さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

Castles on Quicksand / California Dreams

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Lyrics & 訳

Well, I could love you, baby, but it's a fact
When I get too close you pull right back
Your hands get cold and your eyes get sad
I guess somebody must have hurt you real bad

 

そうね。愛していくことはできたかもね。でもこれが現実

あなたの手を引いて近づきすぎると

あなたの手は冷たく、悲しげな眼をしている

誰か、あなたを苦しめているのが分かった

 

With a nervous laugh, I see you try
To cover the hurt, try to justify
You'd better let go real soon, baby

 

無理に笑おうとしているのが解かる

痛みを隠して、自分を保とうと

でももう肩の力を抜いていいの

 

You can't build castles on quicksand
You can't build bridges on thin air
You can't paper over the cracks of a broken heart
And pretend it's not there (oh, no)

 

流砂の上に城なんか建てられない

虚空の中に橋なんかかけられない

ひび割れた心を覆うことも

何でもない振りをすることだってそう

 

You've gotta let the storm break, baby (yeah)
You've gotta let the rain fall all around
And when the tears run dry, baby, then you can try
To start all over again (start all over again)

 

嵐が全部壊してしまえばいい

雨が全部流してしまえばいい

そして涙が乾けば、立ち直れるわ

また一からやり直せるじゃない

 

Well I could try to push, I could try to shove
There's a great big wall in the way of love
It's time to face the facts and purge your pain
Get those tracks back under your train

 

そう、押しのけることも、突き破ることもできたかもね

この愛に立ちはだかる大きな壁をね

でも今、現実に目を向けて、痛みを取り払う時ね

あなたの往くべき道を取り戻すの

 

I see you run, I see you hide
You're trying to cover what you're feeling inside
Well, I know you like me, baby, but...

 

逃げるあなたも、隠れるあなたも見てる

心の内を隠そうと必死なあなたを

ええ、あなたの気持ちは知ってる。でも……

 

You can't build castles on quicksand
You can't build bridges on thin air
You can't paper over the cracks of a broken heart
And pretend it's not there (oh, no)

 

流砂の上に建つ城が無いように

虚空の中に架かる橋が無いように

傷ついた心の上に被せる物も無い

何でもない振りなんて出来ないの

 

You've gotta let the storm break, baby (yeah)
You've gotta let the rain fall all around
And when the tears run dry, baby, then you can try
To start all over again (start all over again)

 

嵐に全てを壊してもらって

雨に全てを流してもらって

涙が乾く頃には、前を向けるわ

全てを忘れてやり直すの

 

この曲について

 恋人として愛し合っていたい気持ちはあるけれど、それが結局は心の重荷になってしまっていることを悟り、お互いの為にその関係を終わりすることを決意する。そんなシチュエーションを歌った曲だと思います。

 

 主人公は、恋人の関係を続けることも出来たとは思っていますが、それがベストな選択でないことを分かっているようです。自分が相手に近づいた時、そこには決して相手の幸せが無いことに気付いていますね。この時主人公は「誰かがあなたを苦しめている」とは言っていますが、その誰かが恐らく自分であることも解かっていると思われます。お互い好きでは有るけど、好きだけではやっていけないこと、しかし無責任に別れるのも気が引ける……そんな感じの、お互い苦しくなってしまった恋愛模様が見えてくる気がします。

 

 そんな中、無理をしてでも笑おうとしてくれている相手に、もうそんなのはやめにして良いと言います。これは、お互い終わりにしましょうという宣言にも取れますし、主人公が身を引いたと捉えることも出来ますね。いずれにせよ、相手が苦しい気持ちから解放されてもらいたいという想いの言葉でしょう。

 

 相手も頑張ってくれている。しかし、世の中にはどう頑張ってみたところで出来ないことだってある。だから、ここで関係が終わってしまったとしても、それは誰が悪いってわけじゃない。そんな、相手に気を負わせたくない気遣いから生まれた一つの例えが、このCastles on quicksand(流砂の上の城)なのだと思います。

 

 さて、この曲はアメリカのドラマ「カリフォルニア・ドリーム(California Dreams)」の中で歌われた一曲です。カリフォルニア・ドリームは、「フルハウス」に代表されるSitcomと呼ばれるジャンルのドラマで、高校生バンドマンの活躍を描いた青春コメディです。日本でも1995年に当時のNHK教育テレビで放送されておりました。

 この曲は主人公であるマットの妹、ジェニー(役:ヘイディ・ノエル・レンハート – Heidi Noelle Lenhartー)がボーカルを務めたもので、パーティー会場にさせられてしまったマットの家で歌われました。ジェニーの大人っぽい声にさらっとポップな曲調が印象的で、人気が高かった曲のようです。カリフォルニア・ドリームでは多くのオリジナルソングが歌われておりますが、この曲は他アーティストによるカバーもされたことがあるようですね。

 そんなオリジナルソングのうち10曲が1枚のアルバムとしてリリースされており、このCastles on Quicksandもその収録曲の一つです。ただ、なんせ今となってはCDが入手困難な上に、ダウンロード購入も出来ないのが非常に残念です。

 

【ドラマ放映時バージョン】


California Dreams - "Castles On Quicksand"

 

【CD収録バージョン】


Castles on Quicksand CD Version

 

 カリフォルニア・ドリームは、日本では本当に知る人ぞ知るという程度の知名度のドラマですが、当時中学生だった僕の目には、こんなに毎週毎週オリジナルソングを作るなんて、アメリカのドラマって凄いなぁと少なからず衝撃を受けた作品でした。(NHKさん、マジで再放送してください)

 一応、輸入版で第3シーズンまではDVDが手に入るのですが、残念ながら英語字幕機能すらないので、相当英語に堪能でないと見るのが難しい作品となってしまいました。(だからNHKさん、マジで再放送してください)

 

訳、言葉について

 I couldという言葉は、普通に訳すと「私は出来た」になりますが、どうもこの言葉が良く使われるニュアンスとしては「私は~することも出来た」という時に使われる言い回しのようですね。その為、今回は「愛することも出来た(けどしなかった)」とか「壁を押しのけることも出来た(と思うけど敢えてしなかった)」のような言い回しにしてみました。

 

 サビに出てくるPaperですが、よく使われる「紙」の意味の他に「壁紙を貼る」という動詞の意味も持っています。その為、ここでは壊れた心に壁紙を貼る→心の傷を隠すという表現になっています。

 

 またタイトルであるCastle on quicksandですが、これは日本語に全く同じ言葉が存在します。「砂上の楼閣」という言葉で、意味は「すぐに壊れてしまいそうな様子」とか「所詮在り続けることのない物」「実現不可能な物」という意味で使われます。何かの偶然なのか、どちらかがどちらかの言葉を輸入したのか、それともルーツを辿れば同じ語源に行きつくのかは分かりませんが、そういった意味で日本人にもイメージがし易い言葉かもしれませんね。

 ※ただ一般的には、砂上の楼閣を英訳する場合Castles in the airとするそうですが……。

 

 もう一つ、Bridges on thin airのthin airは、直訳すると「薄い空」となりますが

、日本語では「何も無い空中の何処か」即ち「虚空」とするのが最もしっくりくると思います。

Smash Into You / Beyoncé

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Lyrics&訳

Head down as I watch my feet take turns hitting the ground

I should I find myself in love racing the earth

 

頭をもたげて、幾度も大地を踏む足を見て

見出さなくては。生き抜く中でも、愛の中に包まれる自分に

 

And I'm soaked in your love

And love was right in my path, in my grasp

And me and you belong

 

愛に浸るの

愛は目の前にあったなんて。この手の中に

そしてあなたと私は一緒に

 

I wanna run, run, smash into you

I wanna run, run, smash into you

 

走って、走って、あなたの胸に

走って、走って、飛び込みたいの

 

Ears closed, what I hear no one else has to know

'Cause I know in that what we have is worth first place in gold

 

耳を塞ぐの、聴こえてくるのは誰知ることも無くて良いこと

知っているの。二人の手には最高の価値が

 

And I'm soaked in your love

And love was right in my path, in my grasp

And me and you belong

 

愛に溢れて

愛は生きてきた中にあったの、この手の中に

そしてあなたと私は共に

 

I wanna run, run, smash into you

I wanna run, run, smash into you, smash into you

 

走って、走って、あなたの胸に

走って、走って、飛び込みたいの。壊れるほどに

 

Head down, as I watch my feet take turns hitting the ground

I should I'm in love and I'm racing the earth

 

頭をもたげて、大地を踏み続ける足を見て

愛の中にいなければ。そして、ただひたすら生き抜くの

 

And I'm soaked in your love

And love was right in my path, in my grasp

And me and you belong

 

愛に委ねて

愛はこんな近くに、この手の中に

そしてあなたと私は一つに

 

Oh, I wanna run, smash into you

I'm willing to run, smash into you

I'm willing to run and run, and run, and run, ooh

I'm ready to run and run, and run, and run, ooh

 

走って、あなたの元へ

そう、走って、あなたの元へ

そうよ、走って、走って、走って、走って

今すぐ、走って、走って、走って、走って……

 

And I wanna run, run, smash into you

I'm willing to run, run, smash into you

 

そう、走って、走って、飛び込みたいの

そうよ、走って、走って、砕けるほどに

 

この曲について

 テンポや曲調はとても緩やかですが、その中にとても芯の強い思いが込められている曲に思えます。

 

 この曲の中では、主人公は常に走り続けているような印象を受けますが、最初と後ではその走る意味が変化しているようですね。初めはただがむしゃらに、何かの競争をしているかのように走っているようです。

 

 しかしそんな中、その走ってきた道の中に、実はとても大切なものがあったことに気付きます。そして、それが愛すべき人であったと自覚することで、その走る先の目的地、youを見出すことになります

 

 そしてまた、その相手にたどり着いたときもまた力強いですね。単に飛びつきたいと言うより、体当たりで思いっきりぶつかりたいという表現になっています。確かにこの方が、心底追い求めた人にたどり着いた際の心情を良く表しているように思えます。そしてそれも、最初はそうしたいと思っているだけですが、最後の付近ではそれは確固たる意志へと変化していますね。 

 

 映像としてはただただ漠然と走っているだけですが、その心の内だけは段々と変化していって形を作り、最後にははっきりとしたものが自覚できているという、この心情のグラデーションの味わいがこの曲の魅力かなと思います。

 

 さて、この曲は2008年にビヨンセ(Beyoncé)によって歌われた曲で、アルバム「I AM… SASHA FIERCE」に収録されています。シングルカットはされていないようですが、ライブ映像とPVを織り交ぜたオフィシャルビデオは製作されています。

 このアルバムには、今ではビヨンセの代表曲とも言えるHaloやIf I Were A Boyも収録されていますが、個人的にはこの曲がとても好きで、こっちにももっとスポットライトが当たっても良いのではないかなと思っています。

 


Beyoncé - Smash Into You [ Official Video ] HD

 

 タイトルからしてどんな激しい曲なのだろうと思ったのですが、いざ聴いてみるととても淡々と、しかし全く弛むことなく進んでいく力強さや潔さのようなものを感じる曲で、呆然と聴き入ってしまったのを覚えています。上記の2曲の陰に隠れがちですが、既にこのアルバムを聴いたことが有る方も、是非また聴き直してみて下さい。

 

訳、言葉について

 今でも、shouldの使い方は良く分かっていないのですが「~した方が良い」とか「~しなくちゃ」といったニュアンスで書いているつもりです。この辺り、日本語がペラペラなネイティブの方に尋ねてみたいです。

 

 Love was rightは「愛は正しかった」とも訳せるのですが、その後に場所の表現に続いているので「愛は~に在った」という捉え方の方があっているのではないかなと思います。よく「ここにある」をright hereと言いますが、それと同じrightかなと思いました。

 

 あと、最後付近にI’m willing to runという表現が出ております。willingはちょっと見慣れない使い方ですが、willは単に「意思を持つ」という動詞としても使用できます。その為、be willingという形にして「今まさに実現させようとしている」というような雰囲気が出るのかなと思っています。be + ingのニュアンスは今一良く分かっていませんが……

Karma Chameleon / Culture Club

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Lyrics&訳

Desert loving in your eyes all the way

If I listened to your lies would you say

 

君の瞳にあるのは、不毛な愛だね

僕が嘘を見抜いたら、君はこう言うかな

 

I'm a man without conviction

I'm a man who doesn't know

How to sell a contradiction

You come and go

You come and go

 

どうせ白黒はっきりできないでしょって

それに分からないでしょ

悪気を認めさせる方法もって

君はいつもそうだ

近づいてみたり、突き放してみたり

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、罪作りなカメレオンだ

消えては現れ

戻っては出て行き

色さえ合えば良い恋なのに

赤にも金にも緑にもなる

お次は一体何色なんだ

 

Didn't hear your wicked words every day

And you used to be so sweet I heard you say

 

いつも意地悪なんて聞くこともなかった

耳にしたのはこんな優しい言葉だったな

 

That my love was an addiction

When we cling our love is strong

When you go you're gone forever

You string along

You string along

 

私、あなたに首ったけなのって

あの時は強い愛で結ばれてたな

そして君が出て行って戻らなくなって

僕は遊びだったんだな

よくもからかってくれたよな

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、君は酷く移り気で

くっついてみたり、離れてみたり

いなくなったり、また現れたり

僕と同じ色なら良かったのに

赤に、金に、ほらまた緑

本当は一体何色なんだ

 

Every day is like survival

You're my lover not my rival

Every day is like survival

You're my lover not my rival

 

毎日がサバイバルさ

君は恋人であって、敵じゃないだろ

毎日毎日張りつめてる

恋人なんだろ?違うの?

 

I'm a man without conviction

I'm a man who doesn't know

How to sell a contradiction

You come and go

You come and go

 

どうせ白黒はっきりできないさ

それに分からないよ

どうやって君を否定するかなんて

一緒にいても、離れていても

結ばれもしない。別れもしない

 

Karma Karma Karma Karma Karma Chameleon

You come and go

You come and go

Loving would be easy if your colors were like my dream

Red, gold and green

Red, gold and green

 

カーマ、本当の君を見せたらどうだ

見せてるようで隠してる

気にしなければ気を惹いてくる

理想の色であって欲しいのに

赤色、金色、緑色

最後は一体何色なんだ

 

この曲について

 自分の理想の恋人であって欲しいのに、相手ときたら会う度に態度が違い、一体自分のことを好きなんだか嫌いなんだかも良く分からない……そんな、一筋縄ではいかない相手に翻弄される心を描いた曲だと思います。

 

 既に主人公は出だしから相手に辟易しており、相手に嫌みの一つも言ってやろうとしているようです。が、相手も強かですね。今一つ煮え切らない主人公のことを良く分かっており、どうせ一線を越えた決断は出来ないだろうと踏んで、むしろそれをからかっているようです。

 

 サビで「カーマ(Karma)」としきりに出てきますが、頭文字が大文字で固有名詞のようなので、このカーマが相手の名前だと思われます。しかし一方で、このスペルで書かれるKarmaは一般名詞では「罪」とか「業」を意味する言葉となり、日本語発音でもカルマと呼称されるものです。これにより、この「カーマ」という人物がひどく罪作りな人物であることの暗示にもなっていると思われます。

 そして尚且つ、相手のことをカメレオンと称しています。ご存知の通り、カメレオンと言えば周囲の色に合わせて自分の色を変える生き物です(本当は違うそうですが)。その為、ころころ態度を変える相手のことを、この動物に例えているのでしょうね。

 

 2番では、相手が良く思えた昔のことを懐かしむシーンとなり、かつてはお互いにそれなりに恋人同士であった様子が見られますね。しかし結局それも、相手が突然離れてしまったことにより、一転恨みつらみに変わっております。

 が、主人公はまだ完全には相手への思いを断ち切れておらず、苦悩の毎日を送っているようですね。まだ心の中では、相手のことを恋人であって欲しいと願っている様子が良く伝わってきます。

 

 そして更に1番の歌詞がリフレインしますが、この歌詞は1番では相手に自分の弱さを指摘されてたのに対し、ここではそれを自虐的に独白、認めるというシーンに代わっているのではないかなと思います。結局、まだまだ相手からは離れられず、翻弄される日々が続きそうですね、この分ですと。

 

 ただ、このKarmaですが、これはもともとは仏教からきた言葉であり、そこには仏教の基本概念の一つ、「因果応報」とか「自業自得」という結果までの示唆が含まれています。なので、今は主人公を良いようにからかっているこの相手も、いずれは手痛いしっぺ返しを食らうことになるのではないかなと思われます。勿論そのシーンは曲の中では語られませんが、いずれそのようになるという事を主人公も望んでおり、またそうなるのだろうと暗に示しているように思えます。

 

 さて、この曲は1983年にCulture Clubによって歌われました。邦題では「カーマは気まぐれ」というタイトルがついており、こちらのタイトルの方がなじみ深い方もいらっしゃるでしょうね。いずれにせよ、このキャッチーで歯切れのよいサビは、世代を問わず皆さん一度は聴いたことがあるのではないかなと思います。


 


Culture Club - Karma Chameleon

 この曲はもう一つの通説があるそうで、ゲイであるボーカルのボーイ・ジョージが、ドラムのジョンへの気持ちをこの曲の中に隠しているとのことです。だとしたら、サビのLoving would be easy……の件ですかね。ちょっと真偽のほどは定かではないですが。

 それにしても、なぜPVは1870年のミシシッピーが舞台なのでしょうね。この中で、ボーイ・ジョージだけは当時の衣装とはかけ離れた姿で登場し、群衆の中にいるスリに気付き、その悪事を暴くきっかけを作っています。このスリが最後川に突き落とされる辺り、曲中に含まれる因果応報のメッセージでしょうね。

 

訳、言葉について

 You string alongという言葉が有ります。これは、一緒に歩くとか、同調するという意味の言葉ですが、そう見せかけておいて実は騙しているという意味にも使うようです。意味が全く真逆で使うのはどういうことなのかなと思ったのですが、この「騙す」の意味で使う場合はかなり皮肉を込めて言っているのかもしれませんね。日本語でも、遅刻している人に「ずいぶん早いですね?」と言ったら嫌みになるように、そんな感覚で相手を責める意味を込めて使う感じでしょうか。

 

 一点良く分からなかったのが、How to sell a contradictionです。Contradictionは否定とか矛盾という言葉ですが、それにsell(売る)が付くとどういうニュアンスになるのかがちょっと想像がつきませんでした。何となく、相手に否定を売りつける→相手に悪事を認めさせるとか、自分が否定していることを受け入れさせるといった意味かなと思い、そのように訳してます。

 

 また、red, gold, and greenが何故この色なのかもちょっと良く分かりませんでした。この色でパッと思い浮かぶのはクリスマスカラーなのですが、クリスマスとは何の関係もない曲ですし、仮にgoldをyellowとして捉えたとしても、三原色にすらならないですね。後は・・・信号機ぐらいしか思い浮かびませんが、ますます意味が分からないですね。ただ、この色はPVの中にもそこかしこに象徴的に登場しています。ダンサーの衣装に、舟が来たシーンで掲げている布、更には船内カジノのチップまでこの色です。単に分かり易い色を並べただけの可能性もありますが、宗教上の意味のような、そんな感じの物が有るのかも知れませんね。

 

Piano Man / Billy Joel

 

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Lyrics&訳

It's nine o'clock on a Saturday

The regular crowd shuffles in

There's an old man sitting next to me

Making love to his tonic and gin

 

土曜日夜9時

いつもの賑わい

俺の隣にゃ年老いた男

お気に入りはジントニックだ

 

He says, "Son can you play me a memory

I'm not really sure how it goes

But it's sad and it's sweet

And I knew it complete

When I wore a younger man's clothes."

 

「若いの。俺の青春を一曲たのむわ

気が紛れるかは何とも言えんが

甘酸っぱいもんだ、若さっちゃ

だが後で分かった。最高だった

イカした服を着てたあの日が」

 

Sing us a song you're the piano man

Sing us a song tonight

Well we're all in the mood for a melody

And you've got us feeling alright

 

歌ってくれんか。ピアノマンだろ

こんな夜こそ歌ってくれや

今夜は音楽に浸りたいんだ

あんたにしか頼めないんだ。な。

 

Now John at the bar is a friend of mine

He gets me my drinks for free

And he's quick with a joke or to light up your smoke

But there's someplace that he'd rather be

 

バーテンのジョンは俺の友人

いつも俺には奢ってくれる

愉快で気の利く働きもんさ

でもやりたいことが他にあるんだと

 

He says, "Bill, I believe this is killing me."

As a smile ran away from his face

"Well, I'm sure that I could be a movie star

If I could get out of this place."

 

「ビル。俺、このまま終わりたくねぇ」

いつもの笑顔も見せずに言うんだ

「俺、映画のスターになれるハズさ

いつかこことオサラバしたらな」

 

Now Paul is a real estate novelist

Who never had time for a wife

And he's talking with Davy, who's still in the Navy

And probably will be for life

 

ポールは作家気取りのブローカー

結婚する気はさらさらないとさ

まだ海軍にいるデヴィとお喋り

多分、ずっとあのままだろうな

 

And the waitress is practicing politics

As the businessmen slowly get stoned

Yes they're sharing a drink they call loneliness

But it's better than drinking alone

 

あの娘は世の中を勉強中さ

男を上手く酒で潰してね

孤独ってカクテルを皆舐め合ってる

独りで飲むよりゃマシだものな

 

Sing us a song you're the piano man

Sing us a song tonight

Well we're all in the mood for a melody

And you've got us feeling alright

 

さあ、歌ってくれよ、ピアノマンさん

今夜は存分歌ってくれ

みんな音楽に酔っていたいのさ

みんなお前を待ってるぜ。なあ。

 

It's a pretty good crowd for a Saturday

And the manager gives me a smile

'Cause he knows that it's me they've been coming to see

To forget about life for a while

 

大繁盛の土曜日の夜

笑ってマスターがステージを指す

みんな俺を目当てで来ている

ちょっと現実を忘れる為に

 

And the piano it sounds like a carnival

And the microphone smells like a beer

And they sit at the bar and put bread in my jar

And say, "Man what are you doing here?"

 

ピアノの音は宴を奏で

マイクの匂いはビールを思わせ

客席からはチップが投げられ

「こんな所でくすぶってるのか?」って

 

Sing us a song you're the piano man

Sing us a song tonight

Well we're all in the mood for a melody

And you've got us feeling alright

 

さあ、歌うんだ。ピアノマン

いいから今夜は歌うんだ

音楽がないとやってられないんだ

お前の曲に酔いたいんだ。さあ。

 

この曲について

 タイトルこそ「ピアノマン」ですが、どちらかというと主役は彼ではなく、彼がいる大衆酒場に集う面々のようですね。そしてまた、彼らのキャラクターが何ともいい味を出しています。

 

 最初に登場するのは、年老いた男性です。昔は良かったと懐かしみ、当時流行った歌をリクエストしています。恐らく、当時の若かった自分を少しでも取り戻したいんでしょうね。

 そして、飲んでいるお酒がジントニックというのもまた、恐らく懐古の気持ちを際立たせる表現のように思えます。というのも、ジントニックは東インド会社による開拓時代に誕生したもので、これのおかげでマラリアを予防でき、イギリスはインド方面での成功を収めたと言われる歴史を持っています。また、ジンが安いお酒なので、お金の無い若い時によく飲まれるお酒でもあるようです。こういった背景から、ジントニックには時間を巻き戻すような、そんな印象を与えてくれる何かが向こうの方の感覚にあるのではないかなと思います。この御老人がブリティッシュだったりすると、よりそんな感じが強まる気がします。完全に想像ですが。

 

 お次はバーテンのジョンです。一見楽しそうに振る舞っておりますが、実は現状に満足しておらず、夢は映画スターで、自分にはその才能があると豪語します。

 しかし恐らく、彼自身それが強がりであり、また見果てぬ夢であるということは、心のどこかで分かっているのだと思います。そして、夢に挑戦しないことを「今はやりたくてもできないだけなんだ」と周りにも自分にも言い訳しているのですね。

 

 次は心は作家な、不動産屋ブローカーのポールです。彼の話し相手のデヴィですが、彼が海軍にいるということを示す文に、わざわざ「still(まだ)」という言葉が付いていますね。これは恐らく、ポールもかつては海軍に所属しており、デヴィはその時の相棒だったのだと思われます。そして、ポールだけが先に退役して、不動産屋兼小説家になっているという事なのでしょうね。

 ここからはちょっと深読みの類になるかもしれませんが、海軍は殆どの時間を船の上で生活することになる為、女性を抱くことができません。その為、一部で衆道に走る人がいるのではないかと思われます。そして、ポールとデヴィはそんな関係かもしれません。なので、ポールは結婚相手を探すことをせずに、退役した今でもデヴィと会っているのかもしれませんね。

 

 お店のウェイトレスは、酔っぱらって絡んでくるサラリーマンを上手にあしらえるようになったと言っています。ただここは、ウェイトレスの成長に感心しているというよりはむしろ、日常茶飯事のようにそんなちょっかいを出してくる酔っぱらいが大勢いるという点に焦点を当てたフレーズではないかなと思います。そして、こういった大衆酒場でそのように振る舞うことで、自分の心にある穴のような物を紛らわそうとしていることにフォーカスを当てていると思われます。

 そしてこれまでに出てきた、老いてかつての輝きを懐かしむ老人、叶わない夢と心のどこかで悟りつつも諦めきれないジョン、一生を添い遂げる人を持つことのないポール。彼らもまた、そのように心に一抹の寂しさや無念さを抱えた人であるということを、改めてここで伝えていると思います。

 

 そんな気持ちを少しでも癒そうと、彼らはピアノマンに歌を依頼します。そしてピアノマンもまた、彼らの心の穴を一時でも埋められればと、ピアノを奏で、歌を披露します。そしてその歌につられ、普段は来ない客まで引き寄せられ、彼らもまたピアノマンに一曲お願いしていき、その歌に浸り……と、この日の酒場は大入りとなります。

 そして、仮初めでも心が満たされた客達は、彼に感謝とチップを弾みながら「あんたこんな所で何やってんだい」と檄を飛ばします。こんな大勢の人達に感動を与えることができる力を持った人間が、こんな大衆酒場の中だけで終わっていいはずが無いという想いからの言葉でしょうね。そして反対に「このままここにいたら、自分たちみたいに心に穴を開けた人間になっちまうぞ」という警告も込めているかもしれません。

 

 寂しさを埋めてくれる彼をピアノマンと慕い、どこか物悲し気に、でもだからこそ賑やかに夢の宴はいつまでも続いていくという、そんな情景が思い浮かぶ曲ですね。

 

 さて、この曲はビリー・ジョエル(Billy Joel)が最初にレコードとして世の中に発表した曲で、多分彼の曲の中でもっともよく知られているのではないかなと思います。

 この曲のPVはオリジナルバージョンとリメイクバージョンが有りますが、どちらも珍しく、イメージ映像では無くて本当に曲の内容に忠実に沿った映像となっております。是非、和訳部分と比較しながら聴いてみて下さい。

 

【オリジナルバージョン】


Billy Joel "Pianoman" Original Video

 

【リメイクバージョン】


Billy Joel - Piano Man

 

 また、リメイクバージョンのPVの最後にビル・マーティン(Bill Martin)という写真が出てきますが、これはビリー・ジョエルが別名で活動していた時の物のようです。その為、ジョンの友人として歌詞中に出てくるビル(Bill)という名前も、恐らくビル・マーティン、即ちビリー・ジョエル本人の事を指していると思われます。

 

 また、この曲はgleeでも2回使われており、1度目はシュー先生、及びシュー先生のかつてのグリー・クラブ仲間であるブライアンによって、2度目はブレインによって歌われています。2度目はビリー・ジョエル特集をやりたくて多少無理矢理シーンを作った感がありますが、1度目はかつて演芸の道を挫折し、ミュージカル俳優など見果てぬ夢だと諦めていたブライアンが、またその夢を取り戻すきっかけとなる曲として使われております。これは個人的にこのシーンで使用されるべき曲としては、最高のチョイスじゃないかなと思います。また、ブライアン役のニール・パトリック・ハリス(Neil Patrick Harris)の歌いっぷりもいいですね~


 

 

【1度目:シュー先生&ブライアン】


Pianoman - glee (Neil Patrick Harris & Matthew Morrison)

 

【2度目:ブレイン】


Glee - Piano Man (Full Perfomance) HD

 

訳、言葉について

 老人が飲んでいるジントニック、これは本当はgin and tonicと呼びますが、shuffles inとの韻踏みを考慮し、tonic and ginと逆にしたのでしょうね。

 

 老人の言葉にあったhow it goesは、イメージとしては「今という状況がどこかに行く方法」と捉えればいいかなと思います。つまり、状況を変えるとか、気持ちを切り替えるとか、そういった意味になるのだと思います。

 

 ポールの職業として出てきたreal estate novelistですが、real estateは「不動産」という名詞だけでなく「不動産売買を行う」という形容詞的役割にも使えるそうです。なので、「不動産を売買する小説家」となります。きっと、本業は不動産業者で、その一方で小説家紛いの執筆活動を行っているのではないかなと思います。もっとも本人としては、小説家こそが本業で、ただそれだけだと食っていけないので、不動産の売買で生活費を得ているということでしょうけれどね。

 

 演奏後のシーンでput bread in my jarとありますが、このbreadは「パン」ではなく「お金」の意味合いになります。日本でもお金稼ぐことを「飯を食っていく」という表現があるように、英語ではbreadという言葉に、このニュアンスを持たせているようです。なので、ここで言うbreadは、チップだとかおひねりと言った意味合いで捉えれば良いかなと思います。

 

 最後に観客の言ったWhat are you doing here?は「なんでこんな所にいるんだい?」というニュアンスで使われるもので、日常ではどこかで偶然ばったり知り合いに出会った際によく使われる言葉です。しかし、このシチュエーションでは「あんたぐらいの腕前の人が、なんでこんな所で歌っているんだい?」という褒め言葉でしょうね。

 ……まあ、逆に「その程度の腕前で、何でここで歌えているんだ?」という痛烈なクレームの可能性も無いわけではないのですが、それまでのシチュエーションからしてそれは無いかなと思います。※余談ですが、もし本当にクレームだとしたら、前述のbreadは本当に食べかけのパンをお代の箱にぶち込まれているかもしれませんね(笑)

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