Lyrics&訳
We're coming to the edge
Running on the water
Coming through the fog
Your sons and daughters
辿り着いた涯
流れ征く水に乗って
霧の中を抜けてくるのは
皆の愛しい子供達
Let the river run
Let all the dreamers
Wake the nation
Come the New Jerusalem
流れる河はそのままに
夢見る者達が
国を甦らせたるも
新たな聖地に辿り着きたるも
Silver cities rise
The morning lights
The streets that meet them
And sirens call them on
With a song
白銀の街に昇る
朝の太陽
皆の出会う街並み
セイレーンは彼らを誘う
その歌声で
It's asking for the taking
Trembling, shaking
Oh, my heart is aching
呼びかけ、求め
震えて、揺られ
そして私は、心を痛め
We're coming to the edge
Running on the water
Coming through the fog
Your sons and daughters
この果てまで辿り着いた
河の流れに導かれ
そして先の見えぬ霧の先には
愛しい子らが
We the great and small
Stand on a star
And blaze a trail of desire
Through the dark'ning dawn
大いなる小人たる我らは
この星に立ち
深き森にも信念の道を
光の射さぬ夜明けを越えて
It's asking for the taking
Come run with me now
The sky is the color of blue
You've never even seen
In the eyes of your lover
問い掛け、望む
今、私と共に走り来たるを
この空を色なす青は
皆決して見たことのない
今それが愛しき人の目に
Oh my heart is aching
We're coming to the edge
Running on the water
Coming through the fog
Your sons and daughters
そう、この胸は痛む
我らは辿り着いたのだ
とめどない水に流され
見えない道を抜け出で
我らの子らの待つ世界へ
It's asking for the taking
Trembling, shaking
Oh, my heart is aching
得る為に請い
身を震わせ、頭を振り被り
またこの心は痛み行く
We're coming to the edge
Running on the water
Coming through the fog
Your sons and daughters
辿り着いた先
流るる河に任せて
先見えぬ道を進み抜ければ
そこにはもう次の時代が
Let the river run
Let all the dreamers
Wake the nation
Come the New Jerusalem
流れる河を止めてはならない
夢見る者達を止めてはならない
この世界を変え行くを
新たな聖地を見い出すを
この曲について
ちょっと解釈に悩みましたが、未来なんて予測もつかないものだけれど、それでも時と共に世の中が変わっていくことを受け入れよう、喜ぼうという歌かなと思いました。そこから、世代交代を歌った歌にも思えます。
とはいえ、初めは出だしからいきなり戸惑いました。水の流れに乗って辿り着いた先に、霧の向こうから子供達がやって来るってどういうシチュエーションなんだと首を傾げました。ただまあ、ここはまず普通に考えて何かの比喩表現と思われるので、後で解かるだろうと信じて保留ですね。
そして次のフレーズでは、河は流れさせておけ、夢見る者達には国を復興させておけと続きます。これは恐らく、若い世代によって国が変わっていくことを、河が流れていくことと同じと例えて、それは無理矢理止められるものではないし、止めない方が良いということでしょうか。そして、New Jerusalem と続きますが、次世代のユートピアのようなニュアンスで解釈しました。
次のシチュエーションでは銀色の街という表現が出てくるので、この歌の背景は都会と見て間違いないと思います。そこに雑多に行きかう人達。そこには毎日常に新たな出会いが繰り広げられているという様子に思えます。これは、先ほどの国が変わっていくという様子とイメージがリンクするのではないかなと。
また、ここでセイレーンと言う、水夫を歌声で海に引きずり込むと言う伝説上の魔物が出てきますが、これは次々に人が夢に惹かれてやってくるという、この街そのものを例えた表現でしょうね。
ただ、この次のシチュエーションでは、主人公が胸を痛めています。この曲が上記までの通り、変わり行く世の中を表しているとして、それに対して主人公が胸を痛めているということは、主人公もまた変わり行く世の中を受け入れるのに抵抗が生まれ始めた歳だと言うことでしょうか。
ここまでを整理すると、冒頭の比喩表現のイメージが大分固まりますね。「私たちはEdge(境界線、崖、ふち)に辿り着きそうだ」と言っていますが、この Edge というのは、自分たちが時代を切り開く側の役目から、時代を切り開く人を見守る役目へと移る境界線の事かなと。そして、Fog(霧)は、先の見えない未来を例えていて、でもその霧の向こう側には、次の世代を担う自分たちの子供達がいるというイメージかなと思います。
そして、Sons and daughters と、子供達が複数で表現されていることもあり、今回の曲においては、You は「あなた」ではなく「あなた方」「皆」という複数にしました。
さて、この曲は1989年にカーリー・サイモン(Carly Simon)によって歌われた歌で、映画「ワーキング・ガール(原題:Working Girl)」の中で使用されました。
Let The River Run - Carly Simon
PV、時代を感じますね。この時代の活気ある風景は、これはこれででいいなぁと思ってしまいます。30年後に今の時代の映像を見た時、やっぱり同じように思えるのでしょうか(歳か)
訳、言葉について
Siren は日本では一般的には「セイレーン」と呼ばれており、上記でも説明した通り、海の上で歌を歌うことで水夫を誘惑し、海の中に引きずり込むという伝説上の魔物です。
ただ、その外見は人によってイメージが分かれております。一つは、人間女性の身体に鷲のような羽が生えている、ハーピーのような外見のイメージ。もう一つは、同じく人間の女性の上半身と、魚の下半身という、所謂マーメイドと同じ外見のイメージです。個人的には、嵐の海に立つ岩の上で竪琴を持っている人魚のイメージでした。
Braze a trail は「未開の森を進むために、木に焼き痕を付ける」という行為から転じて「先駆者となる」という意味を持つ言葉だそうです。
Dark'ning は、Darkening の別の記述法のようで、意味はDarkening(だんだん暗くなる)という意味だそうです。なので、Darkening dawn は「だんだん暗くなる夜明け」という、正反対のイメージが同居した言葉となります。詩的とまでは行かなくても、独特のニュアンスを醸し出した言葉ですね。