Lyrics&訳
How gentle is the rain
That falls softly on the meadow
Birds high above in the trees
Serenade the flowers with their melodies oh oh oh
嗚呼、温もり深く優しい雨が
緑の大地に降り立っていく
木々の頂には鳥たちの歌
花ゆれる音は小夜曲の調べ
See there beyond the hill
The bright colors of the rainbow
Some magic from above
Made this day for us just to fall in love
あの丘にまで広がる景色
陽を受け煌めく鮮やかな虹
神様の気まぐれな奇蹟が
私達に恋する勇気を
Now I belong to you
From this day until forever
Just love me tenderly
And I'll give to you every part of me oh oh oh
今、貴方と共に在る
今日この日より、果つることなく
私を包む愛さえあれば
貴方に全てを捧げようと
Don't ever make me cry
Through long lonely nights without love
Be always true to me
Keep it stay in your heart eternally
どうぞ悲しみを奪い去って
心細い日、愛無き夜を
常に私に偽りの無き
今の貴方で在り続けていて
Someday we shall return
To this place upon the meadow
We'll walk out in the rain
Hear the birds above singing once again oh oh oh
今この時を忘れなきよう
この緑の大地に再び立とう
雨が終わりを知るまで歩こう
また鳥たちの歌が降るまで
You'll hold me in your arms
And say once again, you love me
And if your love is true
Everything will be just as wonderful
私をその腕で抱き留めて
そして今一度、愛していると
その言葉に偽り無ければ
世界は薔薇色で在り続ける
この曲について
何というか、愛の讃歌の王道を行くような曲ですね。愛し合う二人がいて、そのお互いの想いにより世界が色鮮やかに彩られていくような、そんなイメージが浮かぶ気がします。
ただ、愛の讃歌と書きましたが、この曲の歌詞からは愛し合う二人が強くイメージできるかと言うと、どうもそんな気がしません。確かにこの曲の主人公は二人の恋人なのでしょうけれど、この曲の焦点はその二人を祝福している世界のように思えます。
優しく降る雨、広がる草原、鳥のさえずり、花の揺れる音、そして雨が上がって鮮やかに架かる虹。二人の世界を織り成す、これら一つ一つの全てから幸せがにじみ出ているような、そんな瑞々しさがこの曲の魅力ではないでしょうか。そしてこの二人の恋という主題を、様々な音色を持つ世界が盛り上げていくという、その様子こそがこの曲のタイトル「A Lover's Concerto(恋する者の協奏曲)」となるのかなと思います。
なので是非、木、花、鳥等、これらが全て複数形のsをつけて表現されている点も、この曲をイメージするポイントに加えてみて下さい。
さて、この曲は1965年にザ・トイズ(The Toys)によって初めて歌われたものですが、その後も様々な歌手によってカバーされており、日本でも広く歌われてきております。
The Toys - Lovers Concerto - HQ
また日本では、特に最近はサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)のバージョンが良く知られているのではないかなと思います。
Sarah Vaughan - A Lover's Concerto
ところで、この曲を聴いて「あれ、この曲ってメヌエットって言うんじゃなかったっけ」と思われる方も多いのではないかなと思います。メヌエットはクリスティアン・ペツォールト(Christian Petzold)によって作られた曲で、音楽の教科書で「メヌエット ト長調」として習ったのではないかなと思います。(※なお、以前はバッハ(Bach)作曲と考えられていました)
A Lover's Concertoはこの曲を元にして作られた曲とのことで、そんなバロック時代の曲調を源流にしている為か、主人公となる恋人二人も「女と男」というよりは「貴婦人と殿方」といった出で立ちが思い起こされます(僕だけでしょうか……)。たまにはこんな、麗らかなラブソングも良いですね。
訳、言葉について
Serenadeは、日本でもほぼそのままローマ字読みでセレナーデと言いますが、小夜曲と訳せます。元は恋人の家の前で恋人を讃える歌の事で、その後オーケストラの楽曲の一形態の呼称となったそうですが、今回は単純に前者の意味で捉えればいいのではないかと思います。
Until foreverは、直訳すれば「永遠まで」となりますが、つまりは「終わりはいつまでも来ない」と言うニュアンスで捉えればいいのではないかと思われます。
一点疑問だったのは、I'll give to you every part of me です。 これ、普通に考えれば to なんか付けずに、 I'll give you every part of me とすればいいんじゃないかと思うのですが、どのようなニュアンスの違いがあるんでしょうね。
"to"問題は、あくまで私の解釈ですけど "And I'll give to you every part of me"と "Now I belong to you"で"to"は同じタイミングでtoを持って来たかったこと、音楽に言葉数を合わせたかったこと、もう一つは強調で「あなたに」ではなく「あなたに、こそ」捧げたいとしたかったのではないでしょうか。何しろ"Now I belong to you"なわけですので。
学生時代、英語と仏語の詩の講義を取っていて、18世紀の詩なんかを訳す時、私的にはとかく解釈をあれこれ考えていたんですけど、先生に「それ、ただの韻だから」とか「そっちの順番が言いやすいから」みたいなことが何度かありました。おそらく歌詞も同じではないかと思います。その点ではLove yourself の"Mama don't"問題と似ていると思います。あ、でも間違っていたらすみません…。