhite Christmasですが、この主人公は何処に居るかと言うと、一説にはカリフォルニアの比較的暖かめの、雪とは無縁な気候の所にいるそうです。というのもこの曲は、作詞・作曲を手掛けたIrving Berlin(アーヴィング・バーリン)が、この地域に滞在していた時に書いたとされている為です。そしてまた、彼はロシアとニューヨークで少年時代を過ごしているので、この時期雪は当たり前の景色だったことと思われます。なので、クリスマスに雪も降らない場所から、自分の故郷のクリスマスの景色と、その頃の自分を懐かしむ思いで書かれているのでしょうね。

 

 後半では、クリスマスカードを1枚書く度に、思い出のクリスマスの景色への想いをより一段募らせています。確かに、温暖な気候の中でクリスマスカードをひたすら書くという作業は、味気ないというか、なんとも絵にならないですね。やっぱりクリスマスカードは、雪の夜にランプの下で書くものであって欲しいですね。窓格子と机と椅子が木製で、ペンが羽ペンだと最高です。

 

 ……それはともかく、曲の最後は自分の親愛なる人達へのお祝いの言葉と、今年も故郷はかつてのクリスマスと同じ景色であって欲しいという願いを込めて締めくくられます。恐らく、長いこと故郷を離れ、雪の降らないクリスマスを何年も過ごしたんでしょうね。その為段々それが普通の感覚になってしまい、もう故郷でもクリスマスに雪は降らないのではないか……なんていう心配に駆られてしまっているのかなと思います。

 

 さて、この曲は上記のIrving Berlinによって1940年に書かれ、1942年に発表されたとされているようです。この時の歌い手はBing Crosby(ビング・クロスビー)で、彼のバージョンが最も有名なのではないかと思われます。

 そして、この曲が発表された時の時代背景は第二次世界大戦の真っただ中であった為、戦地に赴いた兵士たちが、自分たちの故郷を懐かしむ曲として大ヒットしたそうです。

 


WHITE CHRISTMAS - Bing Crosby

 それにしても、世の中色々なクリスマスソングがありますが、直接的にせよ間接的にせよ、意外に戦争に結びついた曲が多いように思えます。それだけクリスマスは、戦争とは全く正反対に位置している特別な日なのだということなんでしょうね。

 

訳、言葉について

 シンプルで短い曲なので、特に訳に困ることは有りませんでした。Irving Berlinの詞は奇をてらわない、大衆向けのものが多いそうです。

 一つあるとすれば、With every Christmas card I writeでしょうか。複数形のCardsでまとめないでEvery cardとすることで、「書き記したクリスマスカードは全て違う内容だけれど、そのどれを取ってみても」といったような、一枚一枚のカードに色とか個性を含めたニュアンスを出しているのではないかなと思いました。

プロフィール

笹森茂樹

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