Cough Syrup / Young The Giant

 

Lyrics&訳

Life's too short to even care at all oh

I'm losing my mind losing my mind losing control

These fishes in the sea they're staring at me oh oh oh oh oh oh

A wet world aches for a beat of a drum, oh

 

人生は短いな。気になる物は沢山あるのにさ

ぼやける頭、ぼやける頭。何が何だか分からなくなってく

あぁ、なんだ、海で沢山の魚が俺を見てる

ドラムの音が羨ましいのか。水浸しな世界には

 

If I could find a way to see this straight, I'd run away

To some fortune that I, I should have found by now

 

こんなのをさ、歪みなく見られるんだったらさ、そりゃそうするよ

どっかで見つけるはずだった、この先ってのに続く道

 

I'm waiting for this cough syrup to come down, come down

 

今はさ、待ってるんだ。咳止め液が効いてくるのを

 

Life's too short to even care at all oh

I'm coming up now coming up now out of the blue oh

These zombies in the park they're looking for my heart oh oh oh oh

A dark world aches for a splash of the sun oh oh

 

命って儚いよな。あれこれ目移りしちまうクセにさ

気分が上がる、気分が上がる。こいつはいきなりやってくる

ん~、あぁ、ゾンビだな。公園で、俺の心臓探してやんの

暗い世界ってのは、弾ける太陽に焦がれるもんだしな

 

If I could find a way to see this straight, I'd run away

To some fortune that I, I should have found by now

 

こんな世界がまともに見えるんならさ、そうしたかったさ

ここまでで見つけるべきだった、未来ってのが見える道

 

And so I run to the things they said could restore me

Restore life the way it should be

 

これを使えば立ち直れるさ。言われて俺は飛びついた

立て直すのさ。この人生を、あるべき姿に

 

I'm waiting for this cough syrup to come down

 

そして待ってる。その咳止めが回っていくのを

 

Life's too short to even care at all oh

I'm losing my mind losing my mind losing control

 

この世ってあっという間だな。誘惑多いのにさ

今落ちて行く、今落ちて行く。理性ってもんが飛んでいく

 

If I could find a way to see this straight, I'd run away

To some fortune that I, I should have found by now

 

正気を保てていられるんなら、とっくにしてたさ

今までどっかにあるはずだった、まともな未来が待っている道

 

And so I run to the things they said could restore me

Restore life the way it should be

 

これさえあればやり直せるよ。なんて言葉に縋ったさ

ふざけた人生もと通り、なんてモノにさ

 

I'm waiting for this cough syrup to come down

そして今はただ、咳止め薬が行き渡るのを

 

One more spoon of cough syrup now whoa

One more spoon of cough syrup now whoa

 

咳止め液をもう一口

甘い薬をもう一口

 

この曲について

 なんとも人生の闇が見える曲ですね。生きることに絶望してしまった人の心境が描かれているようです。

 

 先にここを押さえておかないと、この曲は意味が分からなくなってしまうのですが、一部の市販されている咳止めシロップは、多幸感を覚えるドラッグの代わりとして使用されることが有るそうです。これを踏まえて歌詞を見てみると、完全に薬物に逃げてそこから逃れられずにいる主人公の姿が浮かび上がると思います。

 

 そして、既にそれは確実に主人公の心を蝕んでいるようですね。「沢山の魚の視線を一手に浴びている」「ゾンビが自分の心臓を求めて彷徨っている」と、実際にそう思っているにせよ何かの比喩であるにせよ、既に常人の感性は失っているようにも思えます。

 

 この咳止めシロップを使うようになったのも、なんともよくある話ですね。「これを使えば楽になる」「これさえあれば辛いことは忘れられる」そんな言葉に誘われてしまったようです。この先、この主人公は「こんな人生になる筈じゃなかった」と後悔と憤りと言い訳を口にしながら、この薬を飲み続けるんでしょうね。

 

 この未来にも救いの無さそうな歌詞は、単に絶望に打ちひしがれた人の悲惨な末路を歌った歌とも取れますし、そこからドラッグ使用の危険性を説いた歌とも取れます。

 

 ダメ、絶対。

 

 さて、この曲は2010年にヤング・ザ・ジャイアント(Young The Giant)によってリリースされた曲で、彼らと同名のアルバムに収録されています。歌詞を繙いてから実際に聴いてみると、楽曲中の Oh の部分が、本当に頭の中が白んでぼうっとしている様子を彷彿とさせますね。


Young the Giant: Cough Syrup [OFFICIAL VIDEO]

 また、この曲は glee のシーズン3にて、ブレインによって歌われました。と言っても、この時はどちらかというとブレインの心境を表した曲としてではなく、劇中の登場人物の一人、カロフスキーの心情を表した曲として歌われています。
 自分がゲイであることへの戸惑いと苛立ちから、同じゲイであるカートをいじめ抜いてきた彼ですが、ようやく自分自身を受け入れようと改心した矢先に、今度は彼が酷いいじめを受けるようになってしまい、ついには自殺未遂にまで至ってしまいます。その自分の末路を儚む様子が、この曲とよく重なります。


Glee - Cough Syrup (Full performance + scene) 3x14


 いじめもダメ、絶対。

 

訳、言葉について

 care at all は、一般的には don't care at all として使われることが多いようですが、これで「全然気にしなくていいよ」という意味です。その為、care at all だけだと「あらゆるものが気になる」と言う意味で捉えられるのかなと思います。

 

 ache は、通常は「痛む」という意味ですが、別の使い方で「羨む」という意味もあります。恋焦がれて胸が痛む感じでしょうか。今回は後者を採用してみました。

 

 前回、come と up がセット、go と downがセットのような書き方をしてしまった矢先に、この曲には coming down なんて表現が出てきてしまいましたが……今回の曲の場合、咳止めシロップが口から入って、喉を通って体の中に落ちて行くイメージがあるから、down なのだと思います。(そして、吸収される=より本人と対象が密接になっていくイメージがあるから come なのかなと)

 
 out of the blue は、直訳すると「空の外に」とか「空から出てくる」となります。これは「思いがけず突然」のようなニュアンスの言葉として使われます。

蛇足

 本文中にある咳止めシロップの効能は、筆者、笹森茂樹が体験したことに基づく記述ではございません。

 薬は、医師、薬剤師、並びに添付の説明書の指示に従い、用法、用量を守って正しくご使用ください。

 

 ……いや、一応書いておこうかなと(笑) 

 

2019/03/15追記
掲示板にて頂いた通り「out of the blue」の訳を訂正いたしました。御指摘頂きありがとうございました。また、それに伴い、out of the blueの説明を追記しました。