さて、この曲はなんて言ってるのだろう

英語は苦手ですが、洋楽を和訳しながらあれこれ意味を調べたり考えたりするのは好きなので、その勢いで書いています。
意訳と偏見だらけですが、ご容赦ください。

A Hard Rain's A-Gonna Fall / Bob Dylan

A Hard Rain's Gonna A-Fall / Bob Dylan

 

Lyrics&訳

Oh, where have you been, my blue-eyed son?

And where have you been, my darling young one?

I've stumbled on the side of twelve misty mountains

I've walked and I've crawled on six crooked highways

I've stepped in the middle of seven sad forests

I've been out in front of a dozen dead oceans

I've been ten thousand miles in the mouth of a graveyard

And it's a hard, it's a hard, it's a hard, and it's a hard

It's a hard rain's a-gonna fall

 

おお、息子よ。その眼の青色。変わってないな

聴かせてくれ。一体どこに行っていたのだ

十二の霧山。よろめき歩いた

六つの歪んだ高速道路を

七つの悲しき樹海の奥を

数々の死せる海の岸辺を

一万マイルの墓場を歩いた

辛い、そう、とても辛い

そんな雨が、降りそうだった

 

Oh, what did you see, my blue-eyed son?

And what did you see, my darling young one?

I saw a newborn baby with wild wolves all around it

I saw a highway of diamonds with nobody on it

I saw a black branch with blood that kept drippin'

I saw a room full of men with their hammers a-bleedin'

I saw a white ladder all covered with water

I saw ten thousand talkers whose tongues were all broken

I saw guns and sharp swords in the hands of young children

And it's a hard, it's a hard, it's a hard, and it's a hard

It's a hard rain's a-gonna fall

 

そうか、息子よ

そこでお前は何を見たのだ

狼の群。奴らが囲う赤ん坊を見た

車の通わぬ高速道路を

血の滴り落つ黒き枝を

阿鼻叫喚で満たされた部屋を

水底に沈む白き梯子を

舌のもがれた話者一万を

銃を刃を持つ子らを見た

酷な、そう、とても酷な

そんな雨が、降りそうだった

 

And what did you hear, my blue-eyed son?

And what did you hear, my darling young one?

I heard the sound of a thunder, that roared out a warnin'

I heard the roar of a wave that could drown the whole world

I heard one hundred drummers whose hands were a-blazin'

I heard ten thousand whisperin' and nobody listenin'

I heard one person starve, I heard many people laughin'

Heard the song of a poet who died in the gutter

Heard the sound of a clown who cried in the alley

And it's a hard, it's a hard, it's a hard, it's a hard

It's a hard rain's a-gonna fall

 

そうか、息子よ

そこでお前は何を聞いた

吠える雷。その告げを聞いた

この世も沈める波の唸りを

焼けた手と百のドラムの奏を

聴かれざる一万の囁きを

餓者の呻きを、他者の嗤いを

どん底で死んだ詩人の歌を

路地裏の道化の嗚咽を聞いた

哀しい、そう、とても哀しい

そんな雨が、降りそうだった

 

Oh, what did you meet, my blue-eyed son?

Who did you meet, my darling young one?

I met a young child beside a dead pony

I met a white man who walked a black dog

I met a young woman whose body was burning

I met a young girl, she gave me a rainbow

I met one man who was wounded in love

I met another man who was wounded in hatred

And it's a hard, it's a hard, it's a hard, it's a hard

It's a hard rain's a-gonna fall

 

そうか、息子よ

そこでお前は何に出会った

死んだ仔馬。そこに佇む子供に出会った

黒い心を抱えた白人

火刑に処される若き女

俺に虹を見せた少女

愛の中に傷つく男

憎悪に傷つく男に出会った

無情な、そう、とても無情な

そんな雨が、降りそうだった

 

And what'll you do now, my blue-eyed son?

And what'll you do now, my darling young one?

I'm a-goin' back out 'fore the rain starts a-fallin'

I'll walk to the depths of the deepest dark forest

Where the people are many and their hands are all empty

Where the pellets of poison are flooding their waters

Where the home in the valley meets the damp dirty prison

And the executioner's face is always well hidden

Where hunger is ugly, where souls are forgotten

Where black is the color, where none is the number

And I'll tell and speak it and think it and breathe it

And reflect from the mountain so all souls can see it

And I'll stand on the ocean until I start sinkin'

But I'll know my song well before I start singin'

And it's a hard, it's a hard, it's a hard, and it's a hard

It's a hard rain's a-gonna fall

 

そうか、息子よ

それで、これから一体どうする

雨が降る前に、戻ろうと思う

最も深い森の奥に

何も持たぬ人々の下に

毒で溢れた彼らの海に

家が牢屋と並びし谷に

顔無き処刑官の住む谷に

飢えた者の怒れる場所に、多くの誇りの失われた地に

色と言えば黒たる場所に、数と言えば零たる場所に行こうと思う

そして語ろう。話し、考え、息づこう

山に木霊させよう。生ける全てに届くよう

海の上にも佇もう。この身が沈み始めるまでは

でもこの歌は溢れだそう。俺の歌い始める前から

そして強い、そう、とても激しい

そんな雨が、降るのだろうな

 

 

この曲について

 世の中に溢れかえる闇の部分の見聞録のような歌ですね。読んでいるだけで、非常に痛々しいシチュエーションばかりが見えてきます。

 

 どういう経緯かは分かりませんが、この主人公は親元を離れ、どこかを別のところを巡ってきたようです。そして親元に戻り、その旅はどうであったかを親から訊かれ、それに答える形でこの歌は進みます。

 

 最初は場所の情景からです。山、海、森など色んな所を巡っていはいますが、どれも主人公にとって決して良い場所では無かったようです。どの景色も、その本来の美しさを見ることは叶わず、霞んでいたり、ぼやけていたり、或いは景色そのものが死んでしまっていたようだと伝えます。

 

 そして、それらの景色の中で何を見たのかを語ります。景色という広い情報から、一気にここで描写が細かくなりますね。捨てられたと思われる赤子、人気のない街、倒された梯子……そして特に、血の滴る枝と血にまみれた部屋、武器を持った子供達といった情報から、この主人公がいたのは戦場で有ったことがうかがい知れます。

 

 聴こえてくるものも、痛々しく皮肉なものばかり。出会う人々も皆悲しみを抱えた人ばかりです。そしてその悲しみに更に追い打ちをかけるような、激しい雨がこれから降ろうとしているようです。

 

 ただ、たった一人だけ、この主人公に希望を与えてくれた人物が居たようですね。主人公に、そんな雨が降りそうな空に虹を見せてくれた少女です。それが一つのきっかけになったかどうかは分かりませんが、最終章でこの主人公は、また辿ってきた場所に戻ることを決意しています。そして、目の当たりにした光景を自分の中で必死に消化し、そして自分の声を悲しみに暮れる彼らに届けようとします。そして、その手段は恐らく歌なのですが、ここで一つ気になるフレーズが出てきます。I'll know my song well before I start singin' です。これは、直訳すると「自分が歌う前から、自分の歌は湧き出てくることを知っている」となります。
 では、どこから湧き出てくるのでしょう。これは個人的な勝手な解釈ですが、自分が歌に込めた心は、世の中の皆の中にも在ると言っているのではないかという気がします。いつか、地獄のような状況も、そういった人々の中に眠る心が変えて行けるのではないかという、希望を込めた言葉なのではないかと思いました。

 

 そして、そんな後に降る雨は彼らに何をもたらすのでしょうね。勿論、悲惨な現状に泥を上塗りするようなことになるかもしれませんが、もしかしたら、全てを流し去ってくれるものであるかもしれません。この曲の結末に何を見い出すか、読み手によってそこは変わってくるかもしれませんが、是非後者であって欲しいなと思います。

 

 さて、この曲は1963年にボブ・ディラン(Bob Dylan)によって歌われた曲で、彼の代表曲、Blowin' In The Wind (邦題:風に吹かれて)のシングルのB面に収録されました。邦題では「はげしい雨が降る」と呼ばれています。
 彼のノーベル文学賞授賞式にて、欠席した彼に代わってパティ・スミス(Patti Smith)によって歌われた歌でもあります。

Bob Dylan - A Hard Rain's A-Gonna Fall (Audio)

 ディランの曲は、最初から最後までが一つのストーリーになっているものが多いですが、会話を進めるように歌が進んでいくという点に、他の曲にはない大きな特徴があります。やっぱり彼はストーリーテラーですね。

 

訳、言葉について

 Highway of diamonds は、正直言ってあまり確信が持てていないのですが、恐らく高速道路のダイヤモンド型インターチェンジの一帯を指しているのではないかと思われます。まさかダイヤモンドで出来た高速道路ということも無いと思いますし、仮に何かの比喩表現だったとしても、他がかなり直接的に描写されている中でこの一文だけ比喩表現を持ち込むと、不自然になる気がしますので。

 

 White ladder は白い梯子です。これ自体に特に熟語的な意味合いは無いのですが、梯子は欧米において、絞首刑や火刑の処刑台をイメージさせるアイテムという側面を持っています。その為、倒れて水底に沈んだ梯子からは、その前に処刑が行われたのであろうという憶測が生まれるのではないかと思われます。
 余談ですが、以前訳した Life の歌詞の中で、迷信深い主人公が「梯子の下なんて通れたものじゃない」と言っていますが、これは上記の理由から「梯子の下を通ると言うことは、処刑台の下を通ると言うことと同じで不吉なこと」というジンクスから来るものです。

 

 Black dog は、そのまま「黒い犬」という意味も勿論ありますが、「心に抱えた闇」「不機嫌」「憂鬱」等、暗い雰囲気を表す言葉としても使われます。

 

 Executioner は、直訳すると「実行する者」ですが、この単語においては特にピンポイントで「死刑執行人」を意味する言葉として使われます。イメージとしては、罪人の首を斬り落とす係となります。

 

 Black is the color をどう訳そうかは非常に迷ったのですが、color に the という冠詞がついているので、皆に共通認識のある色、即ち「黒が代表的な色」とか「黒が象徴的な色」という意味合いで訳してみました。 None is the number も同様のニュアンスで、「ゼロが代表的な数字」のように捉えました。

Rainy Days And Mondays / Carpenters

image

 

Lyrics&訳

Talkin' to myself and feelin' old

Sometimes I'd like to quit

Nothing ever seems to fit

 

独り事。老いたと感じる

時折、終わりにしたいと思う

目に映る物は違和感ばかり

 

Hangin' around

Nothing to do but frown

Rainy days and Mondays always get me down

 

まとわりついてる

重い気持ちに何するでもなく

いつだって、心は沈む。雨と月曜

 

What I've got they used to call the blues

Nothin' is really wrong

Feelin' like I don't belong

 

そう、これを憂鬱というのね

これと言った理由などない

寄る辺の無いこの胸の内

 

Walkin' around

Some kind of lonely clown

Rainy days and Mondays always get me down

 

ただうろついている

独りぼっちの道化師見たく

いつだって、心も濡れる。雨と月曜

 

Funny but it seems I always wind up here with you

Nice to know somebody loves me

Funny but it seems that it's the only thing to do

Run and find the one who loves me

 

変ね、結局はいつもあなたのもとに

愛されている。そう思えるのは素晴らしい

でも変ね、私のするべきはむしろ

愛される為、ここから逃げ出し求めること

 

What I feel has come and gone before

No need to talk it out

We know what it's all about

 

幾度も揺れて動く私の心は

口に起こすまでも無い

分かっている。お互いにもう、全て

 

Hangin' around

Nothing to do but frown

Rainy days and Mondays always get me down

 

たちこめている

心の闇も払うこと無く

いつだって、心の浮かぬ。雨と月曜

 

Funny but it seems that it's the only thing to do

Run and find the one who loves me

 

可笑しなものね。こんな道しか無いと思える

あなたから離れ、別の誰かを探さなければと

 

What I feel has come and gone before

No need to talk it out

We know what it's all about

 

何度も移り変わるこの胸の内は

あなたに伝える必要も無い

これが全てと分かっているから

 

Hangin' around

Nothing to do but frown

Rainy days and Mondays always get me down

 

まだたたずんでる

笑えぬ顔も繕うことなく

いつだって、心が褪せる。雨と月曜

 

Hangin' around

Nothing to do but frown

Rainy days and Mondays always get me down

 

また彷徨ってる

濡れる頬も拭うことなく

いつだって、心も晴れぬ。雨と月曜

 

この曲について

 あーもう湿っぽい!はっきりしない!ジメジメした雨模様と同じような、煮え切らない女性の心模様を描いた曲のようですね。

 

 この主人公、恋人や夫と呼べる人と長く生きており、それなりに幸せと言えば幸せな境遇に居るのかも知れません。しかし、常に自分の心の中に「本当にこれが自分の幸せなのか」と常に疑問が投げかけられているように思えます。

 

 しかし、この気持ちに関しては一言で表現できるような気持ではなさそうです。長い生活に飽きてきたのかと言えば少し違う気もしますし、ではうんざりしているのかと言えば、少なくとも相手の愛は大切なものと言う想いもあるようです。かといって一時の気の迷いなのかと言えば、それなりに長いこと心に秘めている気持ちのようにも思えますし、身も蓋も無く言うなら倦怠期……でしょうかね。

 

 この曲のキーフレーズは、雨ではなく月曜日というところなのでしょうね。日曜日は恋人、あるいは夫と共に一日を過ごしたのでしょう。そしてその次の日、その人は仕事で外に出て行って主人公が一人残されるわけですが、この時の心境はいかがなものなのでしょうね。丸一日の間、自分を愛してくれていた人がいなくなった寂しさの一方で、しかしともすれば、自分はむしろその状況に少しほっとしているのかもしれないといった複雑な胸の内を抱えているのかもしれません。そしてそんな気持ちになりがちな月曜日を、この雨の日の憂鬱さに重ねてより重く際立たせている。そんなシチュエーションを歌った曲でしょうね。

 

 さて、この曲は1971年にカーペンターズ(Carpenters)により歌われた曲で、邦題では「雨の日と、月曜日は」と呼ばれています。
 特別印象的な曲では無いかもしれませんが、でも一度はどこかで耳にしたことのある曲なのではないかと思います。男女関係に留まらず、自分の中でも気持ちがはっきりせずにただ一日だけが過ぎていってしまう日にはぴったりな曲に思えます。


Carpenters - Rainy Days And Mondays

訳、言葉について

 Talk to my self は、自分自身に話しかける、即ち「独り言を言う」という意味となります。

 

 Hang around は、「辺りをうろつく」とか「佇む」といった意味の言葉です。

 

 Get 誰それ down で、「誰それの気持ちを沈ませる」という意味になります。
 余談ですが、以前 Good Time にもこの熟語が出てきています。ただ、あちらは全く意味が違い「~に賛成する」とか「パーティを開催する」という意味で使用されていました。
 ……何でここまで意味が違うんでしょう……
 多分、Down 自体「賛成する」という意味があるので、パーティーが日常的に行われているアメリカでは「パーティに行く人~?」という呼びかけに対して「賛成~」というやり取りが繰り返された中で、「賛成を得た(Get down)」→「じゃあパーティを開こう・行こう」というような流れで、パーティと Down が結びついたのかも知れません。憶測ですが。

 

 Come and go は Karma Chameleon のサビに出てきましたね。行ったり来たり……というイメージから派生したのか「移り変わる」という意味で捉えられる言葉です。

Misery / Maroon 5

Misery / Maroon 5

 

Lyrics&訳

Oh yeah

Oh yeah

 

なあ、答えてくれ

なあって

 

So scared of breaking it that you won't let it bend

And I wrote two hundred letters I will never send

Sometimes these cuts are so much deeper than they seem

You'd rather cover up, I'd rather let them bleed

 

お前が折れねぇもんだから、勢い余って壊れちまいそうだ

もうかれこれ200通だ。書いては捨てた手紙の数は

この傷痕どもは、見た目よりも深いやつも沢山あるんだ

お前はこの傷を塞ぎたがるが、俺は血の流れるままにしていたい

 

So let me be

And I'll set you free

 

このままでいさせてくれ

お前のことも自由にするから

 

I am in misery

There ain't nobody who can comfort me, oh yeah

Why won't you answer me?

The silence is slowly killing me, oh yeah

 

本当、最低だ

俺の心を癒せる奴は誰もいねぇ。だろ

なぁ、なんで何にも言わねぇ?

その無言にだんだん殺されそうさ。ああ

 

Girl, you really got me bad

You really got me bad

And I'm gonna get you back

I'm gonna get you back

 

お前、ほんと俺を悩ませてくれるな

気が気じゃねぇよ

だが、お前は必ず取り戻す

俺のもとに取り戻す

 

Your salty skin and how it mixes in with mine

The way it feels to be completely intertwined

Not that I didn't care, it's that I didn't know

It's not what I didn't feel, it's what I didn't show

 

塩気ばったお前の肌と俺のとが混じる

そうやってやっと絡み合ってるって実感できる

気にしなかったわけじゃない、ただ知らなかっただけだ

感じなかったって訳じゃない、そう見せなかっただけだ

 

So let me be

And I'll set you free

 

なあ、もういいだろ

俺もお前を縛り付けやしないから

 

I am in misery

And there ain't nobody who can comfort me ,oh yeah

Why won't you answer me?

The silence is slowly killing me, oh yeah

 

ほんと冴えねぇったらねぇな

誰か俺を助けてくれないものかね

なあ、何とか言ってくれよ

黙ってるお前が一番堪えるんだ、なあ

 

Girl, you really got me bad

You really got me bad

And I'm gonna get you back

I'm gonna get you back

 

ほんと、悩みの種が尽きない女だ

自分がダサく思えてしょうがない

だがお前は取り戻す

俺のところに必ずな

 

You say your faith is shaken

And you may be mistaken

To keep me wide awake and waiting for the sun

I'm desperate and confused

So far away from you

I'm getting there, I don't care where I have to run

 

「あなたのこと信じられなくなりそう」だとか

「どこで間違ったのかな」とか

そう言って朝まで眠れなくさせてくれるよな

俺は必死に頭の中を引っ掻き回して

お前から距離をとっちまって

辿り着いちまった。駆けずり回る必要もねぇ場所

 

Why do you do what you do to me, yeah?

Why won't you answer me, answer me, yeah?

Why do you do what you do to me, yeah?

Why won't you answer me, answer me, yeah?

 

何でお前は俺に対してそうなんだ

何で何も言わねぇんだ

一体何なんだその態度は

気に食わねぇならそうと言えよ

 

I am in misery

There ain't nobody who can comfort me, oh yeah

Why won't you answer me?

The silence is slowly killing me, oh yeah

 

全く、惨めなもんだな

誰が来たって立ち直れる気がしねぇ

頼むから何か言ってくれよ

そうやって黙られんのが一番キツいんだっての


Girl you really got me bad

You really got me bad

And I'm gonna get you back

I'm gonna get you back

 

本当、勘弁してくれよ

こんな気分にさせんじゃねぇよ

だがこれから取り返すぜ

それまで待ってろよ

 

Girl you really got me bad

You really got me bad

And I'm gonna get you back

I'm gonna get you back

 

お前のせいで自信は無くすし

プライドなんて粉々だ

だからちゃんと取り返す

またあの頃に戻って貰う

 

Girl you really got me bad

You really got me bad

And I'm gonna get you back

I'm gonna get you back

 

惨めな気分にもさせられたし

苦いモンも覚えさせられた

だが惚れ直させてやる

必ずまたモノにしてやる

 

この曲について

 付き合ってた彼女の態度が冷たくなったことへの戸惑いと不満がないまぜになった状態でしょうか。多分ですがこの主人公、カップルにありがちな「少し距離を置きたい」という心境になってしまったのかなと思います。

 

 出だしで、少なくとも険悪な雰囲気が出ていますね。どうもこの主人公、相手との関係修復の為に自分なりに色々手を尽くしてきたのだと思いますが、どれもが空振りという結果に終わっているのだろうなと予想できる内容ですね。そして、お互いの方向性がどうも違う事を察してしまったようです。そしてサビの導入前に、お互い自由になろうと相手に持ち掛けます。

 

 そしてサビでは、そんな相手と分かりあえないでいる、或いはぞんざいな扱いを受けている自分がみじめに思えてくると愚痴モードに入ります。でもこの主人公、決して相手に愛想をつかしてしまった訳では無いところに、そこはかとなく「惚れた弱み」的な物を感じます。その為か、お互い自由になろうと宣言したものの、いずれまた取り返すと宣言していますね。

 

 そして、Dメロでは相手の言葉に堪えては夜も寝られない日を何度も経験しているようで、なんというか御愁傷様という感じでありますが、結局最後には「お前を取り戻す」を何度も何度も繰り返してしまいます。
 そんな、何が不満なのかも語らない、語ったとしても切れ味鋭い。そんな彼女に振り回されている状況そのもの去ることながら、それでも上記の「惚れた弱み」により振りきれないでいる、まだ彼女に執着してしまう。そんな自分も含めて、タイトルが「Misery(惨め、悲惨)」なのかなという気がします。

 

 さて、この曲はマルーン5(Maroon 5) により2010年にリリースされた曲で、アルバム Hands All Over に収録されています。耳残りの良いサビのメロディに加えて、タイトル通り悲惨で仕方ない強烈な PV のせいもあって、僕の周りでは「あ~、この曲知ってる」って方は多かった印象です。


Maroon 5 - Misery

 

 また、この曲は glee のシーズン2にて、ウォーブラーズ(Warblers)によって州大会の候補曲として歌われました。いきなりブレインが楽譜をまき散らしたり、皆でテーブルを叩いてリズムを取ったりと、とてもノリのいい曲になっています。(カートからの評価は冷たかったですが(笑))


GLEE - Misery Full Performance (HD)

 

訳、言葉について

 サビで頻出する Get me bad ですが、Get は「手に入れる」の他に、take と同じように「連れて行く」というニュアンスで使える言葉です。なので、「私を悪い状況に連れて行く」となり、転じて「悪い気分にさせる」という意味合いでで捉えればいいのかなと思います。

 

 Intertwine は、絡み合ったという意味です。この言葉を分解するとInter (相互に) twine(縒る、縒り紐)となり、イメージしやすいかなと思います。 

Let The River Run / Carly Simon

Let The River Run / Carly Simon

 

Lyrics&訳

We're coming to the edge

Running on the water

Coming through the fog

Your sons and daughters

 

辿り着いた涯

流れ征く水に乗って

霧の中を抜けてくるのは

皆の愛しい子供達

 

Let the river run

Let all the dreamers

Wake the nation

Come the New Jerusalem

 

流れる河はそのままに

夢見る者達が

国を甦らせたるも

新たな聖地に辿り着きたるも

 

Silver cities rise

The morning lights

The streets that meet them

And sirens call them on

With a song

 

白銀の街に昇る

朝の太陽

皆の出会う街並み

セイレーンは彼らを誘う

その歌声で

 

It's asking for the taking

Trembling, shaking

Oh, my heart is aching

 

呼びかけ、求め

震えて、揺られ

そして私は、心を痛め

 

We're coming to the edge

Running on the water

Coming through the fog

Your sons and daughters

 

この果てまで辿り着いた

河の流れに導かれ

そして先の見えぬ霧の先には

愛しい子らが

 

We the great and small

Stand on a star

And blaze a trail of desire

Through the dark'ning dawn

 

大いなる小人たる我らは

この星に立ち

深き森にも信念の道を

光の射さぬ夜明けを越えて

 

It's asking for the taking

Come run with me now

The sky is the color of blue

You've never even seen

In the eyes of your lover

 

問い掛け、望む

今、私と共に走り来たるを

この空を色なす青は

皆決して見たことのない

今それが愛しき人の目に

 

Oh my heart is aching

We're coming to the edge

Running on the water

Coming through the fog

Your sons and daughters

 

そう、この胸は痛む

我らは辿り着いたのだ

とめどない水に流され

見えない道を抜け出で

我らの子らの待つ世界へ

 

It's asking for the taking

Trembling, shaking

Oh, my heart is aching

 

得る為に請い

身を震わせ、頭を振り被り

またこの心は痛み行く

 

We're coming to the edge

Running on the water

Coming through the fog

Your sons and daughters

 

辿り着いた先

流るる河に任せて

先見えぬ道を進み抜ければ

そこにはもう次の時代が

 

Let the river run

Let all the dreamers

Wake the nation

Come the New Jerusalem

 

流れる河を止めてはならない

夢見る者達を止めてはならない

この世界を変え行くを

新たな聖地を見い出すを

 

この曲について

 ちょっと解釈に悩みましたが、未来なんて予測もつかないものだけれど、それでも時と共に世の中が変わっていくことを受け入れよう、喜ぼうという歌かなと思いました。そこから、世代交代を歌った歌にも思えます。

 

 とはいえ、初めは出だしからいきなり戸惑いました。水の流れに乗って辿り着いた先に、霧の向こうから子供達がやって来るってどういうシチュエーションなんだと首を傾げました。ただまあ、ここはまず普通に考えて何かの比喩表現と思われるので、後で解かるだろうと信じて保留ですね。

 

 そして次のフレーズでは、河は流れさせておけ、夢見る者達には国を復興させておけと続きます。これは恐らく、若い世代によって国が変わっていくことを、河が流れていくことと同じと例えて、それは無理矢理止められるものではないし、止めない方が良いということでしょうか。そして、New Jerusalem と続きますが、次世代のユートピアのようなニュアンスで解釈しました。

 

 次のシチュエーションでは銀色の街という表現が出てくるので、この歌の背景は都会と見て間違いないと思います。そこに雑多に行きかう人達。そこには毎日常に新たな出会いが繰り広げられているという様子に思えます。これは、先ほどの国が変わっていくという様子とイメージがリンクするのではないかなと。
 また、ここでセイレーンと言う、水夫を歌声で海に引きずり込むと言う伝説上の魔物が出てきますが、これは次々に人が夢に惹かれてやってくるという、この街そのものを例えた表現でしょうね。

 

 ただ、この次のシチュエーションでは、主人公が胸を痛めています。この曲が上記までの通り、変わり行く世の中を表しているとして、それに対して主人公が胸を痛めているということは、主人公もまた変わり行く世の中を受け入れるのに抵抗が生まれ始めた歳だと言うことでしょうか。

 

 ここまでを整理すると、冒頭の比喩表現のイメージが大分固まりますね。「私たちはEdge(境界線、崖、ふち)に辿り着きそうだ」と言っていますが、この Edge というのは、自分たちが時代を切り開く側の役目から、時代を切り開く人を見守る役目へと移る境界線の事かなと。そして、Fog(霧)は、先の見えない未来を例えていて、でもその霧の向こう側には、次の世代を担う自分たちの子供達がいるというイメージかなと思います。
 そして、Sons and daughters と、子供達が複数で表現されていることもあり、今回の曲においては、You は「あなた」ではなく「あなた方」「皆」という複数にしました。

 

 さて、この曲は1989年にカーリー・サイモン(Carly Simon)によって歌われた歌で、映画「ワーキング・ガール(原題:Working Girl)」の中で使用されました。


 

Let The River Run - Carly Simon


 PV、時代を感じますね。この時代の活気ある風景は、これはこれででいいなぁと思ってしまいます。30年後に今の時代の映像を見た時、やっぱり同じように思えるのでしょうか(歳か)

 

訳、言葉について

 Siren は日本では一般的には「セイレーン」と呼ばれており、上記でも説明した通り、海の上で歌を歌うことで水夫を誘惑し、海の中に引きずり込むという伝説上の魔物です。
 ただ、その外見は人によってイメージが分かれております。一つは、人間女性の身体に鷲のような羽が生えている、ハーピーのような外見のイメージ。もう一つは、同じく人間の女性の上半身と、魚の下半身という、所謂マーメイドと同じ外見のイメージです。個人的には、嵐の海に立つ岩の上で竪琴を持っている人魚のイメージでした。

 

 Braze a trail は「未開の森を進むために、木に焼き痕を付ける」という行為から転じて「先駆者となる」という意味を持つ言葉だそうです。

 

 Dark'ning は、Darkening の別の記述法のようで、意味はDarkening(だんだん暗くなる)という意味だそうです。なので、Darkening dawn は「だんだん暗くなる夜明け」という、正反対のイメージが同居した言葉となります。詩的とまでは行かなくても、独特のニュアンスを醸し出した言葉ですね。

プロフィール

笹森茂樹

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