Lyrics & 訳
Well, I could love you, baby, but it's a fact
When I get too close you pull right back
Your hands get cold and your eyes get sad
I guess somebody must have hurt you real bad
そうね。愛していくことはできたかもね。でもこれが現実
あなたの手を引いて近づきすぎると
あなたの手は冷たく、悲しげな眼をしている
誰か、あなたを苦しめているのが分かった
With a nervous laugh, I see you try
To cover the hurt, try to justify
You'd better let go real soon, baby
無理に笑おうとしているのが解かる
痛みを隠して、自分を保とうと
でももう肩の力を抜いていいの
You can't build castles on quicksand
You can't build bridges on thin air
You can't paper over the cracks of a broken heart
And pretend it's not there (oh, no)
流砂の上に城なんか建てられない
虚空の中に橋なんかかけられない
ひび割れた心を覆うことも
何でもない振りをすることだってそう
You've gotta let the storm break, baby (yeah)
You've gotta let the rain fall all around
And when the tears run dry, baby, then you can try
To start all over again (start all over again)
嵐が全部壊してしまえばいい
雨が全部流してしまえばいい
そして涙が乾けば、立ち直れるわ
また一からやり直せるじゃない
Well I could try to push, I could try to shove
There's a great big wall in the way of love
It's time to face the facts and purge your pain
Get those tracks back under your train
そう、押しのけることも、突き破ることもできたかもね
この愛に立ちはだかる大きな壁をね
でも今、現実に目を向けて、痛みを取り払う時ね
あなたの往くべき道を取り戻すの
I see you run, I see you hide
You're trying to cover what you're feeling inside
Well, I know you like me, baby, but...
逃げるあなたも、隠れるあなたも見てる
心の内を隠そうと必死なあなたを
ええ、あなたの気持ちは知ってる。でも……
You can't build castles on quicksand
You can't build bridges on thin air
You can't paper over the cracks of a broken heart
And pretend it's not there (oh, no)
流砂の上に建つ城が無いように
虚空の中に架かる橋が無いように
傷ついた心の上に被せる物も無い
何でもない振りなんて出来ないの
You've gotta let the storm break, baby (yeah)
You've gotta let the rain fall all around
And when the tears run dry, baby, then you can try
To start all over again (start all over again)
嵐に全てを壊してもらって
雨に全てを流してもらって
涙が乾く頃には、前を向けるわ
全てを忘れてやり直すの
この曲について
恋人として愛し合っていたい気持ちはあるけれど、それが結局は心の重荷になってしまっていることを悟り、お互いの為にその関係を終わりすることを決意する。そんなシチュエーションを歌った曲だと思います。
主人公は、恋人の関係を続けることも出来たとは思っていますが、それがベストな選択でないことを分かっているようです。自分が相手に近づいた時、そこには決して相手の幸せが無いことに気付いていますね。この時主人公は「誰かがあなたを苦しめている」とは言っていますが、その誰かが恐らく自分であることも解かっていると思われます。お互い好きでは有るけど、好きだけではやっていけないこと、しかし無責任に別れるのも気が引ける……そんな感じの、お互い苦しくなってしまった恋愛模様が見えてくる気がします。
そんな中、無理をしてでも笑おうとしてくれている相手に、もうそんなのはやめにして良いと言います。これは、お互い終わりにしましょうという宣言にも取れますし、主人公が身を引いたと捉えることも出来ますね。いずれにせよ、相手が苦しい気持ちから解放されてもらいたいという想いの言葉でしょう。
相手も頑張ってくれている。しかし、世の中にはどう頑張ってみたところで出来ないことだってある。だから、ここで関係が終わってしまったとしても、それは誰が悪いってわけじゃない。そんな、相手に気を負わせたくない気遣いから生まれた一つの例えが、このCastles on quicksand(流砂の上の城)なのだと思います。
さて、この曲はアメリカのドラマ「カリフォルニア・ドリーム(California Dreams)」の中で歌われた一曲です。カリフォルニア・ドリームは、「フルハウス」に代表されるSitcomと呼ばれるジャンルのドラマで、高校生バンドマンの活躍を描いた青春コメディです。日本でも1995年に当時のNHK教育テレビで放送されておりました。
この曲は主人公であるマットの妹、ジェニー(役:ヘイディ・ノエル・レンハート – Heidi Noelle Lenhartー)がボーカルを務めたもので、パーティー会場にさせられてしまったマットの家で歌われました。ジェニーの大人っぽい声にさらっとポップな曲調が印象的で、人気が高かった曲のようです。カリフォルニア・ドリームでは多くのオリジナルソングが歌われておりますが、この曲は他アーティストによるカバーもされたことがあるようですね。
そんなオリジナルソングのうち10曲が1枚のアルバムとしてリリースされており、このCastles on Quicksandもその収録曲の一つです。ただ、なんせ今となってはCDが入手困難な上に、ダウンロード購入も出来ないのが非常に残念です。
【ドラマ放映時バージョン】
California Dreams - "Castles On Quicksand"
【CD収録バージョン】
Castles on Quicksand CD Version
カリフォルニア・ドリームは、日本では本当に知る人ぞ知るという程度の知名度のドラマですが、当時中学生だった僕の目には、こんなに毎週毎週オリジナルソングを作るなんて、アメリカのドラマって凄いなぁと少なからず衝撃を受けた作品でした。(NHKさん、マジで再放送してください)
一応、輸入版で第3シーズンまではDVDが手に入るのですが、残念ながら英語字幕機能すらないので、相当英語に堪能でないと見るのが難しい作品となってしまいました。(だからNHKさん、マジで再放送してください)
訳、言葉について
I couldという言葉は、普通に訳すと「私は出来た」になりますが、どうもこの言葉が良く使われるニュアンスとしては「私は~することも出来た」という時に使われる言い回しのようですね。その為、今回は「愛することも出来た(けどしなかった)」とか「壁を押しのけることも出来た(と思うけど敢えてしなかった)」のような言い回しにしてみました。
サビに出てくるPaperですが、よく使われる「紙」の意味の他に「壁紙を貼る」という動詞の意味も持っています。その為、ここでは壊れた心に壁紙を貼る→心の傷を隠すという表現になっています。
またタイトルであるCastle on quicksandですが、これは日本語に全く同じ言葉が存在します。「砂上の楼閣」という言葉で、意味は「すぐに壊れてしまいそうな様子」とか「所詮在り続けることのない物」「実現不可能な物」という意味で使われます。何かの偶然なのか、どちらかがどちらかの言葉を輸入したのか、それともルーツを辿れば同じ語源に行きつくのかは分かりませんが、そういった意味で日本人にもイメージがし易い言葉かもしれませんね。
※ただ一般的には、砂上の楼閣を英訳する場合Castles in the airとするそうですが……。
もう一つ、Bridges on thin airのthin airは、直訳すると「薄い空」となりますが
、日本語では「何も無い空中の何処か」即ち「虚空」とするのが最もしっくりくると思います。