Five More Minutes / Scotty McCreery

 

Lyrics&訳

Eight years old a couple cane poles sitting down by the creek

Our lines in the water watching those bobbers seeing that red sun sink

Mama's on the porch yelling supper's hot, y'all come and get it

We yelled five more minutes.

 

8歳の頃。並ぶ釣竿。岸辺に座ってじっと待つ

水面を射す線。浮きを睨む眼。赤い夕陽は沈んでく

庭には母さん。僕らを呼んでる。さあさ御飯ができたわよ

僕らは叫んだ。あと5分だけ

 

At sixteen it was twelve o three standing at her front door

Katie's dad said midnight, but we needed just a little more

Yellow light flipping on and off, interrupting that goodnight kissing,

We wanted five more minutes

 

16の時。12時3分。彼女と家のドアの前

何て時間だ。叱る親父さん。でも僕らにはまだ足りない

黄色い光。点滅してる。おやすみのキスはもう終わりだと

僕らは望んだ。あと5分だけ

 

Time rolls by the clock don't stop

I wish I had a few more drops

Of the good stuff, the good times

Oh but they just keep on flying

 

転がる時間。止まらない時計

後ほんの少しあったのならば

かけがえない物、楽しい時間が

でも皆この手を離れてくばかり

 

Right on by like it ain't nothing

Wish I had me a pause button

Moments like those Lord knows I'd hit it

And give myself five more minutes

 

こんな時間、二度とは来ない

一時停止の、ボタンをどうか

まだこの時を、神様どうか

今この僕に。あと5分だけ

 

At eighteen turned my helmet in and walked to the fifty yard line

Just the coach and me after we lost eighteen to nine

And I cried man next time to get in here I'll have to buy a ticket

Can't you give me five more minutes

 

18の年。野球が全て。あの日歩いた50ヤード

コーチと2人。終わった戦い。18対9。負け試合

流れる涙。次来る時は、選手ではなく観客なのだと

コーチに縋った。あと5分だけ

 

Time rolls by the clock don't stop

I wish I had a few more drops

Of the good stuff, the good times

Oh but they just keep on flying

 

転がる時間。止まらない時計

後ほんの少しあったのならば

かけがえない物、楽しい時間が

でも皆この手を離れてくばかり

 

Right on by like it ain't nothing

Wish I had me a pause button

Moments like those Lord knows I'd hit it

And give myself five more minutes

 

こんな時間、二度とは来ない

一時停止の、ボタンをどうか

まだこの時を、神様どうか

今この俺に。あと5分だけ

 

At eighty-six my grandpa said there's angels in the room

All the family gathered 'round knew the time was coming soon

With so much left to say I prayed Lord I ain't finished

Just give us five more minutes

 

86歳。俺の爺ちゃん。部屋が天使でいっぱいだなと

集まる家族。皆で囲む。その時が来たと分かってる

伝える言葉。まだまだあると。終わってないと祈る俺

皆願った。あと5分だけ

 

Time rolls by the clock don't stop

I wish I had a few more drops

Of the good stuff, the good times

Oh but they just keep on flying

 

転がる時間。止まらない時計

後ほんの少しあったのならば

かけがえない物、楽しい時間が

でも皆この手を離れてくばかり

 

Right on by like it ain't nothing

Wish I had me a pause button

Moments like those Lord knows I'd hit it

Yeah sometimes this old life will leave you wishing

That you had five more minutes

 

Five more minutes

 

こんな時間、二度とは来ない

一時停止の、ボタンをどうか

まだこの時を、神様どうか

たまにはどうか。旅立つ古き命に

残されてたなら。あと5分だけ

 

あと5分だけ

 

この曲について

 人間、生きてきた中の様々なシーンにおいて、もう少しだけこのままでいたい、まだ終わらないでいて欲しいと願うことが沢山あると思いますが、そんな場面の一つ一つを切り取って描いた歌です。

 

 この歌は、主人公の人生の中の幾つかのシーンを懐かしみながら進んでいきます。釣りに夢中になっていた幼い頃。彼女と真夜中まで一緒に遊んだ頃。最後の試合に負けて、悔し涙を流した頃。これらはどれも、主人公がこの時間がまだ終わらないで欲しいと願った出来事です。そして、そんな想いを乗せた共通の言葉が Five more minutes (あと5分だけ)となります。

 

 そしてまた同じように、しかし最も切実にこの言葉を願う場面が一つ訪れました。主人公の祖父が、この世を旅立とうとする瞬間です。家族全員が再び集まり、祖父と最後の言葉を交わすなか、やはり主人公の胸の中には過去何度も願ったこの「あと5分だけ」という言葉が甦ります。そして、特に今回だけはせめてと神様に縋るような思いが見て取れます。

 

 この「あと5分だけ」という言葉は同じですが、それぞれのシーンにおいてこの言葉に乗っている想いの重さの違いが有り有り見て取れるのが良いですね。

 

 さて、この曲は2017年にスコッティ・マクレーリー(Scotty McCReery)によって歌われた歌で、アルバム Season Changes に収録されています。とある洋楽専門のカラオケバーでお客さんが歌っているのを聴いて、即座にダウンロードしてしまった一曲です。


 
Scotty McCreery - Five More Minutes (Official Video)

 この曲の一番の特徴は、各場面の切り取り方がとても瑞々しいことにあると思います。そしてそれを代表するのが、数詞の使われ方です。8歳、16歳と具体的な年齢だけでなく、12時3分といった時間、18対9といった試合の結果のように細かな値まで正確に描写されていることで、この曲全体に目に見えるような臨場感が生まれています。

 

 そしてもう一つの特徴として、文の前後を「Because(だから)」とか「Then(そして)」のといった言葉で繋いだような、説明的な文節が無いことが挙げられます。それぞれの場面の描写は、その場面を象徴する出来事や映像を一つ一つ切り取って並べただけに留めており、それらをどう繋げるかは読み手、聴き手の頭の中に託されています。それ故に、聴き手側の胸により響く内容となっているように思えます。これは、詩や俳句で重んじられる手法なので、日本人にもとても心地よい歌詞なのではないかなと思います。

 

訳、言葉について

 Cane pole で竹の長い棒のことになりますが、この表現では特に釣竿の事を指すそうです。曲中ではCane poles と複数形になっているので、兄弟か誰かと一緒に釣りをしているイメージになると思われます

 

 Time rolls by で、時間は転がり続ける……即ち、徐々に過ぎ去っていくという意味になります。この時の by は「徐々に」のイメージがあるようです。似たような表現に Time goes by というものがあります。

 

 Pause button は、ビデオやゲームにある一時停止ボタンのことです。

 

 Hit it は、「要望する」とか「やって欲しい」というニュアンスで使われることがあり、この曲においてはこれに相当するかと思います。ドラマ glee では割とおなじみの言葉で、これから歌うという時に、バンド隊に向かって「一曲お願い」と言う意味を込めて Hit it! と言ったりします。
 余談ですが、実生活の中だと、男同士の会話で「(あの女と)ヤりたい」という意味でよく使われるそうです。

 

 Turned my helmet は少し悩んだのですが、Turn には「意識を向ける」という意味があるので、ヘルメットに意識を向けた状態と解釈しました。そして、そのヘルメットとは、スポーツ用のものであり、結果として「スポーツ(部活)に打ち込んだ」ということなのかなと思います。

 

 So much left to say ですが、left to say で「残す言葉」のようなニュアンスになります。その為、「言い残したことが沢山ある」という意味で捉えればいいかなと思います。